始まり、始まり~。ところでここはどこだ?
男が一人、高い山の頂上から地上を見下ろしていた。
「はぁ~、何でこうなった・・・・」
その山は岩山であって、今たっている場所はちょっとした岩の上に立っている感じであってバランスを崩せば落ちていって『死』が待ち受けているだろう。
なんで、居るかって?HAHAHA、知るか!
ん?それなら降りろと?・・・・それが出来たならやってますよ。
その山は円柱のような形をしていて降りるためにはロッククライミングをして降りなければならない。
そんな勇気は持ち合わせていない!
その時、強い風が吹く。
「おっとと・・・・・」
落ちそうになるが耐える。しかし、鳥が遠くから飛んでくる。
む~、随分、大きな鳥のように見えるな~。
そんな事を考えていた。
そのまま、鳥は此方へと飛んで来ている。
「うわぁぁぁぁ!」
鳥ではなかった。トカゲに羽が生えたようなRPGゲーに出てきそうな存在。
ドラゴンであった。
それがぶつかりそうになったら回避行動をとるのは当然である。
しかし、今の俺の居る場所は・・・?
俺は落下して行った。どんどん、速さを増して。
落下して行く遊園地のアトラクションで同じような感覚を味わったことがあるが『死』が近づくのも体感できて比にならないほどの恐怖を感じる。
すると足に激痛が走った。落ちた先は地面ではなかった。
なんと、ドラゴンの背中であった。
「汝が異世界からの戦士か?」
ドラゴンが話す。
「異世界?戦士?」
勿論、そのようなことは知らないので聞き返す。
こいつ、ドラゴンのくせに中二かよ!
「いや、愚問か。汝の中に眠る魔力を感じ取ればすぐに分かる。」
「魔力って・・・そんな物、持ってたらとっくに世界を征服してますよ」
ドラゴンが雲の上に向って飛んで行く。
俺はただ、落ちないように捕まっていた。
そして、雲を抜けると城があった。
日本よりヨーロッパ風だと思う。その素晴らしさに感動する。
「いった!」
広間のようなところで背中から落される。足に激痛が走った。折れているのか立ち上がることが出来ない。
「貴様の目的は何だ?」
少しいきがって居るのは分かるが言う。
「まぁ、待て。」
ドラゴンを煙が包んだ。煙が晴れると美男子がいた。
俺よりかっこいいじゃねーか。ちくしょーとまぁ、嫉妬は置いといて本題に入る。
「俺に何の用ですか?てかここはどこですか?」
「・・・・・お前に頼みたいことがある。」
「ハァ~、こっちの質問は受け付けないのですか?」
「今、次元を荒らす者が出てきている。」
ドラゴンが続けて言うのに舌打ちをしながらも聞く。
「お前達も関係がないことではない。お前達の世界も危険に晒されることを忘れるな。」
「じゃあ、誰がそんな事をすると?」
「それは・・・・この世界の裏で君臨する王。所謂、魔王だ。」
「魔王?馬鹿馬鹿しい。そんなのが居るはずはない。」
「ではドラゴンは・・・・?」
「・・・・・・」
たしかに言うとおりだ。ドラゴンが居るなら魔王も有りだろう。
てか、本当にいると考えてもいいが信用していいかは分からない。
「時間か・・・」
ドラゴンが元の姿に戻り身体が透明になった。
「私には戦う力は残されていない・・・・汝に全てを託す。ルス・セルシア。そう名乗れ。異次元の者だと良くないこともある・・・しかし、その名を名乗れば、人々は気がつくはずだ」
すると霧状になって消えていった。
「・・・・・・どうやって帰るんだ?」
一人ポツンと取り残された。辺りを見渡すと城が崩れた。
そのまま、瓦礫と共に落ちていく。
足は怪我をして動けなかった。
