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ボーナスな依頼 A

クエスト導入~ラストまで書くと長くなる感じだったので、試しに前後編にしてみました。


※今回、複数人のステータス値が表記されています。

 これまでは明言して来ませんでしたが、主人公をはじめとした各キャラのステータス値は4面ダイスによって算出したものをそのまま掲載しています。

 TRPG等ではないので、あくまでも目安やフレーバー的な要素としての活用ですが、しっかりとレベル1の状態から成長させたものです。

 ゆえに望んだ通りの数値になるという訳でもなく、今後の成長値の高低は私の望む形になるか否か、正直自分でも分かりません。

 どうなって行くかはサイコロに任せてみたいと思ってます。

 翌朝。いつもの調子で食後に協会まで来てしまった。ここでの生活サイクルが、身に付いて来たって事かな?

 今日の修行は休みなのにね。まあ、取り敢えずナルハさんに挨拶でもして行こうかね。


「おはようコトちゃん。北街区の名物富豪、コガネアールさん定例の道楽クエストが入ってるわ!この街の冒険者ルーキーたち御用達のボーナスクエストだから、各支部より挑戦者が集まってくる筈よ!」

「はぁ?」


 挨拶もそこそこにナルハさんはそう告げた。

 いったい何のクエストだろうね?お祭りみたいなノリか?


… … …


 という訳で冒険者協会本部。


「……」


 人ごみの中に佇む私。

 何も予定が無かったという事もあり、なし崩し的に参加する感じになってしまった。まあ初心者向けみたいだし、いいかな。


 初めて入る協会本部は、東支部の三倍位デカかった。ベテランか中堅であろう人達がひしめく中、まずは東支部からの紹介状を出す為にカウンターを目指す。


「コトさーん!」


 一度も来た事のない場所で名指しされ、思わずドキッとした。声の方をキョロキョロとすると、人ごみをかき分けて見覚えのある小さな影が顔を出した。


「ミミナガくーん!」

「やっぱり、いらしてたんですね!そうかと思って、探してたんですよ」

「あはは。ナルハさんに『さあ、さあ!』って感じでオススメされちゃって…」

「紹介状をカウンターに出したら、二階の小会議室で説明会と参加者の顔合わせ兼ミーティングがあるみたいです」

「そっかー。あ、そうだトイトイさんは?」

「不参加みたいですよ。フレンドリストを開いてみて下さい」


 言われて、私はフレンドリストを開く。


… … …


《フレンドリスト》

◯トイトイ・ホー

●ミミナガ・メデカ

●ぷみら・みにま


… … …


「黒丸がログイン中、白丸がログアウト状態なんです」

「あ、そっかぁ…通信機能しか意識してなかったよ」

「せっかくフレンド登録したんだし、本当なら一緒に組みたかったですけどね」

「うん。そう言えば…トイトイさんはリアルが忙しい中でなんとか両立させてるみたいな事言ってたね」

「ええ。とまあ、そういう訳でコトさん、協力の出来そうなクエストならばまた組んでもらえませんか?」

「私は歓迎だよ。ミミナガ君、情報収集や遠距離攻撃とか頼れるし…でも私とでいいの?前回は何にも出来なかったけど…」

「そんな事ないですよ。僕とは遠近でフォローし合えますし、コトさんて軽装だけど近接格闘系ですよね?しかも脳筋系でなく理詰めの出来る方だって思います。シユちゃんの話を聞いてギルドクエストまで繋げたり、負けはしましたけど路地裏での即席チームの戦術、点さんへの謝罪時の機転とか、とにかく僕が迷ってて足りなかった分をカバーしてくれそうで、突出した強さというより、バランスの良さがあると思います」


 べた褒めッスよ。有り難いけど恥ずかしい。


「ちょっと買いかぶり過ぎじゃ…」

「市中のクエストですし、前回と違って戦いがメインにはなりませんよ。情報収集、交渉、観察眼、機転等に重きを置ける人と組みたいんです。脳筋や猪武者系のバトルマニアとかは、ちょっと苦手なので…制御しにくいですし。ハッキリ言っちゃうと前回で懲りましたが、無謀な賭けを乱発するメンバーではこの世界で生存しづらいと思うんですよ」

