第101話 塩は塗るよりも送れ
痛い。いや、確かにまだ身体の至る所に痛みはあるが、それ以上に心が痛い。
「デート?」
「はい!」
鼻息を荒くして頷いた少女はまた、仁の非常に痛いところを突いていた。
治癒の刻印を使い、一日中でも早く剣が振れるようにと無茶な治療を行った。おそらく早く寿命が縮まるレベルの、後先考えないその方法は、シオンの心をひどく傷つけただろう。なにせ使っているのは仁とは言え、自分が刻んだもので好いた相手の命が削られていくのだから。
(どう、しようか)
断るべきだ。彼女との思い出は、確かに喉から手が出るほど欲しい。願いを叶えてあげたい気持ちもある。それでも断って、剣の遅れを取り戻す為に時間を使うべきだとは思う。幾重にも絡まった負い目さえなければ。
(シオンの約束反故にしたの、俺らだもんな)
一つ目は先も述べた通り、刻印の無茶な仕様の負い目。これだけなら、まだ断れた。しかし、悩ませるのは二つ目。一緒にいられる時間がもうほぼなく、その上、彼女との世界を救った暁の約束を勝手に破り棄てた負い目だ。
(僕らの都合で世界滅ぼすわけにはいかないから、その点はもうどうしようもなかった)
(むしろ俺に関しては、シオンと一緒になれないから好都合とさえ思えた。けど、シオンの心情は)
自分の欲求なんかより、シオンの想いを察して悩む。気取っているだとか、自分に酔っているからだとか、そういうものではなく、仁はもう自分という存在を考えの外に弾き出して、物事の優先順位を決め始めていた。
「仁は、行きたくない?」
「いや、シオンが行きたいなら……でも……」
自分を嫌いになりすぎての、歪な思考。その思考こそがシオンが今つけこもうとし、治そうと思っている仁の嫌いな部分だった。
「遅れ、取り戻さないといけな」
「医者としての観点から助け舟。退院できるからって言って、いきなりの無茶な訓練は禁止。まぁ明日一日くらいは?ゆっくり普通に過ごしな」
「梨崎さんないす!」
「どうもどうも」
開いたドアからほらよと投げられた浮き輪に、シオンは感謝する。仁の断る理由は、これで幸せを拒絶するという一つを除いてなくなった。
「お願い!後生だから!世界救った時の約束の前借り!」
シオンは手を合わせ、神に仏に天使に悪魔に祈りながらもう一度頭を下げる。後生というキーワードは、また仁の深い所を抉り出した。おかしな話だ。好きな女子からのデートのお誘いという、一年前なら大はしゃぎしてベットを壊すくらい飛び跳ねたであろう出来事に、苦悩している。
(俺君、どうする?僕としてはもう、ね?)
(……ちょうど、いいかもしれない。元より、早めに行きたい場所があったし、シオンがいるなら都合がいい)
行きたくないから、無理に行く為の理由を探しているのか。それとも、行ってはダメと幻聴が言っているのに行きたくて、その為の理由を探しているのかは分からないが、仁は理由に頼った。
「分かった。一日だけ、行こう」
「一つ条件。僕ら、行きたいところがあるんだけど、そこに付き合ってもらってもいいかな?」
「ぜ、全然いいわ!い、一緒にいれたら、それでいいし……」
もじもじとしながらそれなりに恥ずかしく、また突き刺さる言葉を放ったシオンに、仁は胸を抑えながら苦笑する。当の本人にきっと悪気はなく、自分が気にしすぎているだけなんだろうけど。
「それじゃ、明日僕らが病室出たら行」
「ま、待ち合わせとかしてもいいかしら!もちろん、仁の退院は見届けてからで!」
「……オーケー。明日はシオンの好きにしてくれ」
ああ、そう言えば。物語の中のデートは大抵、どこかで待ち合わせてから始まるものだったか。本で何回も読んで憧れたであろうシチュエーションを希望する少女に、仁は身を任せた。
