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幻想現実世界の勇者  作者: ペサ
幻想現実世界の勇者
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第111話 人殺しの秘密と真実


 真実を、少なくとも堅や環菜が信じている事実を明かしてから、一時間が経った。


「どう?」


「やっと寝た。泣き疲れて寝たってところか」


 顔を覆い、恐怖に崩れて涙を流して何度も堅に問い直して、そして帰ってくる同じ答えにまた顔を抑えて涙する。不安と恐怖と疲れにトーカの意識が押し潰されるまで、続いた一時間でもあり、


「こっちもさっき。うとうと頑張ってたけど、限界だったみたい」


 トーカの無事を祈って起き続けていた子供達が寝落ちしてしまった時間でもあった。


「成功……なのか?」


「戦意はもう粉々だと思う。自殺されるのと、ロロに直接確認しに行くのが怖いかな」


 今まで信じ続けていた事にヒビが入った。それも、自分の人生そのものに関わる程の大きさのヒビだ。これから取り得る行動はある程度予測できる。そのほとんどが見張らなければならないものだが、日本人に害のあるものはほぼないだろう。


「その辺りはしっかり見張っておく。抑えられない可能性の方が高いが」


「私も手伝うよ。子供達とこの女の面倒を同時には見れないでしょ」


「いや、でも」


「こっちは好きでやってんの。相手の迷惑考えて無理難題抱え込むくらいなら、頼ってよ。こっちは迷惑かけられていいって言ってんだから」


 確かに一人では到底無謀だが、堅はそれでも迷惑をかけるわけにはと遠慮してしまう。しかし、環菜は彼の頭を軽く叩いてから、胸を叩いて任せてと笑う。


「司令には孤児院の人手が足らないって事を理由に申請しとく。なんとか通るっしょ」


「……すまん。それで、トーカの事は……」


 その理由ならば、特に司令も怪しむ事はないだろう。子供達が環菜に懐いてしまったから彼女がいいとでも添えておけば更に完璧。問題は、環菜ではなくトーカの処遇にある。


「本当なら、報告すべきだと思うけど……少し、私も考える。今ここで引き渡すより、弱った心につけ込んで情報を引き出したり、懐柔する方がいいかもしれないから」


「……その、通りだな」


 報告すれば即刻処刑、良くても拷問と監禁だろう。この街の中で騎士に同情する人間なんて、マリーくらいしかいない。軍に渡して死なすくらいなら、優しく溶かしてこちらの手駒にしてしまう方がいい、と言うのが環菜の建前だった。それが建前だという事に、堅は気付かなかったのだが。


「交代でこの女の見張りしようか。さすがに徹夜はキツイし、子供達も寝てる間なら、多少目を離しても大丈夫でしょ」


「先に寝ててくれ。俺が見とく。あ、俺のベッドですまない。あまり、洗濯とかしてないからその」


「い、いいよ!別に!気にしないし!」


 起きた瞬間に衝動的自殺でもされたら利益はない。しばらく目を離さないようにと決め、レディファーストだと堅は環菜にベットを譲る。


「んじゃ、お言葉に甘えて。そうだ。私隣の部屋で寝てるけど」


「安心しろ。手を出したりなんかしな」


「別にいいよ?」


「………………?」


 空白。沈黙。相手の先を読んで少しだけ得意気になっていた堅は、予想と真反対だった環菜の言葉に完全に停止し、


「どうせ、朝帰りの時点で楓とシオンちゃんに何言われるやら分からないしね」


「……!?」


 再起動と同時に壁際までずざざとザリガニのごとき速さと動きで飛び退いて、餌を魚のように口をパクパクさせて環菜を指差す。どうやら言葉が出てこないようで。


「バーカ。見張りなんないでしょ?それにそこの女と子供達に起きられたらえらいこっちゃだ。じゃ、おやすみ」


「お、お前!本当に!お前……!」


 からかわれた。一瞬本気で考えかけてから突き落とされた堅は、それはもう金魚のような顔になって環菜を何度も指差して憤慨の意を示す。しかし、下心を抱いた事に若干負い目を感じているのか、それ以上は強く言えず。


「…………おやすみだ」


 結局、出てきたのは怒りの言葉なんかではなく、ただの挨拶だけだった。それを聞いて部屋から出て行った環菜を振り切るように、トーカと子供達の為の日本語の勉強の用紙を作成し始める。


(……私のバカ!何いざって時にチキってんの!?あー!もう!多分チャンスだったのに……)