「……うん。分かったよ。私も似たような感覚だし、是非一緒に組もうよ!ミミナガ君!」


 私達はこうして二人で受付を行い、二階へと上がった。


… … …


 第二会議室の扉を開くと、そこにいた十名程の視線が一斉にこちらに向いた。

 いでたちも武装もバラバラだが、皆値踏みする様な挑発する様な表情を湛えている。

 あからさまな奴や無関心を装ってる奴など、反応はまちまちだけどバレバレ。私も含めてだけど、向こうも皆素人だからね。

 そんな風に分析したら、こっちは逆に肝が据わってきた。自分より先輩な人もいるだろうけれど、こうなったら勝つ気でやってやるかな……

 だってね、ここで受けた視線には『敵意』や『悪意』も含まれてた様だしさ。そういう攻撃的な人だったら、容赦する余裕なんてないでしょう?


「参加者の方ですね?お掛け下さい」


 職員とおぼしき女性に声をかけられて扉を閉めると、一瞬にして階下の喧騒が消えた。凄い防音性だ。本部の会議室というだけあって、密談も出来る作りなんだね。

 私達が席へ向かおうとすると、後ろから勢いよく扉を開いて一人の女性が入ってきた。


「ごめんね、遅くなっちゃった」


 軽快に入って来たのは、茶系のチェック柄キャスケットがカワイイ女の子だ。白ブラウスの上に茶色のジャケット、下は裾にファーの付いた紺のショートパンツに革のブーツを履き、腰にはダガーを吊っている。

 そして何より印象的だったのが、くるくるとよく動く『猫目』だ。この子は多分…シーフだろうか?


 私達三人が席に付いて一分もしないうちに、外から受付にいた人が顔を出して室内の職員に合図をし、帰っていく。


「皆さん、改めまして。冒険者協会本部職員のルエタです。受付が閉め切りとなりましたので、そろそろ説明に入らせて頂きます」


 クエスト受注希望者は、私も入れて十二人。以前ナルハさんが言ってた通り、新人はやっぱり少ないね。

 四大国、二都市、一島の計七ヵ所がスタート地点として、各地でそれぞれ三、四十人程って所じゃないだろうか?そう考えると、初級冒険者の数は二百人前後と予想。

 勿論、バラつきはあるだろうし、あくまで憶測だけどね。


「今回の依頼人は、北街区在住のコガネアール氏です。氏曰く、新しくペットが欲しいとの事で、ペット候補を連れて来る様にとの依頼です。審査会場は、協会本部脇の多目的会館。見事、お眼鏡に叶う動物を連れてきたものには、五千パカシが与えられます。また、審査で落ちた人には、参加賃として五十パカシが保証されます。審査が行われるのは本日の午後、五点鐘。それまでにペットを連れて会場に来て下さい。参加ルールとしては個人でもチームでも構いませんが、場の混乱を防ぐ為に一人につきペットは一頭。今回は十二名の参加のなので最大十二頭となります。以上が基本的なルールです。その他、何か質問はありますか?」


「市外からの動物の持ち込みはどうなりますか?」


 そう質問したのは、毛皮を来た山賊風の男である。山賊と言ってもガサツさや粗野な感じはなく、神経質そうに視線を泳がせている。『マタギ』と称した方がしっくりきそうな人だ。


「技能『ビーストテイム』を使用出来るならば連れ込みは問題ありません。技能の無い方は、各市門にて審査を受けた後に登録番号を得て、初めて市内への連れ込みが可能となります。ちなみに、市内に居住する動物は基本的に全てが役所に登録されていて、番号で管理されています。無許可の獣は討伐対象、もしくは違法として捕獲、所有者には罰が課せられますのでご注意を」