「じ、じゃあまた明日!」
「はいはい。また明日ね」
それはそれは、とてもとても嬉しそうに部屋から出て行ったシオンに手を振った。
(……一日だけ、許してくれ)
訓練も出来ない休みの一日だけ。約束を反故にした負い目、仁を支えてくれたシオンの希望。これで終わりの思い出作り。
「服、用意しないとな」
「司令に頼んどくよ。いやぁ、若いねえ!楽しんできな。それくらいの働きは、してる」
「ははっ!……ですかね」
これだけ理由を並べても、仁の心は晴れないままだった。
「上手く行きましたね!シオンさん!」
「う、うん!なんかちょっと、仁があんまり嬉しそうに見えなかったけど……」
仁の病室を出て十数分後、シオンの部屋。とりあえずの作戦成功を祝う楓だが、少女はどうにも浮かない表情。自分が浮かれていても、よく仁の事を見ている。
「やっぱり、まだ楽しんでいいのかって気持ちがあるんだと思います。でも、人間って楽しい時は心が勝手に感じます、から!」
「……だ、だよね」
今は思い悩んでいても、好きな人とデートならきっと楽しめると楓は励ます。しかし、仁の真実を知るシオンは、本心からの同意は出来なかった。
「聞きたいんですけど、シオンさん服持ってます?」
「あ」
「仁さんは気にしないとか、シオンが好きで服が好きなわけじゃないとか思ってたり、言ってくれるかもしれませんが、やはり可愛い方が好きに違いないです」
兎にも角にも行く事にはなったのだからと、失敗の心配をするよりも成功の準備に取り掛かる。全部が同じ服というわけではないが、シオンの持っている服はどれも地味で代わり映えしない。森の家に引きこもっていて、ほとんど誰とも関わらなかったから当然だが、これは不味い。
「もう夕方ですが、今から早速配給か露店回りに行きましょう。勝負服です」
「お、お願いします……私あんまり分からないから……」
待ち合わせ場所にいつもと変わらぬ服装で彼女が来るのと、デートだからと気合を入れた服で来てくれるの。大多数の男性は後者を喜ぶだろう。
まるでプランナーの気分だと思いながら、楓はシオンを引っ張って街へと繰り出した。
「……背に腹は変えられん。入るぞ」
廊下を突っ切り、鍵を開けて入った部屋の更に向こうの部屋。ノックと共に扉を開き、室内へ。ベッドの上で退屈そうに本を読んでいた騎士は堅を一瞥した後、また本の世界へ。
「何の用だ?まだ夜食の時間ではないが」
「聞きたい事……いや情報ではない。相談がある。女性への贈り物は、何が良いのだろうか?」
「……は?」
自信を監禁する男からの想定外の質問に、トーカは思わず本を取り落とした。
一葉から離れまいとする子供達を何度も宥めて引き剥がし、孤児院へと帰ってきた堅は自室の机の上で頭を抱えていた。
「やはり、何か手土産でも用意するべきだろうか」
悩みの種は、先の環菜とのすれ違いだ。断り方も隠し方も悪かった。話を聞かなかった環菜にも非はあれど、比率で言えばこちらの方が悪い。何らかの、侘びの品を持っていくのが筋だろう。
「あいつも、一応は女か」
女性への贈り物なんて家族にしかした事がない堅にとっては、凄まじい難題だ。皆目見当も付かないと悩む最中、脳裏に過ぎったのは自分が監禁している女性の顔。
「背に腹は変えられん……」
と、現在に至る。
「それで私に相談しに来た訳ですか?頭おかしいんじゃないですか?私は君達の仇ですよ?何をどうして私に聞くんですか?」
「うぐ……それも、そうだな……しかし、他に聞ける相手が……」
トーカの言葉は実にごもっとも。とは言え、楓に聞けば間違いなく詮索と雷を招くだろうし、桃田に伝われば向こう数年はそのネタでいじられる。五つ子亭はあんな騒ぎを起こした後で気まずい。となると、堅が頼れる日本人で女心の分かっている知り合いはおらず、仇とは言え女は女だとトーカを選んだのだが、やはり頭がおかしかった。