 部屋を出てすぐに、自分の発言の大胆さにぺたんと座り込み、これまた金魚のような顔をぶんぶんと振り回す。待っていても、絶対にあっちから手を出されることはないとちょっと頑張ってみたものの、口に出した途端冷静になった結果がこれだ。


「……うわ。そうか。しかもこれか……」


 いざ辿り着いた隣の部屋にある堅のベットに飛び込めば、あんまり大きな声では言えないが、匂いがした。


「……今日寝れるのこれ?」


 隣で徹夜してた方が楽だったかもしれない。










 時ほぼ同じくして、裏路地。柊をはじめとした軍の面々が到着し、現場を詳しく調べていた。


「柊。夜遅くにごめんなさいね」


「構わん。事態が事態だ……現場はそのままなんだな?」


「はい。特に触ったりはしてません」


 真夜中も良いところだが、眠いからと言って後回しにしていいものではない。何せ殺されたのが軍の中でも権力を持ち、反柊派筆頭の蜂須なのだから。


「最近、軍の者を狙った辻斬りみたいなのが多発してまして……犯行の手口から恐らく同一犯かと思われます」


「人気の無い路地、目撃者はおらず、綺麗にバラバラにされた遺体。ここ数日でもう10件を超えている」


「そ、そんなに……?」


 仁やシオン達は知らなかった事だが、似たような事件が幾つも起きている。いずれも軍の人間を狙った残忍な犯行で、犯人の足取りは未だ掴めていない。


「……こんな、斬り刻む必要なんてあるの……?」


「出来る限り、安らかな死であった事を願うよ」


「そして、俺らが無駄にはしないと誓うよ」


 蜂須とそこまで親交があったわけではなく、むしろシオンを生贄に捧げようとした事から仁は嫌いなくらいだ。しかしそれでも、数日前に顔を合わせていた人間の死は胸に重りをつけられる。


「ねぇシオン。そう言えば最近、蜂須さんを司令室で見たって言ってなかった?」


「え、ええ。司令の留守を任されたって」


「すでに環菜から報告を受けているが、私は蜂須に留守を任せた覚えなどない」


「……やっぱりか」


 シオンに蜂須が司令室の中にいたと聞いた時から、嫌な予感はしていた。この街に普及している肉の正体に関する資料があるかもしれない部屋を、司令が誰かに任せるわけもない。反柊派の蜂須なら尚更だ。公表するだけで次は自分がトップに立てる。


「蜂須さんがクーデターを起こそうとして柊さんの部屋に侵入して……あれ?でもじゃあなんで、蜂須さんが殺されてるの?」


「それはない。奴がクーデターを起こす理由がないからだ」


「へ?」


 しかし、僕の立てた予想は上手く繋がらず、そもそも蜂須がクーデターを起こすという前提すら、他ならぬ柊に否定されてしまう。


「基本的に漸進主義というか、保守的な奴ではある。しかしそれら全ての根源はこの街を守る為だ。クーデターを起こそうなんて、寿命を縮めるだけの行為だと分かりきっている」


「えっと、じゃあ蜂須さんはなんで司令室にいたの?気遣い?」


「……何者かに脅されて、利用されていた」


 司令室を漁る理由は、クーデターの為だと見て間違いない。だが柊の言葉を信じるならば、蜂須が進んでやった事ではなく、誰か他の人間に彼が利用されていたと見るべきだろう。ポンと手を叩いたシオンの解答は、優しさだけ満点である。


「蜂須には家族がいたはずだ。幾らでも人質に出来る」


「……辛いわね。家族が、いるのに」


「ああ。逝った者も残された者も、辛い」


 愛する家族を人質に取られ、利用され、最後は口封じに殺されて捨てられた。家族の命だけは守れたかもしれないが、その人生は余りにも残酷で、彼の死をこれから知る家族も哀れで、救いようなんてなくて。


「この件は私が預かる。また何か分かった事があれば、君達に伝えよう」


「お願いするよ。犯人の確保は手伝うから」


 詳しい事も犯人もまだ分からない。しかし、仮に犯人に会ったのなら、仁はその男を同じ目に合わせる事に何の躊躇いもないだろう。その確信だけはあった。


「それと、仁とシオンに命令だ。これからはいつ如何なる時も一人になるな。寝る時も、トイレも、風呂も、絶対に誰か信頼できる人間と一緒にいろ。分かったか?」


 そして最後に告げられたのは、柊からの少し無茶な命令。理由は分かるのだが、分かるのだが、受け入れるのに抵抗があるもので。


「お、お風呂もトイレも!?……べ、別にお風呂ならいいけど、さすがに仁とは言えトイレは……その……」


「馬鹿かいシオン!?風呂もダメに決まってるよ!」


 暗殺を警戒しての事だろう。ぐっすり熟睡している時や、湯船に浸かって気を抜いている時に銃弾を撃ち込まれでもしたら、いくらシオンとは言え危ういかもしれない。しかしながら、いくらなんでもトイレの中まではやり過ぎだ。