「んー……その登録ってのは有料なのかい?」


 露出度の高い、エスニカン風ちょいケバ女性が気だるそうな声で聞く。


「25枚前後徴収されると聞き及んでいます。私自身は登録した事がありませんので、あくまで聞いた話ですが」


「審査の基準とか、どういう感じなんだ?」


 今度はいかつい兵士風男性の質問である。


「コガネアールさんは気まぐれな方です。審査基準は、正直私共にも伝えられてはおりません。可愛い、ゴージャス、カッコイイ、珍しい、何となく気になった等など、あらゆる角度から考えてご自分のチョイスで決めて頂いた方が良いとしか言えませんね」


 相手の好みか…ちょっと判んないね。ナルハさんの話じゃコガネアールさんは変わり者の成り金で、一定の期間毎に冒険者協会を利用して珍クエストを持ってくる常連だ。

 一万パカシ以上の金は勿体ないと言って使わないが、変わりに数千パカシの買い物は湯水の如く使うという名物キャラらしい。

 毎回、『旨い飯を持って来い』とか『この服に似合うアクセサリを用意しろ』とか『晩酌の席で踊り続けて最後まで踊ったやつが勝ち』なんて様々な注文をして勝利者に千金をばら撒くらしく、歴代の初心者達のご褒美クエストとなっている。

 ただし依頼は不定期であり、勝利者に法則がないので必勝法は無しって事らしい。まあ、参加賞もあるから受けるだけ受けとけっていう協会の伝統行事みたいなものなんだって。


「それでは、折角ですので参加者同士で自己紹介など兼ねて話し合っておいて下さい。代理人や替え玉などは認められませんし、ここにいる十二人のみが参加、勝負する形となります事をご留意下さい。以上を持ちまして、私の説明を終わらせて頂きますね。以降は一切の口出しをせず、隅に控えております。もうここから先に質問は受け付けませんし、影の様に徹しておりますので、お構いなき様。扉を出た時点で、スタートとなります」


 ルエタさんはそう言って、お人形の様に本当に動かなくなった。すごい、王宮の兵士や召使いみたいだ。


「じゃあ、自己紹介といこうか!」


 あっけらかんとした明るさを持った戦士風の人が、周りを見てにこやかに言った。こういうオープンな感じの人がいると、こういう場は楽だよね。


「ふん、ではワタクシからね!ライザ・ネル。神官戦士志望。所属は当然本部ですわ。残念ですけど、この勝負ワタクシが頂きます。以上!」


 高飛車な感じで純白のドレスアーマー?を着た、ボブカットでツリ目のお嬢様が偉そうに告げて、冒険者カードを提示した。いや、私よりレベル上だし、偉そうなのはいいんだけどさ……私はテーブル下の手でスクリーンショットのコマンドを素早く入力し、まばたきで彼女を撮った。


… … …


NAME:ライザ・ネル 種族:チト族 LV24 キャラクタークラス:神殿の下っ端小間使い

STR90 VIT59 DEX65 MEN62 SPD74


… … …


 カード情報オープンしちゃってるね、『この勝負を頂いちゃってる小間使い』さん。


「次は私だ。銃士ロズウェル、同じく本部所属。ライザ嬢のパートナーだ。以後、お見知りおきを。因みに我等のクエスト経験は二回だ。まあ、よろしく頼むよ、引き立て役諸君!」


 うわぁ…パートナーもまた実に『らしい』感じだ。この人は銃士と言う事だが、マスケット銃は持ってないんだね。でもフリントロック式の短筒っていうのかな?海賊が持ってる様なやつを腰帯の所に挟んでいる。この世界は基本、店売りとかで銃は存在しないし、アレが彼のチト族としての固有装具(ユニーク武具)ってやつなのかな。三銃士っぽい格好して、細剣を吊っている。


… … …


NAME:ロズウェル・コードウェル 種族:チト族 LV24 キャラクタークラス:傭兵くずれもどき

STR71 VIT61 DEX86 MEN67 SPD70


… … …


 私は吹き出さない様に細心の注意をしながらSSを保存した。はっきりと理解したよ。ココの運営は、初心者のクラス設定が辛辣だ。要は、一人前になるまでは屈辱に甘んじろ!という事なのだね。こうして見ると、私の転売屋なんて可愛い方だ。