ああ・・・年貢の納め時だな・・・
そのまま、意識の渦に飲み込まれた。
再び、起き上がった。
そこは洞窟内で随分と陰険な場所であった。何より、俺を取り囲んでいるのは黒装束の人たちであった。
「せ、成功した!召還術が成功した!」
うおぉぉぉぉぉ!と歓声が巻き起こるか何のことかさっぱりだ。
一人、訳が分からずに黒装束の人たちを眺めていると一人、此方へと寄ってきた者が居た。
「そなたは我が魔王軍の救世主です。」
「は?」
「貴方の身体を頂きます。」
「はぁぁ?」
黒装束の奴が襲い掛かってくる。
「くっ!」
台座から目の前の奴のとび蹴りを食らわせて逃げる。他の黒装束は唖然としていたのか直には動かなかった。
壁に掛かっていた松明を持って洞窟内を走っていく。
分かれ道があったので松明を自分が行く方と逆の方へと投げる。
そして、所持品(上着)を近くに落す。
これでこっちに行ったと思うだろうか。
暗闇へと身を投じる。
そのまま、急いで先へと進む。足音が結構近い。
先に行くと倉庫のようなところに兵士が一人、見張りなのか座って眠っていた。
その兵士の首にそっと近くに置いてあったロープを巻いて、一気に締め付ける。
「あガッガ・・・」
そのまま、抵抗がなくなるまでやる。するとロープを取ろうとしていた手が緩みだらんと垂れ下がった。
ロープを緩め、脈を調べる。
・・・・・死んでいない。
そのまま、身包みを剥がす。
剣とナイフを奪う。
刃物、よりにもよって用途が武器のものを持ったことはなかったので気が高揚する。
装備を整えたところで背後から先ほどの黒装束が入って来た。
「ちょうどいいときに来た」
俺は振り返って言う。
武器を手に入れた今は対等だ。人数を除けばね。
黒装束の男が一人、前へ出てくる。どうやら、リーダーのようだ。
「君は魔王の生贄となるのだ!」
「何が言いたいんだ?バカヤロー」
剣を片手に構え睨みつける。
手始めに近寄ってきた黒装束の首を刈る。
そして、激しい斬り合いが始まった。
「安心しな仲間も地獄に送ってやるぜ。ゲヘゲヘ」
悪役の台詞だなと思いつつもそう言った。
しかし、疲れが溜まってきて敵の攻撃の激化に加えて俺は剣術をしたことがない。
攻撃を100%避けることが出来ないので傷がどんどん付いていく。
「ぐっ!」
肩を抑える。血が吹き出ている。
目の前にはまだ十を超える敵がいる。
その中の一人が斬りかかってくる。
≪力を貸してあげようか?≫
頭の中に声が流れた。
返事をする前に意識が切り替わった。
その後は身体という檻に魂を閉じ込められたような感覚になった。
視覚などはあるが身体を動かすことができない。
「何で、大きな剣を使うのかしら?」
俺の口が言った。ナイフを振るいながら言う。
その間にも三人が倒れた。
「速い方がいいじゃない。」
ナイフで首を擦る。黒装束の首から血が吹き出てきて返り血を一杯、浴びた。
≪身体が勝手に・・・何をした!?≫
俺は言ったが俺の身体は聞く耳を持たずに戦う。
「うるさいわね。後にしなさい。」
そう言って、今度は手を敵にかざす。
『散れ!』
そう言った瞬間、俺の手から波動のような衝撃波のような良く分からないものが出てきて黒装束の集団が壁に飛ばされて全員仲良く倒れた。
『炎の風よ巻き起これ』
今度は洞窟の中に竜巻が巻き起こった。それは赤く燃え盛りながら倒れた黒装束を巻き込み燃えた。
「さて、片付いたわね。」
焼け跡を一瞥して言う。
≪どうして、俺の身体が勝手に?君は誰だ?≫
「私は・・・・・」
書き直しです。
また、随分と変わってしまったが・・・