第84話 間違いと秘密
「俺の記憶が?」
「うん。そうそう。君がふざけてない限り、記憶を失ってるね。私の事忘れるなんて、鳥頭か何かだよ」
呆然とした声で問い返した仁に、梨崎はうんうんと肯定する。普通なら忘れるわけもないと言われ、必死に頭や記憶の引き出しを開けて探し回るが、彼女に関する記憶は見つからない。
「気分を悪くするかもしれないけれど、分かることを言うね」
「いいよいいよ」
「……貴方を見た時に、嫌な感じはしました」
ただ梨崎を見た途端、仁は彼女のことを知らないはずなのに嫌悪感を抱いた。常人でさえ消えているであろう幼少の頃に、嫌な事をされた人と似ているのかと思ったが、そうじゃないのなら。
「大当たり。私は君の大切な彼女を、街の為に見捨てようとした医者だね。龍が攻めてきてシオンちゃんの身柄を要求して、殺されるくらいなら助けなくていいやって瀕死の彼女の治療を拒否した」
「……!?でも、シオンは生きて……あれ?なんでだ……」
言われてみれば、そんな事もあったような気はする。朧げな記憶の輪郭は浮かんでは来るが、それはピントが全く合っていない眼鏡をかけたみたいにぼやけていて何も分からない。
「ハゲが……んー……医者を連れてきて、治療はギリギリ間に合ったね」
「それで、あの龍に渡しても未来が無いからって戦う事になって……僕達が作戦を作ったけど」
「細部が甘くて、酔馬さんが死んだ」
空から落ちる作戦を練ったのも、酔馬が死んだのも思い出せた。欠落したのはシオンが傷つき、治るまでの間。
「大切な人を殺そうとして、秘密まで握っている人間を忘れるなんて相当だねぇ」
「嘘まで知ってるんだね……こりゃいよいよ参ったかな」
特に嫌な素振りも見せない梨崎の言う通り、忘れたのはそこだけではない。梨崎という人物そのものに関わる記憶の引き出しだけが、ごっそり消えている。
シオンを見殺しにしようとして、仁の絶対に隠さねばならない嘘に気づいている人物を、忘れる訳がない。
「前見た時に頭痛が酷いって言ってたからねぇ。どうやらあの刻印ってのは脳をおかしくするらしいかな。最近頭を強く打ったりしてないのなら、腫瘍とかも出来てるかも?」
「……!?」
告げられた可能性に、息が詰まった。確かに記憶に障害が起こる原因としてよく聞くのは、鬱病やトラウマなどの精神的なもの、怪我をしたなどの外傷的なもの、脳の血管が腫瘍など何らかの理由で圧迫されたものが多い。
「頭を打った事は……かなりあるかと思います。けど、刻印の代償として考えるのなら、外傷的要因は違うような……」
「そうだよねぇ。まぁ普通に脳の一部がダメージを受けてってのもありえるから、腫瘍とは断言できないけど」
「医者としての推測で構わないから、答えてもらってもいいかな?」
「もちのろん」
自分の脳内と生死に関わる事だというのに、仁の脳は驚く程冷静に思考を続けている。その思考が気になった事を幾つか出し、口へと運んでいく。
「まず、どんな記憶から忘れるとかはありますか?また、思い出す事は……」
「ケースバイケース。種類によって違うね。人によっては車の運転から忘れる人、最近の予定とかから忘れる人、家族や友人などの普通なら絶対に忘れないものから忘れる人もいる」
「……シオンや守りたい人の事、死なせてしまった人の事から忘れる事もあると」
まただ。また、息が詰まった。自分の記憶から、大切なものが抜け落ちていく事を想像して、その思考を止める為に酸素を吸うのをやめようと、詰まったのだ。
「種類によっては、後悔を原動力に戦う哀れな戦闘機械の君を形作った人達から忘れるね。それは捉え方によっては幸せかもよ?」
「幸せなんかじゃ、ありません。それはもう、俺や僕じゃない」