「もしや貴方、真面目で融通が利かないから友達が少な……いや、すみません。忘れてください。それはどちらかと言えば自分でした」
「………………」
「どちらへ行かれるので?」
真面目過ぎて友達が作りにくかったコンプレックスに塩を塗られ、こいつに聞いた俺が馬鹿だったと踵を返すも、呼び止められた。
「お前には関係な……いや、もう自分で探す」
「そうですか。あくまで、独り言です。何せ女性に品物を贈る事しか知りません。事情や理由が分からないですからね。つまり、例え的外れでも責められても困るので、独り言です」
「!?」
「装飾品や甘味が、私としては嬉しいですね」
塩を塗った謝罪か、それとも敵しか相談する相手のいなかった哀れな男への同情か。あくまで独り言と念を押しながら、トーカは堅へとアドバイスを贈る。
「高価な装飾品なら別れた後でも、速攻で売り飛ばしてお金に変えられます」
「べ、別に別れる以前に付き合ってもいない!それにかなり現実的な意見だな!?」
「女は殿方ほど未練たらしくないので。結婚を前提のお付き合いなら指輪に憧れなくもなかったのですが……それなら甘味を一緒に食べに行くというのもアリですね。距離が縮まるでしょう。断られたら脈なしです」
別れた後の男の贈り物の処分から、贈り物の甘味を活かしたデートへのお誘いテクニックと現実的にして実践的なアドバイスに、堅は思わず硬直する。確かに、別れた男からの贈り物を質に入れて飲みに行く女性の話は聞いた事はあるが、世界を超えてもその辺は変わらないらしい。
「……非常に悔しいが、タメになった。礼を言う」
「独り言ですので。とは言え、礼をいただけるならここから出して」
「それはダメだ。絶対にダメだ」
「分かっていましたよ。では、ご幸運を。あ、それとですが、どんなものが良いか分からなかったら、ちゃんと店員に聞いた方がいいです」
「……そうする」
「でも、任せたとバレるのもある種問題です。店員さんにある程度絞ってもらった上で、最後は貴方が選んだほうがいいでしょう」
「…………そうする」
話は終わったと、視線を文章へと戻したトーカに背を向けて、先ほど通った廊下をもう一度早歩きで突っ切る。完全に日が沈む前には、帰って子供達の夕飯にしなければならない。選ぶ時間を考えれば早いに越した事はないだろう。
「装飾品……アクセサリ……イヤリングは穴が無いと……」
環菜への焦りやアクセサリの悩みなどでいっぱいいっぱいだった堅はこの時、うっかりトーカの部屋に通じる手前の部屋の鍵を閉め忘れてしまった。
「今から俺はちょっとだけ外に出てくる。知らない人が来ても絶対に鍵は開けちゃダメ、何かあったらトイレの隣の部屋の下に地下室があるから、そこに隠れてなさい」
「「「はーい」」」
最初は警戒していたものの、怪人ごっこなどでそれなりに懐いてきた子供達に外出する旨を伝え、鍵の事に気付かぬままに外へ。最初の頃は子供達を留守番させての外出は気が気じゃなく、一目散に家へと帰ってきたくらいだったが、思った以上にこの子達は大人だった。伊達にこの街で盗みを働き、残飯を漁り、生きてはいないという事か。
「……行ったね。おじちゃん」
「うん行ったね」
「よし、作戦会議!」
と、まぁ今までは堅の言い付けを守って、留守番中は漫画を読んだり絵を描いたりと大人しくしていたものの、やはり子供は子供。鍵がガチャリとかけられる音を聞いた三人はひそひそと、今日の作戦について話し始める。
「今日の獲物は何かね!太一隊員!」
「堅おじちゃんの宝物であります!涼介隊長!」
「宝島はどこかね!司朗隊員!」