「あ…あの、私…MAKIと言います。ライザ様の…付き人です。レンジャーを志望しています」


… … …


NAME:MAKI 種族:チト族 LV23 キャラクタークラス:流民

STR62 VIT63 DEX68 MEN65 SPD74


… … …


 こちらはフードとマントで全身を隠した女性だ。目元もフードと前髪で見えない。パートナー二人と部下?ここへ来て上下関係が出てきたね。この人は大人しくて気が弱そうだし、なし崩し的に手下にされてしまったのだろうか…。ステータスの特徴からも、チト族が選べる天稟能力(ステータス上昇の得意なもの)はスピードで、初期は一律20にしたって感じかな。他の人より数値に偏りがなく、均一に近い育ち方をしてるから。多分、自己主張や目立つ事苦手で、平凡を装う事に安心するタイプかも。


 とまあ、こんな感じで次々と自己紹介はつづく。


… … …


「俺はアイアン。戦士修行の身だ。西ギルド所属。よろしくな!クエストは三回目だ」


NAME:アイアン 種族:チト族 LV25 キャラクタークラス:雑兵

STR86 VIT74 DEX64 MEN61 SPD78


… … …


「ぐすたふだ。アーマーナイト志望だが、今は盾持ちとして活動している。西ギルド所属で、クエストは三回程経験している」


NAME:ぐすたふ


… … …


「モア・E。一応、猟師をやってる。南ギルド所属。クエスト経験は一回」


NAME:モア・E 種族:チト族 LV24 キャラクタークラス:山菜採り

STR65 VIT59 DEX80 MEN63 SPD70


… … …


「魔術師のハットだ。クエスト経験はない。本部所属」


NAME:シャンプー・ザ・ハット 種族:チト族 LV22 キャラクタークラス:魔術師の弟子の弟子

STR55 VIT61 DEX64 MEN93 SPD70


… … …


「JAMJAMよ。西ギルド所属で、踊り子やってるわ。まだ前座だけど、よろしくね~!クエストは二つクリアしたわ」


NAME:JAMJAM 種族:チト族 LV25 キャラクタークラス:前座

STR70 VIT67 DEX76 MEN63 SPD84


… … …


「ライ・クライと申します。詩歌を詠みながら、風の様に世界を放浪中。よろしくどうぞ。クエストクリアは一回。現在は西ギルドに所属。今回、JAMJAMさんと組ませてもらってます」


NAME:ライ・クライ


… … …


「エスプレッソだよ。職業はヒミツ!組んでくれた人には教えてあげるよ。クエスト経験は二回かな。あ、東ギルドね」


NAME:エスプレッソ・デミタス


… … …


「み、ミミナガと言います。まだ未熟ですが、情報屋を目指してます。よろしくお願いします。南ギルド所属で、クエストは一回経験しています」


NAME:ミミナガ・メデカ


… … …


 ついに自分の番だ。


「コトです。一応、商人志望です。あと、今回はミミナガ君と組ませてもらってます。所属は東ギルドです。あ、クエストは一回…です」


 NAME:コト・イワク


… … …


「さて、取り敢えず自己紹介は終えた訳だが…どうする?ソロでやるのも、チーム組んで協力するのもアリだと思うんだが…」

「冗談じゃないわッ!貴方達と組むですって?ワタクシ達は既にスリーマンセルで組んでおります。ましてや、下等なタト族が混じった集団等と組むなんて…願い下げですわ!」


 アイアンさんの言葉に、ライザさんが噛み付く。あー、ヤッパリと言うか何と言うか……居るんだね、こういう手合い。

 このゲーム、タト・チトで種族分けされていてステータスの違いがあからさまなんだよね。だから絶対居ると予測してたんだよ、チト族至上主義の差別主義者が。でもさ、チトが偉いってのは正直言って甚だ疑問なんだよね。チート仕様とはいえ、この地では少数種族な訳だし、タト族に召還してもらったって筋書きなんだよね。万一争い合ったとしても、最後はジリ貧でしょ。