世界が壊れる前の世界の記憶。仲間を見捨てて、逃げ出したあの日の記憶。シオンと出会って、過ごした森の家での記憶。村を助けて、感謝された約束の記憶。この街の者達に嘘をつき、多くの人を間接的に殺した記憶。この街で頑張って生きている人達の記憶。酔馬さんや蓮さん、その他大勢の数え切れない人達に守られ、託された記憶。
「どれも失いたく、ないです」
どれも大切で、一つたりとも欠けてはならない。それら全ての記憶があってこそ、今の仁なのだ。一つでも欠ければ、分不相応にも『勇者』になろうと死に物狂いで足掻いている仁は消える。仁の強さが、無くなってしまう。
「辛い事を忘れた方が楽なのに、難儀なもんだねえ。ま、思い出すのも同じくケースバイケースで、何らかのショックや時間で取り戻す事もある……まぁ基本無いって考えた方がいいよ」
「ですよね。現に貴方に当時の情景を言われても、その場面は再現できませんでした」
失った記憶を、そう簡単に取り戻せる訳がない。思い出すか出さないかは運次第だ。そして運次第で常にいい方に傾くと思う程、仁は楽天家ではない。喪失した記憶は、二度と戻らないと考えるべきだろう。
「記憶の喪失の防ぎ方はあるのかい?薬なんかで予防とかは」
ならば、最初から消えずに済む方法を問う。認知症か何かでも薬によって進行を遅らせられると、仁は曽祖母の例で知っていた。
「その薬がこの街にあると思う?もう使い切ってるに決まってるよ」
「……分かりました。ありがとうござ」
「けど、簡単この上ないのが一つだけある。まぁ気づいているんでしょ?その無茶な使い方を止めればいいって」
薬という希望も断たれ、頭を下げようとした少年に上から言われたのは分かりきった予防法。それは魔法の多重発動が脳を壊す原因ならば、その多重発動を止めれば良いというもの。
「それは、できません。この力がなければ奴らは倒せない」
「そして、僕らはこの街の希望にはなる事ができない」
だが、その予防法は決して使う事は出来ない。多重発動がなければ、騎士に負けていた。多重発動をして一般の刻印との差別化をしなければ、純粋な日本人ではないかと疑われてしまう。
「皮肉だねえ。守ろうとして力を使えば、守りたい存在の事を忘れてしまう。けど、力を使わなければ、守りたい存在を失ってしまう……あー嫌だ嫌だそんな生き方」
失ってはならないものを失わなければ、守れなかった。己の記憶のシオン達か、現実のシオン達か。どちらが大切かなんて、比べるまでもなく明らかだから。
「……仮に腫瘍があったとして、どれくらい戦えますか?」
「治療とかは出来ないんだろう?」
その生き方を受け入れた仁は、どれだけの間守れるかを訪ねた。マリーが加わってマシになったとはいえ、ジルハードを抑えられるだけの力を持つ自分が離脱するのは、軍にとって大きな損失だ。決して自惚れなどではなく、客観的事実。
「人としての寿命より、戦闘機械としての寿命を聞くとかねえ。『勇者』様もついぞおかしくなっちゃったか。ま、こう答えておくよ。腫瘍に関しては全く分からないけど、あと数回……早くて二回。三回って見た方がいいかな」
「それはいったいどういう……?」
どこか共感を覚えたような笑みのまま、梨崎があやふやな答えを述べる。回数を受け入れる前に、仁は確固たる理由を求めた。
「現状、脳内覗く方法はかち割る以外になくてね?で、分からない。けど君の身体を診れば、三回くらいかなって予想がついたわけ。服、脱がすね」
「……なるほど」
「きゃんエッチって言おうとしたけど、これは無理だね」
着せ替えられていた服を梨崎に脱がされ、外気に照らされた筋肉質な肌を見る。僕がふざける事ができないくらい正しく、三回の意味を理解した。
