病室はやることがない
病室はやることがない
入院なんかしたら暇でしょーがない
≪目覚めたようね≫
レティシアの声で意識がハッキリと戻った。
「ここは・・・・?」
頭を押さえながら問う。眩暈が少しする。
「ここは騎士団ブルーハイツ支部、医療部。」
レティシアの代わりに医療部の人間らしき人要は医者が答えた。
「なるほど・・・・」
腹を見てみると傷は見事に塞がっていた。
「何処か体調が悪いところはありますか?」
「まったくない。ありがとう」
「とりあえず、今日は安静にしていて下さい。」
すると医者は病室から出て行った。
≪昨日は悪魔相手によくやったわ≫
「ああ、何故、狙われたと思う?」
≪それは・・・異世界の人間だからじゃない?それに・・・あんたは多重ウィザードね≫
「多重ウィザード?」
≪本来、魔術師は属性が一つに固定されてる筈なのよ。≫
「俺は・・・電気と光か?」
≪ビンゴ。多重ウィザードは悪魔とか魔族関係と死人・・・ゴースト位しか使えないわ。生身の人間が多重ウィザードなのははじめて見たわ。私は風と炎・・・≫
「そうか・・・」
手に平に軽く魔方陣を構成した。
『魔力の風よ巻き起これ!』
小さな竜巻が現れる。
「風も使えるようだな・・・」
≪な・・・・≫
レティシアは絶句した。
「どうしたんだ?」
≪あんたは何なの?多重ウィザードでも二つが限界よ?≫
「は?」
≪異質わね。気持ち悪いわ。≫
「きっ・・・!ってお前!傷つくわ!!!」
≪そもそも、見よう見まねで魔法は真似できるものではないわ。≫
「ふーん、ま、優越感に浸れそうだな」
更に指から小さな魔方陣を構成する。
そこから炎が出たら成功だが残念ながら炎は現れなかった。
≪残念。炎は使えないみたいね≫
「フン・・・なら!!!」
『暗黒転送!!!』
対象は花瓶、それが俺の手の上に来れば成功だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪残念でしたわね≫
「うっさい!他に属性は?」
≪アンタ、他の魔法知らないでしょ?本を読みなさい!それに魔法を使うには魔方陣作成のために古代ルーン文字を使わないとならないのよ≫
「わーったよ。じゃ、本読みに行くか」
そして、図書室へと向う。
「すいませーん、初級魔術の本ってありますか?」
図書室の担当者に問う。
「え・・・ッと・・・属性は?」
「ああ、そうか・・・・属性は風で」
「それなら、コレはどうでしょう?」
カウンターの上に本をテレポートさせてきた。
「ありがとうございます」
丁寧に礼を言って、病室へと戻る。
―――実に満足だ。
戻る道すがらにも本を読みながら歩く。
最初は古代ルーン文字ではない字で書いてあって、魔法に対する注意書きがページを占めていた。
病室に入って、ベットへと潜り込み、本を開いた。
ルーン文字のようなものが本に描かれたページが現れた。
その時であった。頭の中に何かが流れ込んでくるような感覚に見舞われた。
ページが勝手に捲れて言った。
「あ、ぁぁぁぁぁ」
≪どうしたのよ!?ちょっと!≫
「ああああ・・・・・・・・ふう」
妙な頭痛が治まった。声を上げてしまった。今更だが恥ずかしい。
頭の中がとてもすっきりした。
「どうやら、本当に、俺は只者ではないようだ。」
途切れ途切れに話した。
ベットの真下に魔方陣を作成する。そこから起こった風がベットを持ち上げた。
≪まさか、もう魔法を取得したの!?≫
レティシアが驚きの声を上げた。
「そのようだな・・・」
ルスはそのまま眠った。
≪才能はあっても・・・魔力不足ね≫
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