 それに分かりやすく言うなら、イージーモードで楽して強くなったライザに、ハードモードで1からやってる私やミミナガ君を蔑視する資格などない筈である。


「まあ、まあ、そんな喧嘩腰になるなよ。別に種族で争ってる背景なんてない訳だからさ…」


 アイアンさんがそう言ってくれたが、ライザとそれに同調するロズウェルの嫌な態度に、周囲は微妙な空気となった。


「……そ、そんな事よりも後半の数人!貴方達、カードが違うじゃないの!何なのよソレは!?」


 周りのチト族の覚めた目が少しは堪えたのか、ライザが話をすり替えて詰問する。

 この人、選民思想がある割にギルド職員からの情報収集も満足に出来てないんだね。あ、職員もタト族だからかな。それで個人情報垂れ流しなんだから世話ないよね。


「確かに、私のも皆さんのと違いますけど、それは…初心者の意見で恐縮なんですが、登録した支部の違いじゃないですかね?カードに彫金する方の登録官ランクがどうとかいう話が有りましたし…」


 自信無さげにワザとそう言ってみせた。ライザの言い分にカチンと来てしまったからだ。

 ささやかなる偽情報を食らえ!せいぜい偉そうに、情報垂れ流してろ!

 そんな調子で私は周囲を見渡してみた。カード情報オープン組とクローズ組双方の反応を確認するのが目的である。

 万一、間違いを指摘されても初心者の無知を振りかざして逃れるつもりだけどね。


「……」


 オープン組は『うーむ…』みたいに思案する感じだが、面白いのはクローズ組だ。


 『おいおい…』みたいな表情で顎を撫でる仕草で誤魔化しを決め込むぐすたふさん、目を閉じて澄まし顔のライさん、猫目を糸の様に細めて楽しそうにこちらを見詰めるエスプレッソさん、そしてよくやったと言わんばかりのアイコンタクトをしてくるミミナガ君。


「……確かに私も、カード登録後に東国から馬車で旅して来ましたからね、滞在期間中は西ギルドに在籍してる形です」


 お、ライザの言動が心証を悪くしたからだろうか?ライさんがそう言って私に追従してくれた。それを皮切りに他の人達が口裏を合わせ始める。


「俺は西国スタートだ。ずっとフリーランスで国家所属ではないがな」


 これはぐすたふさん。


「私もコトっちと同じ東ギルドだし、製造者一緒だよね~」


 これはエスプレッソさん。でも実は彼女、私より先に色々とウソをついてるんだよね。

 ナルハさん、東の新人は私だけって言ってた。それにSSで再確認したが、彼女のカードはステータスがクローズされていたけれど問題はそこじゃなくて、右上の角に四ツ葉のクローバーが描かれていた事だ。つまり本部所属なのだ。

 ライザ達からもツッコミが無かった所見ると、他の新人とは協会で顔を合わせない様に注意を払って来たのかも知れない。

 何か『コトっち』とか呼ばれちゃってるし、さらりと同じだとかって宣言されちゃったよ。

 まあ、私もウソついてる訳だし、『合わせるからソッチも合わせて!』って事なのだろう。


 とまあ、こんな感じで何となく『そうなのか…』という結論で話が終わると、ライザチームの三人は偉そうに勝利宣言をしつつ退室していった。あー、スッキリした。


「さて…微妙な雰囲気になったが、どうしたもんかね?変わりモンのペットの感性を当てるとなると、職種やステータスでカバーってのは難しいし、組むってのも案外アリに思えるが、それぞれの意見を聞かせてくれないか?」


 アイアンさんのそんな提案に、またそれぞれが意見を述べていく。どうやら皆必勝法などなく、条件次第で組んでもよいという感覚らしい。

 ここに居るのは未だ初心者の域にいる者達であり、クエストに関して自信がある訳でもない。

 元々、負けん気やプライド等で『我こそが』っていう感じもあった様だが、根拠のない自信で組むのを否定したライザの強烈な振る舞いが地雷臭全開のフラグに見えたらしく、皆冷静で殊勝な気持ちになっているというのが大きい様だ。