「ざっと見て二、三割。まだ皮膚の表面かそれに近い部分だけだから良いけど、これ以上は内臓や筋肉に影響が出てくるんじゃないかってのが予想」
黒子と見間違えた以前とは比べ物にならない程、仁の身体に黒と氷が増えていた。がさつく黒は触っても反応は無く、パラパラと粉になって崩れ落ちる。中の血管が透ける綺麗な氷の皮膚は、無理に動かすと砕けてしまいそうだ。
「これ以上あの魔法を使い続けるのなら、記憶以前に死ぬよって事」
鍛え上げたしなやかな筋肉と、選んだ傷と火傷の上。そこに黒と氷の斑を巻かれた仁の身体はもう、限界が近かった。
「それでも、『勇者』様は使うんだろうけどね」
「この街を守れなかったら、どちらにしろ俺達は死にますから」
その事実を知ってなお変わらぬ瞳の炎に、医者はお手上げだと肩をすくめる。馬鹿は死んでも治らないの典型的な例だろう。
「悪い事は言わない。他の方法を探すべきだよ。そっちの方がきっと長く戦えて、あんたの希望に添えるはず」
「それは、考えておきます」
『限壊』に代われるだけの性能は難しいだろうが、何らかの違う戦い方はあるかもしれない。もしくは単に仁が強くなるか。どうしても勝てなくなった時だけ『限壊』を使うようにすれば、仁の寿命は伸ばせるはずだ。
「あの、お願いが」
「何だい?戦場に行きたいって言うのは認められ」
「皆には、この記憶と回数の事を黙っていて欲しいんです」
話が一段落した所で、この話を秘密にしてもらうように懇願した。
「特にシオンには。あの子、絶対責任感じて刻むのやめたいって言い出すかもしれないからね。そうなったら梨崎さん、困るでしょ?」
理由は、自分が戦う事で心優しいシオンや堅達が傷つかないようにする為。そして、知った彼らに戦う事を止められないようにする為。あの意外に頑固な娘は、仁が死ぬくらいならと本当に刻まなくなる恐れがある。
「……悪いけど、あんたの運用に関わることだから柊だけには伝えないといけない。でも、他には黙っててあげる」
「充分です。ありがとうございます」
「ありがとね」
患者の思いを汲んだのか、それともシオン達が仁をに止める未来を危惧したのかは分からない。だが梨崎は、提案を例外付きで受け入れた。その例外である司令だが、彼ならきっと、冷酷に適切な場所で仁を使ってくれるだろう。
「でもこれ、そう長く隠せるものじゃないよ?絶対にバレると思うんだけど」
しかし梨崎の言う通り、仁の代償と回数は到底隠し通せるものではない。いつか必ず、記憶の辻褄が合わなくなる時や、身体が限界を迎える瞬間が訪れる。
「その時はその時です。どうせバレても、シオンが悲しむ事に変わりはないです」
「そしてその時になるまで、彼らが知らずに済むのならいいさ」
だが、少年はバレると分かっていても、嘘を吐く事を選んだ。嘘がバレるその瞬間まで、嘘が意味を無くす時まで、シオン達が少しでも幸せである為に。
「……そうかい。あの馬鹿と熊達が、あんたに託した理由はその辺にあるのかもね」
嘘を吐く意味を語った彼の言葉を聞いて、今までは軽くてふざけてどこか人間味がなかった梨崎の声が、真逆へと変わっていた。人の死を何とも思わないように人としての心を壊したはずの医者が、人間であった時を思い出してしまったのか。
「ないですよ。彼らは、俺らの戦略的な価値を見て託しただけです」
「僕らがどれだけ殺して、どれだけの罪を重ねたと思う?僕らという中身に、託す価値なんてないよ」
彼女の人間らしさを取り戻した事柄を、仁は否定する。彼らに認められて、命を懸けて託される程、自分は高尚な人間じゃなかったから。彼らが託したのは、魔法が使えて希望の光となる器だと、思ったから。
「器に託したのだとしても、俺達が救われた事自体に変わりはないです」
