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第5話 最強神には塵と埃の差はわからない。

最強と言われる神、ギゼウス。

その力には魔族、人間、他の神々すらも膝をつくのみだった。


数千年後、自身が邪神、暴神と言われる世界に転生をした最強神は、生きとし生けるものすべてに復讐を誓う物語。

 ギゼウスは、セリアーナたちと帝都第二の都市ルブス・テルミニーへ向かう道中この世界のことについていくつか質問していた。

 セリアーナの言葉からわかったことは3つ。


 1つ目は、ギゼウスの知っている魔法とは別の魔法が使用されているということ。

 この時代の魔法は、第一位魔法~第十位魔法まで分かれており、数字が大きくなるにつれて強くなるらしい。

 もっとも、ほとんどの人間は第二位魔法までしか使えず、強くとも第三位魔法までしか使えないようだが。

 

 2つ目は、この世界には9個の大きな国があるということ。

 人間種だけの国家に限れば4つ存在し、それぞれが大きな力を持っているらしい。

 転生前のギゼウスの知っている世界には、人間国家は2つしかなかった。

 それも人間種の国であればたった1つであり、大陸東側に追いやられ魔族に大陸のほとんどを支配されていたはずだ。

 

 そしてその魔族について分かったことが3つ目。

 魔族は大陸北西部に国家を構えているということ。

 だがほとんどの国と国交がなく、魔族の存在自体を多くの人間は疑っているらしい。


 「なるほど。リズよ、我の質問に答えてくれて礼をいおう。最後に2つ質問だ」


 金髪の少女――リズ――は、「なんですか?」といいながらギゼウスの顔を覗き込む。


 「クロノス という魔族は知っているか?」


 「知らないです。セナお嬢様はご存じでしょうか?」


 「いいえ、知りません。申し訳ありません」


 白髪の少女――セリアーナ――は、目線を下にして顔を下げる。

 

 「うむ。知らぬなら知らぬでよい。では勇者についてなにかしっていることはあるか?」


 「ゆう……しゃ……ですか?」


 セリアーナはすこし顔を驚かせて、いや同様にリズも驚いて顔を見合わせる。

 なにかまずいことを言ったのだろうか?

 あの忌々しい勇者であるが、人間としては目を見張る強さがあった。

 人間種が存続しているのであれば勇者についてしっていると思ったのだが。

 

 「申し訳ありません。勇者様をご存じない方というのは初めてでして。私からご説明させたいただきますね」


 セリアーナは自分の知っている情報を整理しながらゆっくりと説明を始めた。


 「勇者様は現在、ジュスレイ王国で代々誕生しております。国民の中から勇者の素質を持ったものを集めて訓練させ、その中から勇者候補として騎士や王国が後ろ盾の冒険者となります。その後第六位魔法まで行使できるようになった方を英雄、第八位魔法までを行使できる方を勇者様と呼んでおります」


 「なるほど。ただ先ほどリズが第三位魔法まで使えれば人間としてはかなり強いと申しておったが、英雄や勇者は人間ではないのか?」


 「いえ、英雄や勇者様も人間でございます。ただ、並の人間とは格別の力を有しているため英雄や勇者様とよばれております。ただ、私の知っている限りでは現在勇者様は存在しておらず、英雄とはお一方存在していると」


 「英雄が一人で、勇者が0か。ジュスレイ王国とやらは焦っているだろうな」


 「はい。ただ、あくまで公の情報です。もしかすると秘匿している可能性もあります」


 たしかにその可能性もありうるか。

 リズの話とセリアーナの話を整理すると、英雄級の人間一人でおそらく他国家の抑止力となるのだろう。

 それが数人、そして勇者もいるとすればあらぬ策謀を生む可能性もある。


 「我の質問は以上だ。そして……着いたな」


 「はい!ここが帝国第二の都市、ルブス・テルミニーの城門です!つきましたね!」


 都市内に入るための身分証とやらの確認の列だろう。

 かなりの人数が列を作っている。

 

 「やっとつきましたわね。リズ、混乱になるといけないから門番の兵士の方に挨拶にいってもらえるかしら。私たちはこの桟橋の前で待たせてもらうわ」


 かしこまりました~!といいながらリズは門番の方に走って行った。

 

