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ひ弱な青年賢者はヤンキーだらけの魔法学院のトップに立つことにしました  作者: 森田季節
ヤンキー女子は実は清楚な美少女編

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15 武術を習いたい

 魔法を使うかどうかはともかく、ケンカすることにはなった。

「じゃあな、一週間後だぞ。逃げずに来いよ」

「わかった、わかった」


「あと、魔法はできれば使うな。俺、電撃がビリビリするの嫌なんだ。電撃見るとヒャッハーできねえ」

 なんで、弱点言っちゃってるんだよ、こいつ!?


「いや、でも、電撃の魔法なんてそうそう使える奴はいねえしな……。せいぜい、風とかだろ……」

「あっ、俺、余裕で電撃も使えるからな」

 挙手して発言。

「てめえ、ひっ……卑怯だぞ!」

「だから、卑怯な要素ないからな! ここ、魔法学院だからな!」


 なんか、電撃って言葉を聞いたせいか、おどおどしながらゲグは廊下のほうに向かった。

「じゃあ、そろそろ授業だし、俺は帰るぜ」

「授業、やっていけよ……」

 名門校出身の俺としては訳のわからない発言だ。


「お前らと違って、俺は忙しいんだよ。地元のワルたちの構成員だからな。ケンカに加勢すんだよ。まあまあいい額になるんだぜ。一日で二万ゴールドもらったこともあんだ」


 たしかに高等部が一日二万ゴールドはいい稼ぎだけど、やってる内容を考えると割に合わないな。大ケガをしちゃうリスクも、逮捕されるリスクもある。


「まっとうに学生生活したほうが長い目で見て、得だと思うぞ」

「うっせえよ。相手殴るだけで褒められるほうが楽で楽しいだろ。どっちが一組最強か教えてやんよ」


 これ以上言い合いをしても結論は出ないよな。


 結局、ゲグは本当に授業をせずに帰っていった。


 ブルタンの一派が俺のほうに来た。

 なんだ、アドバイスでもくれるのか?

「やっぱり、ルーリックって魔法も使えるんだな……」

 そこからかよ……。

 子分たちも「魔法かよ!」「やべえ! ルーリックさん、パネエ!」と盛り上がっている。本当は高等部二年だったら、そこそこの魔法使えないとダメなんだぞ……?


「大変なことになっちゃったね……」

 スピーナも俺のほうにやってきた。事態が事態だからな。


「しょうがないや。そういう学校っていうのは知ってたし」

「そっか。まあ、リックが魔法を使った時点で勝利確実だけどね」


 うん、ぶっちゃけそうなんだよな。攻撃魔法を喰らいまくって平気で殴りかかれるような生徒はいくらなんでもいないだろう。


 とはいえ、ちょうどいい機会だし、鍛えておきたい気持ちはあった。



 俺はその日の放課後、学園長室に行った。

「あっ、彼女ができたばっかりなのに一人でこちらに来てよろしいんですかぁ?」

 ラファファン学園長にからかわれた。学園長すら知っているのか。プライバシーってものはこの学校にはないな……。


「スピーナにはちゃんと言ってから来ました。ちょっとお願いがあって、来ました」

「ちなみにゲグ君の情報などは出せませんよ? 生徒のプライバシーに関することですので」

 どの口で言うんだよと思ったけど、別にこちらもその情報を求めてはいない。


「あの、格闘技って言うんですかね。俺、そういうのを習いたいんですが」

「ほう」


 ちょっと学園長の目の色が変わった。興味を示してくれたようだ。

「ほら、前に格闘技みたいなのでも上に行けるかもって言ってましたよね。どこまでやれるかわからないけど、一度やってみようかなって」


 なんというか、今後も不良がケンカを売ってきたとして(この頻度でケンカになってるのだから、どうせなんかあるだろう)、毎回魔法で倒すっていうのは、ルール上は問題なくても、ズルいと言えばズルい気がするのだ。


 少なくとも、それで敵が「あれは魔法だからノーカンだ」とか言い出したら鬱陶しいし。


「それと、普通の授業をここで受けてもしょうがないですよね。だったら自主的に何か新しいことをしようかなと思ったんです」

 俺は前の学校から、勝手に魔法を極めて、賢者になった人間だ。

 自主的に何かをやるのは面倒くさくはあるけど、その面倒くささの壁を乗り越えると、一気に成長できる。


「ただ……魔法と違って、本を読んで勉強というわけにもいかないので……コーチみたいな方がいれば教えていただければうれしいなと……」

 ランニングを何キーロ走っても足腰は強くなるけど、戦闘能力は高められないからな。


「なるほど、なるほど。おっしゃりたいことはわかりました。それでしたら、その専門の講師に指導させましょう。いい人がいますので」

「ありがとうございます!」


 こういう時は学園長に聞いてみるべきだな。


「はい、じゃあ、モアモア、よろしくお願いします」

 学園長がそう言うと、また突如としてメイド服のモアモアさんが出現した。俺から見ると、学園長の秘書という前に、教師である。


「はい。承りました。まだまだ未熟者ではありますが、できうる限り、指導をできればと思っております」

 ぺこりとモアモアさんはおじぎをする。この人もかわいいな……。いやいや、それよりもっと重要な情報があった。


「モアモアさんが格闘技を教えてくれるんですか?」

「はい、私は無攻術むこうじゅつというものをそれなりに極めておりますので」

「無攻術?」


 格闘技や武道には知識がないので、当然初耳だ。


「はい。これは名前のとおり、自分から攻め込まない武術です。相手に暴力を振るうことができない僧侶などの職業の方がよく利用されていました。賢者のルーリックさんにも最適かと思います」


「モアモアさんって一体何者なんですか……? 秘書だし、勉強教えてるし、武術も使えるし全容がよくわからないんですが」

「もあもあしてるでしょう? モアモアだけに」

 真顔でジョークを言われた。


 やっぱり、キャラがつかみかねる。あるいはこういう不思議ちゃんキャラなのだろうか。


「それでは、ルーリックさん、適当な場所に移動いたしましょうか」


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