「だから、僕らは戦って守らないといけない。器だけを、皆に見せなくちゃいけない。それだけです」
自分を見ていない事を責めるつもりなど欠片も無く、感謝以外に言葉もない。彼らが命を賭して守ってくれたおかげで仁は生きており、この街を守る事ができたのだから。中身を殺して、器になろうと決意できたのだから。
「いんや違うね。力ってのは、持った者によってその形を変える。あんたは少なくとも、価値があるように力を使える人間って事を、あの馬鹿達に中身で示したんだよ」
悪しき者が力を持てば人を苦しめ、正しき者が持てば人を救う為に使う。仁が後者であるり、そう酔馬と蓮が判断したから助けたと、梨崎は断言した。
「あんたが誰も救わないような力の使い方をしていたら、助けなかっただろうさ」
「……それは、俺の外側に騙されただけで……」
「騙していたのは確かで、許される事じゃなくても、今のあんたは中身からこの街を守ろうとしているように見えるけどね」
「……」
人を傷つける刃を持った暴君を救う者はおらずとも、人を救う為の剣を持った名君を救う者はいる。それは分かるが、何を言われても仁は自分が名君だとは思えなかった。名君を名乗るには、余りにも間違いを犯しすぎていた。
「何で、自分をこんなに高く評価するんですか?」
「貴方は僕らの秘密を知っているのに……」
そして、分からなかった。何故嘘を知る梨崎が、仁の事を良い人間のように言うのかが。普通の人間があの嘘を知れば、ゴミ屑だと思ってもおかしくはないというのに。
「いや、高く評価するつもりはないよ。実際、あんたが吐いた嘘はどんな薬でも治らない程愚かだし。何人殺したのか分からないくらい、あんたの嘘は殺してる」
しれっとした顔で、梨崎は仁を愚かでゴミ屑だと評した。
「けど、あんたが無茶をして救われた命もある。決してトントンなんて言えないし、あんたがゴミ屑なのは変わりないけど、それでもそこは評価してるだけ」
そしてそのゴミ屑が改心して、必死に壊れそうになってまで、みんなを守ろうとしていた事もまた、評価した。
「後はそうだなぁ……あの馬鹿達が、死んでまで託した願いが間違って伝わってたのが癪だったのかな」
「間違ってる?何がだい?」
「俺と僕はこの街を救えって託され……」
顎に手を添えた梨崎の言葉に、仁は目を見開く。酔馬の最後の言葉は聞けなかったが、少なくとも蓮は街を救ってくれと託したはずだ。
「そこは間違っていない。けど、その街にはきっとあんたも含まれてたはずなのよね。あいつら、君の事をかってて、可愛がっていたから」
「「……!?」」
考えた事も、無かった。自分が救われたのではなく、街を救う為に自分が救われたとばかり思っていたから。嘘を吐いた自分を、何のメリットも無しに救うなんて思っていなかったから。彼らは嘘なんて知らないのに。
「だから、あいつらに託されたなら、そんな死に急ぐような戦い方はやめな。あと、そんな張り詰めたツラして生きるな」
「……無茶言わんでください。死に急ぐというより、現状はあれしか戦い方はないんですから」
託されても、無理だ。いや、託されたからこそ、仁は守る為にこの力を振るわねばならない。
「張り詰めたツラって言われても、僕らがヘラヘラしてたら最悪でしょ」
「笑う時は、笑って良いって言ってんの。逆に今のツラ、みんなが不安になるから。それに常にヘラヘラしてたらメスぶっ刺してやるから安心して……ほら、ここ笑うところ」
「だから無理ですって……それ、普通でも笑えないよ」
いくら笑えと言われても、無理だ。今の仁に笑う事なんて出来やしない。頭にこびりついた後悔と絶望が、それを許してくれない。
「ま、今は休みな。シオン達がやばそうだったら起こしてあげるから」
「……努力はするよ」
