4話
何か遅々として進まない!!
もどかしい!!
警察とかはないだろうし…。この場合だと衛兵にか?
袋を持ったまま考え込んでいると、
「あー!私のお財布!!」
と後ろから声が聞こえ、振り返る。
長い茶髪をゆるい三つ編みにし、エプロンを掛けた女性がそこには立っていた。
キャラの上に表示されてるマーカーは…白か、ということは彼女はNPCということになる。
ちなみにプレイヤーは青、敵対Mobは赤で表示されるようになっている。
「あぁ、そこに落ちていた。
次からは落とさないように気をつけるといい。」
そう言いながら俺は彼女に財布を手渡す。
「あっ、は、はい!ありがとうございます!
…えーっと、お礼に私は何をすればいいでしょう…?」
困惑した声を上げながらも上目遣いでこちらに聞いてくる。
「たまたま拾っただけだから気にするな。
俺はそろそろ行くから、またな。」
「あっ!ま、待ってください!」
そう言って服の裾を引っ張られた。
「どうした?」
「えっと、私はハイジアって言います!
北門の近くで道具屋をやっているので、もし入用の際はお越しください!
今日のお礼をさせて頂きたいので!」
彼女、ハイジアが名乗った瞬間、マーカーの横に"道具屋 ハイジア"と表示された。
「俺はマヒロという。
それより、北門近くの道具屋といったか?」
―――
――
―
結局その後、俺はハイジアと共に北門へと来ていた。
道すがらこの世界"ヴェルト"のことについて尋ねていた。
曰く、この世界は神々から見放された世界らしい。
そうなると俺たちプレイヤーをこの世界に転移させた女神は一体なんなんだってことになるが…、まぁプレイしていれば追々明らかになるのであろう。
さて、北門近くまで来たがぽつぽつとプレイヤーの姿が散見している。
その中にチヒロの姿を見つけた。
「あ、マヒロ。
私が待たせるかなって思ったけど、私が待つことになったね!」
「あぁ、足で歩く感覚を思い出すためにしばらく散策していたんだ。
待たせて悪かったな。」
「…マヒロ?
私見た目は変えたほうがいいって言ったよね?
どうしてそのままの見た目なのかな?」とジト目で睨んでくる。
「キャラメイクのときにやはり思ったんだが俺のことを知っているプレイヤーがいるとは思えなくてな。」
「はぁー…。まぁマヒロのことだからこうなるとは思ったいたけど…。
念の為露天で買っておいてよかったかな…。」
そう言ってチヒロは俺にサングラスを手渡してくる。
「…これは?」
「せめて顔を隠しておいて。
万が一ってこともあるでしょ。
あとコレ買っちゃったせいで初期に配布された資金がなくなっちゃったからしばらくはマヒロにおんぶにだっこになるから覚悟しておいてね!」
「あ、あぁ、わかった。
すまない。」
そう言いながら俺はサングラスを装備した。
そうしていると、
「あ、あの~
私も会話に混ざってよろしいでしょうかー…?」
と遠慮がちに声を投げかけられる。
「すまないハイジア。
紹介する、こいつは俺の妹のチヒロ。
少し慣れなれしいところもあるが、悪気はないんだ。
仲良くしてもらえると嬉しく思う。」
「チヒロさんですね!
マヒロさんの妹さんならすごく優しい方なんでしょうね!
ハイジアと申します、よろしくお願いします!」
「ハイジアさんだね。
マヒロ、どこでこんな可愛らしい人と知り合ったの?
私達この街にきたばっかりだよね?」
「落ちてた財布を拾ったらそれがハイジアのでな。
偶然通りかかったハイジアにそれを手渡してこっちに向かおうと思ったら、「マヒロさんが私の働いているお店で待ち合わせをしているってお伺いしたので案内がてら一緒に参った次第です!」…ってことだ」
「そうなんだ!私はチヒロ、さっきも言ったけど今日さっきこの世界へ来たばっかりなんだよね。
これから冒険を始めたら度々お世話になるからマヒロ共々よろしくね!」
「"来訪者"の方だったんですね!
生活雑貨から冒険用品まで様々な物を取り揃えてますので、ご入用の際は是非当店へお越しください!」
「うん!これからすっっっごくお世話になるね!
じゃあハイジアさん、私達一回冒険者ギルドへ行ってくるね。
街の外出る前に必ず一回またくるから!」
「えぇ!そのときは精一杯おもてなしさせていただきますね!」
そうして俺たちはハイジアと別れ、冒険者ギルドへ向かった。
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