「……マリーさん、シオンの風呂とトイレは頼んでいいですか?」


「うーん。私も忙しいからなー暇な時だけねー」


 とりあえず、近くにいて防御人柄共に信頼のできるマリーに声をかけるが、彼女は笑ってこう答えるだけ。間違いない。


「ひ、暇じゃない時は?」


「他の男にシオンちゃんの肌見せたくないんだったら、君がやるか他の女性に頼みな」


「……環菜さんに頼むか。絶対いじられるけど」


「……ふふっ……あいたっ!?」


 マリーは面白がって常に忙しいと答え、シオンと仁を一緒の風呂に叩き込もうとするだろう。環菜に頼むと言う憂鬱な未来を想像しつつ、隣で何故かちょっとワクワクしているシオンの頭を小突く。


「僕はそうだなぁ……ロロか堅さん辺りかな」


「ロロは適役ね。盾にしてもいいし」


「…………」


 日本人にとって、あの勘違いを訂正しなかったロロの評価は非常に低い。風呂場で全裸のロロを盾にして暗殺者の攻撃を防ぐシーンを思い浮かべて少しくすりとしつつ、隣でどこか立候補したそうなシオンを敢えて無視する。さすがに風呂は理性が不味い。トイレは人間としてもっと不味い。


「分かったか?兎にも角にも、絶対に単独行動は禁止だ」


「「了解」」


「サー!」


 環菜にも楓にも断られ、最後の選択肢として最近暴走気味なシオンがもし風呂に乱入してきたら、果たして自分は耐えられるのか。この時点で既に仁の胃が痛かったのは言うまでもない。






「あれ?環菜さああああん?朝帰りですかあああああああ!」


「ち、ちがっ!これはその!」


 しかし翌朝、軍への出勤途中、堅の孤児院から朝帰りした環菜を見つけた途端に、胃の穴は塞がった。何にもいじられる事なく、むしろ散々いじった挙句にシオンの風呂とトイレの契約を無傷で取り付けたのだった。






 正式に付き合う事になってから、初めての朝。色々と緊張して少しぎこちないものともなったが、何とかいつも通り振る舞えるようになり。


「いやぁ!堅さんは軍を休みで会えなかったけど、楽しかったなぁ!」


「だ、大丈夫かしら?私、環菜さんのあの復讐の目がすごく怖いんだけど」


「シオン。風呂とトイレの環菜には気を付けてな」


「……マリーさん助けて!」


 言葉を交わしながら森を駆け抜け、魔物や動物の姿を索敵。今日は壁の外へと出て、食料確保の為の狩りを行っている。これは仁とシオンで行動を共にするに当たって話し合って出た、二人の日課を一日交代で行うという結論によるものだ。


「そういや明日の夜、またマリーさんが稽古つけてくれるらしいけどシオン来る?」


「いいわね。終わったらお風呂をお願いしようかしら……今は環菜さん怖いし」


 背を向けている番のオークを発見。木の上から飛び降りたシオンの剣が首を跳ね飛ばし、残るもう一匹を仁が出した氷の杭で頭を粉砕。軍の人間なら何分もかかるところを、シオンと仁ならものの数秒で片付ける事ができる。


「ちょっと待っててね仁。今すぐ切り分けて虚空庫に放り込むから」


「オーケー!こっちの奴は僕がやるよ!俺君、手先不器用だしね」


「うるさい。お前もシオン程上手くないだろ」


 あの命令がなければ、虚空庫に入るサイズの解体が得意なシオンに任せ、仁はもう一狩り行くところなのだが、仕方ない。解体用の包丁を受け取り、不器用素人ながらも頑張って切り分けていく。


「むう。なかなか難しいねこれ」


「……仁、やっぱり私代わ」


 だか素人は素人。むしろ肉を傷つけてしまいそうな手付きを不安に思ったシオンが代わろうとした瞬間、


「うわあああああああああああああああああ!?」


「すまないシオン。後で代わって」


「先に助けに行ってる」


 森中に響き渡るのは、男の叫び声。狩りは何も、シオンと仁だけでしているものではない。軍の面々も来ているのだ。他の魔物に肉を奪われないよう、シオンが土のドームを展開する数秒の間に、仁は先行。いつ如何なる時でもと言われたが、数秒くらいなら大丈夫だろうし、人命は数秒が命取りだ。


