帰還
ブラックホーク使うからって決してテイルローターにRPG食らったりはしませんよ?(ブラックホークダウン並感)
2030年 7月24日
カタール ドーハ
現地時間 0350
歩き始めて約10分、ようやく味方の防衛線に到着した。
最初、あまりのボロボロな姿にサーチライトとM2ブローニング重機関銃を向けられたときにはさすがに肝が冷えたが、すぐに警戒は解け、迎え入れられた。
バックパックの中に突っ込まれた犬を見た友軍の兵士は目を丸くしていたが、ときどき顔を緩ませるやつもいるにはいた。
迎えにはUH-64ブラックホークが来てくれた。両脇をM134で武装した輸送ヘリだ。
乗り込んで、パイロットに離陸の指示を送る。最前線かつ急造のこのヘリポートには立派な管制塔などあるわけもなく、離着陸の指示はすべて乗り込んだものの独断で行われる。それ故にだいぶ危なっかしい場面も多々あるのだが、今回、ほかにヘリはなく、離陸もスムーズに行われた。
バックパックから出てきた犬と眼下のドーハの街を眺める。
戦闘によって廃墟と化した街はしかし夜闇に隠れよく見えない。
その名の通り機体色も黒いブラックホークが夜の空をすべるように飛び、イツキの「家」への帰路についていた。