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学生武林  作者: 灰色
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序歩

武林【ぶりん・うーりん】武術を生業にする人、武侠が身を置く社会。


武林【たけばやし】人名。日本人の名字。


 六歳だったか七歳だったか、とにかく父に最後にあったのはそれくらいの歳だったと思う。


 父から武術を習いはじめて、一年も経っていなかっただろう。習いはじめたばかりのころだった。素人も素人、ただの子供だ。


 今から思えば、六歳だろうと七歳だろうと、武術をはじめるには早過ぎやしないか。相場なんて知らないからなんとも言えないけど。


 その日は、いやその日も、馬歩で下肢と立身中勢を鍛えていた。


 父の声が思い起こされる。


「いいか書文。何事も基礎が大切だ。基礎が疎かだと柱の一本も立ちはしない」


 これが父の口癖だった。本人も、同門が呆れるほどに長いこと基礎に励んでいたらしい。それを息子の僕にも教えている。


 結局、父に直接教えてもらったのは馬歩と三才式だけ。立ち方と構えだけ。立身中勢と二目平視は叩き込まれた。


 立ち方だけなんて、どこまで基礎を大事にしているのだか。


 あとは書きかけの指南書から大八極だいはっきょく金剛八式こんごうはっしき。あと俳打功はいだこう


 八極拳の基礎。


 どうやら八大招式はちだいしょうしきなんかも教えてくれるつもりはあったらしいのだが、指南書には題名が記されていただけで、中は白紙だった。


 以来、高校入学となる今日まで、僕は毎日基礎だけを繰り返した。


 僕にとって、八極拳は父の遺品なのだ。




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