「場所は、いつも鍵の掛けられた奥の部屋です!」
実に子供らしい、宝探し。堅から何度も奥の部屋を開けるなと言われていたが、なぜ彼らが開ける気になってしまったのか。事の発端は数時間前に遡る。
「鍵の掛かった部屋?あー、堅の大兄貴も独身だしなぁ……まだお前らにははええよ。悪影響だ。開けちゃダメだぞ」
「何があるの?」
「堅おじちゃんの宝物だ。お前らがもうちょっと大きくなったら、分かるさ」
涼介達が一葉に肩車されながら聞いた、鍵の掛かった部屋の更に奥にあるのは何かという質問。えっちな本やその類と勘違いした一葉は、教育に配慮して宝物とぼかして子供達に伝えてしまった。
「では、作戦開始!」
「おー!司朗隊員、ハリガネをここに!」
「あいあいさー!」
結果がこうである。仮に堅がこの事を知ったなら、一葉はボコボコにされていただろう。しかし、現実として堅は知らぬまま外出してしまった。
「でも、これで本当に開くの?」
「昔テレビでやってた!見てろ……ほら!」
「すっげえ!開いてる!」
太一は鍵穴にハリガネを突っ込んで、テレビの見よう見まねでカチャカチャと暴れさせる。本来なら、九割九分九厘開かなかったはずの鍵だが、今日に限っては堅が掛け忘れていた。
「おったから!おったから!」
「ん?普通の部屋じゃん。隠してるのかな」
「ねえねえ。もう一つ扉があるよ」
着いたと思った宝島に、お宝らしいものは何もなく、整理整頓された普通の部屋が広がっているだけ。しかし、この部屋には何も無くとも、奥の扉の先ならばと、子供達は無邪気な笑みを浮かべながらドアノブを回し、
「どうしました?さっき助言をしたは……誰だっ!」
部屋の中へと入った子供達が見たのは、宝物なんかじゃない、物凄い剣幕で殺気を向けてきたトーカの姿だった。
「「「ひっ……うわああああああああああああ!」」」
「……!?この子達が例の子供達ですか」
いくつもの戦場を渡り歩いた本物の殺人者の、本気の殺気に子供達は腰を抜かし、地面へと崩れて大声で泣き始めた。いつでも虚空庫から剣を引き抜けるように構えていたトーカは、ちびっ子達の様子に警戒を解くも。
「ど、どうすれば……困りました。え、えーと、ごめんなさい。驚かせてしまいました」
「来ないで!」
泣き止まない子供達に、ほとほと困り果ててしまった。とりあえず謝ってみるが、泣き止む様子は無く。内一人に至っては持っている漫画を投げつけてきて。
「致し方、ありません。よーく、見ててください」
「……え?」
漫画を受け止めたトーカはしばしの逡巡の末、子供の泣き声を聞いた大人達に駆け込まれてはまずいと決断。残っている腕を布団に突っ込み、見えないように虚空庫から密かに楽しみにしていた異世界のアイスのようなものを取り出す。
「その、おひとついかが?」
「へ?え?これって、どっから?」
「秘密です。驚かせてしまった、お詫びに。お姉さんはここから動けないので、取りに来てくれませんか?」
「うん。あ、ありがとう!」
暖かいはずの布団からいきなりアイスが出てきた事に驚き、泣き止昔子供達。トーカは一人一人に断腸の思いで、故郷のアイスを渡していく。
「お姉さん、どうしてここにいるの?孤児?」
最後に受け取った一人が訪ねてきたのは、当然の疑問だった。うっと喉が詰まるが、この事態を想定していなかった訳ではない。冷静に、堅から与えられた言い訳の言葉を頭でなぞり、声に変えていく。
「いえ、私はその……外国人です。姿形が異世界の人と似ていたので、色々と酷い事をされていた所を、堅に助けてもらいました」
この世界の外国に関する知識はないが、それは故郷の話で代用できると思っての、外国人設定。それなりに筋は通っており、子供達相手ならば十分に騙せるはずだ。