服を纏い、布団を被せられた仁はベットに横になる。そして、温もりの中で思うのだ。
「もっと、強く」
自分を大事にして力を振るわないのも、笑うのも無理だ。ただ、自分なんかも大切に含んでくれた彼らの願いを叶える為に、より一層強くなり、この街を守ろうと。
「僕らなんかを、ね」
きっと仁は嬉しかったのだ。この街という存在に、自分を入れてくれた事に。そんな分不相応な扱いが嬉しくて、辛かったのだ。
「……守らないと」
シオンとマリーが心配で眠る事は叶わず、仁は布団の中でずっと、新しい魔法の使い方などを考え続けていた。少しでも、強くなれるように。
「なんか私、らしくない事したなぁ」
その最中、聞こえてきた彼女の呟きに、首は思わず縦に動いた。仁は梨崎の事を覚えていない。しかし、今日の彼女には何故か、違和感を覚えたのだ。
今の仁は知らない。昔の仁が、梨崎は何の気も遣わずにすっぱりものを言う人間だと思っていた事を。そう思っていた名残があったからこそ、梨崎の言葉は仁の心に染み入るように届いたという事を。
狂いかけるほど守る事に執着した少年は、守れていた事を知り、更にその狂気を深くする。そして、その少年が選んだのは、大切な人に己の身体を蝕む代償を知らせず、大切な人を守る為に大切な人達を忘れ、その身が崩れるまで戦い続ける道だった。
『多重発動による代償』
刻印による代償と混同しがちだが、それとはまた別枠である。主に二つに分かれている。
まず一つ目として、刻印による代償の加速。通常発動の刻印の魔法の威力を5とするならば、二重発動の刻印は5の二乗の25。同様に二重発動なら二乗、三重発動なら三乗の速さ。四重発動ならば四乗の速さで、身体が置換されていく。刻印の四重発動ともなれば、基本的に使用した部位は完全に、使用した魔法に応じた物質へと置換される。
二つ目は、脳へのダメージ。本来、人の脳は一つの魔法を処理するので精々である。二重で相当な無理を強い、三重の時点でもう完全に限界を超えて、激痛に襲われて意識が途切れる。三重発動時点で痛覚によるセーフティが作動する為、それより先へは進めない。故に、使用できるのは二重発動までとされているのだ。
系統外も使わずに三重を発動しきり、戦い抜いた男の記録によれば、それはもう酷い有様だったらしい。最初はまだふらつく程度だったが、数分と経たないうちに容態が急変。目からは血の涙を、鼻からは血の雫を、口からは血の塊を吐き、 発動後しばらくは激しい頭痛や吐き気、手の震えや痺れ、五感の衰えなど、数々の後遺症が残ったそうだ。
幸い、彼の使用時間は短く、しばらく使用を控えることでほぼ回復したそうだが、仮に使い続けていたならばどうなっていたか。一度の戦いではなく、何度も使い続ければどうなるのか。それは未知の領域だったのだ。そもそも全世界の歴史において三重以上の発動ができる人間なんて、手で足りるほどしか確認されていない。
だがついに、桜義 仁が三重の先、四重発動に到達した。ついでに言うなら、三重発動の複数回使用も。
結果、副作用は三重発動の男の記録にプラスし、記憶の喪失。もちろん、これは桜義 仁だけのケースであり、大きく個人差があるかもしれない。脳の破壊は間違いないとしても、破壊される部位によって様々な症状が出るかもしれない。その辺はまだ解明できていない。
だが、もしも仮に。他に四重発動をした人間も同じように記憶を失ったのならば、とある仮説が立てられる。現に三重発動時点での副作用は共通している場所が多い。
その仮説とは、魔法の処理を司る脳の部位の把握である。一体どこにあるのかが未だ解明されていない、どんな構造になっているのか想像もつかない部位が、見つかるかもしれない。
 




