協力者
「うぎゃぁぁぁぁ!」
背後から炎が飛んできたのを風属性の魔法で酸素を無くす事で消して炎の攻撃を防いだ。
―――あの女、あぶねぇぇぇぇ!
体中の汗腺が開いて変な汗が吹き出てくる。
「セ~シリーアァァァァ!!!」
轟音を発して炎の魔法を飛ばしてくる。
「レティシア!俺なんか悪い事したか!?」
≪・・・・あんな事言ったら誰でも怒るわよ≫
「嘘だろ!?アレで怒るとか子供だろ!」
そう、発端は洞窟内でのことであった。
「スゲー炎だな。チリチリだな」
「チリチリという表現はやめて。」
「え?何で何で?」
「しつこい!」
ディオネがルスの頭に炎を纏った拳でげんこつをした。
ルスはギリギリで避ける。頬に熱い感触が残る。
≪この娘の胸、小さくね?≫
レティシアがルスの頭の中に囁いた。
「コラッ失礼なことを言うな!世の中には色々な趣味の人が居て小さくても大きくても関係ないんだよ!」
その瞬間、目の前でゆらりゆらりと影が動いた。
「小さいって何の事かしらぁ?」
ディオネの指の一本一本に小さな炎の弾が現れた。
それを此方に向けて・・・・放った。
「わっぶねーー!何すんだよ!」
炎はルスに向って、飛んできた。
怒るルスを完全に無視をして、炎の弾を放った。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
このような事があり、今に至っている。
「謝る、謝るから!これ以上は暴れるな!」
「謝るね…けどソレじゃぁ私の気持ちは晴れないわよ!」
―――仕方ない、眠らせてやるか……
『 ライジングショット 』
魔方陣を展開し、三発同時に発射するが全て炎の壁に弾かれる。
―――こんな現象ありえないな…できるのかよ…だが…これはどうだ?
ボソッとライジングショットを足元に展開する。
―――さぁ…後は逃げるだけだ…。
ちょっと!あんた、待ちなさいよ!とディオネが叫んでいるのを無視してルスは走った。
そして、ルスの準備した魔方陣を踏んだ瞬間に強烈な電撃がディオネの足元を襲った。
そのまま、彼女は倒れた。
「ちっ、こんなに力を持つのに感情的とかどーゆう事だよ。」
高度の熱に当てられた頬を擦る。
≪神罰よw≫
「何、笑ってんだよ!人事だと思いやがって…」
そして、ディオネを背負って、森を抜けようとする。
暫く歩いていると森を抜けないうちに彼女は目覚めた。
「ちょっ!何してんのよ!」
「目覚めたか、早いな」
ルスはディオネを落した。
「いたっ!何すんのよ!」
「お前、火傷までさせられてんのにここまで運んできてやったんだぞ?感謝ぐらいしろ!」
「な、悪いのはあんたでしょーが!」
「ああ、アレは謝るがあそこまで普通するか?」
「うっさいわね…」
ディオネは悪びれもせずにそう言った。
「アンタは救世主…勇者みたいな者かしら?」
「それは誰にきいてやってきたんだ?」
ルスは気になっていたことを話した。
「竜神族の子だったわね…」
「竜神族?」
「そう、まっさか知らないの?」
「まぁな、いろんな境遇があるんだ。」
ルスはごまかす。ふ~んとディオネは興味のなさそうな声を出した。
「ま、その名の通り。大昔に神と竜人の間に出来た者の子孫よ。竜の巣っていう岩山しかない地帯に集落があると聞くけど……」
「それで、お前も魔王の討伐を依頼されたわけか?」
「そうよ、けれどメインは貴方よ。」
「それは俺の特殊な魔法の能力のせいか?」
そんなの知るかとディオネは答えた。様子を見るに本当にそれについては知らないようだ。
「恐らく、アタシの推測だと伝説の道具を使えるものが貴方ということじゃない?」
―――伝説の道具ね…そんな物があるのか
「それじゃ、ソレの回収に俺は行かないといけないわけね」
「アタシ達よ。アタシもアンタに付いてかないと…てか、案内はアタシよ!」
そう言うとディオネは走り出した。
「付いてきなさい!」
―――勝手に怒ったり、面倒なのがまた増えたな…
≪けど、目的は一致しているしいいんじゃない?≫
「ああ、レティシアの言うとおりだな…」
そして、ルスも走り出した。
「行き先は?」
「機械都市ブーゲンビレアよ!」
「そこにあるのか?」
「ブーゲンビレアは大昔に魔王軍に奪われたジニアサウス国を奪うための前線都市だったのよ…」
それにルスは疑問を持った。
―――前にも魔王は存在したのか?
≪救世主は貴方が初めてではないわ。過去にも何度も登場している。貴方みたいな人が過去にもいたのかもね≫
―――だったら、俺が最後だ。俺が全てを終わらせてやる。
決意を込めてルスは進みだした。