 「なあ、セリアーナよ。お前はどこかの高位の貴族かなにかか?身なりから身分はある程度あると感じていたが」


 セリアーナは白いドレスのようなものに身をまとっている。

 もちろん旅のため動きやすいようになっており、宝石などはついていないがそれでも身分が低ければこれを着るのは難しいであろう。


 「すみません。そのご質問にはお答えできません」


 まあ、そうであろう。

 身分が高ければ高いほど簡単に素性は明かせぬ。

 先ほど身分証を見せてくれと頼んだ時にセリアーナではなくリズの身分証を見せてくれたのもそのためなのであろうな。


 「そうか。まあ別によい。それで?セリアーナも我に質問したいことがあるのであろう?」


 セリアーナは端正な顔立ちに苦笑いのような笑みを浮かべる。


 「ありがとうございます。リズから聞いたのですが、魔物を倒すのにつかった魔法や私を回復させるための魔法についてお聞きしたく存じます」


 「うむ。それはいいが、あの魔物はなんだ?リズは第三位魔法をつかっておったぞ。であれば人間の中では強いほうなのであろう?それがなぜあの程度の魔物にやられていたのだ?」


 「あの程度……ですか」


 さらに苦笑い、いや呆れたような笑みを浮かべる。


 「あれは黒死龍というこの世界最強の竜種、その眷属といわれている魔物です。噂程度でしか私もしりませんでしたが、本当に存在したとは……。あの魔物は黒夜狐ニクトアリクスと呼ばれており、たった一体で国家の一個大隊を蹴散らしてしまうといわれております」


 ギゼウスは驚いた。

 あの程度の魔物にそんなに手こずるとは、ギゼウスの感覚ではまったくわからない。

 いや、そもそもギゼウスは強さを測るのが苦手なのだ。

 ギゼウスの力の前ではほぼすべてがゴミ以下で些細な強さの差を測ることが苦手なのだ。

 人間が、塵と埃の違いに気が付かないのと同じように。

 

 「なるほど。そうなのか」


 まあ、これから人間の国に潜り込むのだ。

 いまですら手加減しておるのに、さらに力を抑えねばならぬということだろう。


 「それで、次はセリアーナの問いに答えよう。我の魔法はいまよりはるか昔に使われていた魔法だ。その時代から転生したのでな、今の魔法は知らぬのだ」


 セリアーナはさらに顔がひきつる。

 ただ、本当に諦めたようにため息を1つ吐く。


 「まあ、そういうことにしておきましょう。リズが帰ってきますので今の話は内密に。先ほどの魔物の名前もここだけの話でお願いします」


 そういうとリズが兵士を連れてもどってきた。


 「お待たせいたしました!やっと入れますよ!!」


 数人の兵士に護衛、いや監視のような形をとられギゼウス達三人は帝都第二の都市ルブス・テルミニーに入った。



 ――――――――――――

 ガルデリア森林国 議会


 「みなにあつまってもらったのはほかでもない。数時間前見えた閃光の後、黒死龍、アテル・モルティス様の魔力が消滅した」


 議会のあちらこちらから、「そんなわけない」「この世界の終焉だ」「まさか黒死龍様が...」といった声が聞こえる。

 そんな中、1つの声が議会を静寂に戻す。


 「いまは騒いでも仕方ない。事実の確認と帝国への対処が先決だろう!」


 発言したのはまだ若手のエルフ。

 その発言に眉をひそめるエルフもいたが、議長のような存在のエルフはしっかりとその発言を受け止める。


 「ああ、その通りだ。我々エルフの秘密部隊、"森影"に事実確認させている。そしてもし黒死龍様が消滅したことが本当であれば帝国が動いてくる可能性も多いにある。事実確認後であるが、王国に援助を申し出るべきであろうか?」


 ざわざわと、まとまらない声が議会に再度広がる。

 無理もない。

 帝国が全軍で攻めてくればさすがに危うい。

 だが、王国の援助があれば問題なく退けられる。


 「皆々方よ。落ち着けぬのもわかるが、落ち着いていただきたい。まずは我々の王、エルフ王に進言し、その後詳細を決める。ただ、内密に王国には議会の名でまずは情報共有をもらおう。それでよいか?」


 異論はないと言うように議会が静寂に戻る。

 だれも正解がわからないなか結論が決定し、混乱や不安そして様々な思惑がうずめく中、エルフの議会は終了した。


 

 


 

 


 

 

執筆頑張る

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