「堅のおじちゃん。モテモテだな!」
「だよなぁ。こんなお姉ちゃんを宝物って呼んでるのに、他の女の人ともいい雰囲気だったし」
「……宝物?他の女の人?いえ、私は別に」
「でもこっちのお姉ちゃん、胸は無いけど美人だよ」
「………………」
甘くて美味し物を与えられた子供達は、もうすっかり警戒を解いてしまっていた。そらもう、失礼にも素直に感想だったり、堅の交友関係を喋ってしまうくらいに。
「……はぁ。そういえばこの本。お返しします」
「あ、ごめんなさいお姉ちゃん……さっきはこれ投げちゃって……」
「いえ、怪我はなかったので。不思議な本ですね。絵本ですか?」
「えっ?お姉ちゃん漫画知らないの!?」
自分に向かって投げられた漫画を返却する際に、うっかりとこの世界ではありえない無知を晒してしまった。しまったと顔を歪めるも、
「わ、私の国では、このようなものは無くて……あと、文字も読めませんから」
「へえ……頭悪いの?」
「こら、失礼だぞ!」
「じゃあお姉ちゃん、読んであげるね!」
「へ?いや、私は」
子供達は特に疑う様子もなく、ベッドの側で漫画を開いて、感情の込もり過ぎた声で音読し始めた。断る隙も無い子供ながらの押し付けに、それなりに暇を持て余していたトーカはまぁいいかと付き合う事に。
この時、トーカの胸の中に、忌み子である子供達への殺意は一切湧き起こらなかった。その事に、彼女自身も気づいていなかった。
新しい話で投稿しようか悩みましたが、ここに書いときます。メインの登場人物達の七夕短冊です。
「少しでも多くの人が助かり、復讐と飢えた子どもが、いなくなりますように」堅の短冊
「シオンちゃんと仁が上手く行きますように」環菜の短冊
「この街の人がみんな、幸せでありますように」楓の短冊
「いつか、大の為に切り捨てられる小がなくなりますように」桃田の短冊
「食いに困った女がいたら儂の所に来い!養ってやる!あとハゲのヅラ!」熊の短冊
「そういうものじゃ無いんですけどねえ!?モテますように」酔馬の短冊。なお、風に飛ばされて行方不明に。
「米が食えるような、世界になりますように……あ?毛が生えますようにじゃなくていいかって?ぶっ殺すぞ熊ァ!」柊の短冊
「仕事と幸せが増えますように」ヴァルハラヘルヘヴンの短冊
「長女なのに取り残された紅姉さんの恋が上手く行きま……商売繁盛して、皆さんのお腹がいっぱいになりますように。菜花は殺す」五つ子亭の短冊。菜花の血染め。
「これから先、誰も殺さず出来る限り多くを守って、この戦いを終えられますように」マリーの短冊
「世界一の騎士。あとティアモの色々な成長」ジルハードの短冊。メリア……と書いて消した跡がある。
「姉上の努力が報われ、彼女とジルハード、部下や民の期待に応えられる立派な騎士になれますように」ティアモの短冊
「ティアモとジルハードが結婚して、私の願いを継いでくれますように」メリアの短冊。3ぴ……と書いて消された跡がある。
「いつか、忌子がこの世から消え失せて、私達の役割が終わりますように」イザベラの短冊
「この様な身ではありますが、少しでも誰かの役に立てますように」トーカの短冊
「いつか、クロユリが普通に生きられますように。クロユリと一生一緒にいられますように」ロロの短冊
「いつか、私の必要ない世界になりますように。そして、ロロとずっと一緒にいられますように」クロユリの短冊
「世界平和」魔神の短冊
「誰も失わずに世界を、そして仁を私が救えますように」シオンの短冊
「死した者に安らぎを、生きる者達に幸せを。そして僕達に守る力を」僕の短冊
「世界平和」俺の短冊。二人の仁の短冊は何度も消した跡がある。辛うじて読み取れるのは、「自分達が殺した人が生き返りますように」




