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俺が目を覚ますと、そこは楽屋、ではなく、見たこともない小屋の一室だった。その部屋の隅に置かれている粗末なベッドに横たわっていた。
「ん・・・どこだ・・・ここは・・・。」
・・・ん?俺の声ってこんなに高かったか?
「あら、目が覚めたようね。」
部屋の中に俺と同じくらい、20歳前後といったところか、の女性が入ってきた。この小屋の主人だろうか?すかさず訪ねてみる。
「おい、ここはどこなんだ?」
「・・・それだけ元気があれば問題なさそうね。ほんとにびっくりしたのよ。朝、目が覚めて小屋の外に出たらあなたが倒れていたんですもの。お腹空いてない?すぐパンとスープ用意するから待ってて。」
「おい、俺の話を聞け!勝手に話を進めるな!大体お前は誰なんだよ!」
「まあまあ落ち着きなさいな。まずは腹ごしらえしましょ。」
そう言い残すと女性は部屋から出ていった。
ったく、どうなってやがる。
女性が部屋から出ていって、食事を持って部屋に戻ってくるにはそんなに時間はかからなかった。
「うちで作って販売しているお手製のパンよ。じっくり召し上がってくださいな。」
俺は差し出されたパンを一口かじる。
・・・うまい。
こんなパンを食べたのは初めてだ!
俺は一気に残りのパンも口の中に入れた。
「ふふ、びっくりしたでしょ。あまりにもおいしくて。」
俺は大きく何度も頷く。
「・・・私の名前はエリサ。ここはイストラという小さな村なんだけど、その村でパン屋さんを開いて生活しているわ。ところで、あなたの名前は?何をしているの?」
「俺の名前はシュウ。一応ミュージシャン・・・の卵といったところか。」
「へぇ、あなた女の子なのに変わった名前をしているのね?」
・・・え?
「ちょっと、鏡を見せてくれないか?」
「?いいけど・・・。」
そう言ってエリサは部屋の中にある手鏡を差し出す。俺は奪い取るように鏡を受け取り、鏡に写った俺の顔を見た。
面影は残っているが・・・確かにこの顔は女の顔だ。俺は女になったのか?
そういえば胸のあたりが少し重たい感じがする。
ということは。
「・・・ない。」
あるはずの男のシンボルがなくなっている。
俺、完全に女になってる・・・。