「ちょっと、いいか?」


 ぐすたふさんが片手を上げて発言する。


「色々考えたんだが、あくまで一つの提案として聞いて欲しい。このクエスト、どうしても一人で大金が欲しいっていうのなら別だが、取り分を折半でも構わないという感覚で挑むなら、チームで組んだ方が勝率を上げられると思う。説明にあった通り、十二分の一が勝者となる訳だが、思いきってここにいる全員で組むというのも一つの手かと思う。恐らく、『この中で気の会う数名と』という考えの奴は多いかと思う。協力と取り分とを考えてな。でもそれではライザ達と勝率はほぼ変わらない事になる。いっそ九人で組んで、勝率四分の三まで上げたいというのが俺自身の本音だ。そうすれば、一人頭五百パカシ。残る五百は、ペットが選ばれた者にボーナスとして進呈。どうだろうか?」


 皆、頭の中で計算しまくっているみたいだ。


「成程、確かに一理あるな。初心者にとっては、大金以上に実績作りが大事って話もどこかで聞いた事あるぜ」

「そうだな。冒険者はランクを上げて行かなきゃ駄目な訳だが…『レベル』、『ステータス値』、『何かの偉業』の他にランク上げに必要とされるものが、『クエスト攻略数』って噂だ。どれが確定なのか、ウィキにも載って無い訳だし、勝てる所で勝っておくというのも重要に思えるな」


 これはシャンプーさんとモアさんの談だ。


「それに…先程のルエタ嬢の説明位ならば、各自に簡潔に話す程度で終わりますよね?この様に顔見せと話し合いの為に会議室を取ってくれたという事実が、闇雲に仕事を請け負うか、必要な算段を話し合い、確実性を上げる事の出来るチャンスを活かせるか?という試金石とも考えられませんかね…」


 ライさんがゆっくりと落ち着きを払った調子で言った。言われてみれば、確かに顔合わせは最終審査時などでも良かった様に思えるよね。


「オーケーよ!私はそれでいいわ。勝率七十五%、一人頭五百、負けたら五十、選ばれた時ボーナス五百。今日一日の取り分としては妥当よ」


 JAMJAMさんの言葉で、皆が意を決した様に頷いた。


「当然だけど、抜け駆けや持ち逃げは無しよね?その辺の取り決めはどうすんの~?」


 エスプレッソさんが顎に指を当てて質問した。この人はしたたかそうだ。むしろ一番抜け駆けしそう(笑)。


「それでしたら、問題無いかと思います。冒険者協会というのは、取り分とかそういった保証を守る故に組織立ってるという一面もあるみたいでして、クエストの実行時、取り分の誓約証書等を預かって保証してくれるって聞いています。ここには、ルエタさんもいらっしゃる訳ですし、誓約を破った協会員はブラックリストに記載されるって話ですし……」


 ミミナガ君が手帳を確認しつつ言った。さすが、彼も色々と情報を聞き込んでるみたいだね。勉強になるなぁ。


 とまあ、こんな調子で私達九人は協力体制をとり、誓約書を協会に提出したのであった……


 

『キャラクター成長ルール』


【チト族】

 初期ポイント100で割り振り後、現レベルまで1D4で成長。初期レベル20からスタート。ステータスの中から一つ、『天稟』を持つ能力を選択する。成長時、4の目が出たら振り直す。但し、『天稟』のついている能力は、最大値の4まで成長する。


【タト族】

 初期ポイント80で割り振り。初期レベル1から。レベルアップ時は1D4を振り、1~4まで成長する。『天稟』は無し。


※道場でのレベルアップは、30まで限定で成長時のダイス出目が1の場合、振り直しが出来る。




 次話は三分の一程書き上げましたが、実はクエストの勝利者は未定です。

 ただ単に主人公や主要キャラを勝たせるのは簡単ですが、自分で書いていく中でランダム性やマルチシナリオっぽい演出をさりげなく書く為の一助になるかもと思い、結果を決めずに進めてみようかと試している最中です。

 ラストの判定の所まで書いた後、そこでアミダでもしてみようかと考えております。結果としてつまらないお話になる恐れもありますが、敢えて自己責任で書き上げてみるつもりです。

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