「オーク……でも、ただのオークじゃないね」


「久しぶりだ」


 声のする方へ強化で走る事30秒、そこにいたのは、いつか戦った鎧種と呼ばれるオークの上位個体と、木と突進に挟まれて潰れた軍人。そして、足を怪我して逃げれないものの、まだ生きている男。


「ちっ」


「残りは絶対、助けるよ」


 一人助けられなかった事に舌打ちし、強まった幻覚と幻聴、自分に強く言葉で言い聞かせる。同時、強化を再度展開し、戦闘態勢へ。


「あの頃とは違うからねっと!」


 駈け出す。かつての速さの数倍の速度。それは、予測でしか躱せなかったオークの突進を、楽々見てから回避余裕の速さ。僅かに身体を捻って避け、すれ違いざまに首へと刃を押し当てる。


「でも、さすがに一撃は無理か」


 しかし、鎧種の首を跳ねるまでにはいかず、首の皮膚の表面で刃は止まって弾かれてしまった。おまけに剣も刃こぼれしてしまっている。通常の強化だけでは、ここが限界という事だろう。


「なら……!」


 走る勢いそのまま、木を駆け上がって数メートル。これ以上の上昇は見込めないという所で体を捻って木を思いっきり蹴飛ばし、弾丸の如き勢いで宙を渡る。


「これで、どうだ!」


 突進後、振り返ったオークの眼前に迫るのは仁の掌。驚きに見開かれた目が硬いのは既に分かっている。しかし、しかしだ。身体の中は、さすがに柔らかいだろう?


「喰らえ」


 掴んだ汚い鼻に刻印を押し当てて発動。鼻の穴から侵入した氷の刃が探るようにオークの顔の中を行進し、口の中へを凍てつかせて呼吸を奪う。鼻から口までを凍らされるという、想像を絶する痛みに悶え苦しむオークから、氷の刃を繋げ伸ばしたまま距離を取り、


「トドメだ」


 口内で爆発的に氷を増殖させて、息の根を止める。口から氷が溢れた異様な鎧種の死体に近寄って鼓動を聴き、死んでいる事をしっかりと確認。


「……ごめんね。助けられなくて」


「い、いえ!そ、その!ありがとうございます……叫んだ時にはもう、彼は押し潰されていましたから……」


 安全を確認した後、シオンに治癒されていた怪我人へと近寄り頭を下げる。だが彼は、仁が悪い訳ではないとフォローしてくれた。


「そう言ってもらえると……」


「おい見ろよ。助けられてねえぞ」


「シッ!しょうがねえよ。何せ『偽物』だからな……」


 言葉の途中、木々の向こうから強化された仁の耳に聞こえてきたのは、確かな声。幻聴なんかではなく現実に存在する、しかし、現実と信じたくはない男の声だった。


「ありがたいです。肩を貸します。立てますか?」


「仁……?」


 ここで反応を見せるのは却って信憑性を高めてしまうと、仁は無視を選択。内心では動揺が渦巻いており、彼の変化に気づいたシオンが心配の顔を見せるが、彼女は聞いていなかったようだ。


「あのぉ、大丈夫ですか?」


「手伝いますよ!」


「本当?じゃあ私達で護衛するから、本隊までこの人の肩を持ってくれないかしら?」


 仁に聞かれていたとは夢にも思っていない二人組が、茂みをかけ分けて姿を見せる。シオンは嬉しそうに怪我人を引き渡すが、仁の顔は以前晴れぬまま。


(……『偽物』……バレている?いや、そんな魔力眼でもない限り……)


 胸中に渦巻くのは、自分の嘘がバレている可能性。ただの戯言や妬みかもしれない男達の言葉だったが、最近この街で起きている様々な事件と組み合わされば、切って捨てる事なんて出来ない。


(捕まえて、吐かせるかい?)


(だめだ。逆に真実だと思われる。吐かせた後、処分するなら話は別だが……おそらく彼ら二人を止めても意味はない)


 しかし、仮にただの軍人にもバレているならば、広がっている範囲は小さくはない。たった二人を口封じした所で何も変わらないと、仁はこの場での追求を諦めた。


(一体、何が起きようとしている?)


(柊さんは、気づいているのかな)


 危険はもう、この街を蝕んでいた。その危険が生まれた理由は、この街を守る為に隠された、人殺しの真実なのかもしれない。


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