表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/5

第4話 戦争の火種はまだだれも気づかない

最強と言われる神、ギゼウス。

その力には魔族、人間、他の神々すらも膝をつくのみだった。


数千年後、自身が邪神、暴神と言われる世界に転生をした最強神は、生きとし生けるものすべてに復讐を誓う物語。

 金髪の少女はただ、茫然と目の前の男を見つめていた。

 それはなぜか?

 理由は2つ。

 

 1つ目はこの男が、見せた自分の知らない魔法とその威力。

 男から放たれた魔法は小さく並の魔法使いよりも弱弱しかった。

 ただ、なぜか?

 男の魔法は、魔物の魔法を打ち消し、いやそれどころか魔物と後方100mをそのまま更地にした。

 2つ目は自分の主人を生き返らせたのだ。

 小さな傷をいやすための回復魔法はもちろんあるが、亡くなった人間を生き返らす方法なんて聞いたことない。

 もちろん、私が知らないだけかもしれないが。


 自分のことをギゼウスと名乗った男に金髪の少女は恐る恐る声をかけた。


 「ギ、ギセウス様?えっと、あ、ありがとうございます」


 「うむ。契約なのでな。ではさっそく...いや、まずはお主とそこの白髪の少女の名も教えてもらおう」


 少女はためらった。

 この自分のことを最強と名乗る人間に名前を教えてもいいだろうか。

 いや、もちろん助けてもらった恩義はある。

 ただ、見たこともない魔法と人間の領域を遥に超えた"勇者"や"英雄"と呼ばれるようなあの方たちにも匹敵する力をもつ謎の男。

 ただ、逆を言えばこの男の機嫌を損ねればそれこそ自分、いやせっかく生き返らしてもらった主人が殺されるの可能性もないとは言えない。

 少女は何かを決心したように名乗り始めた。


 「はい。私の名前はリズと言います。こちらにいらっしゃるのが...」


 リズと名乗った少女は、自分の膝で休んでいるギゼウスが生き返らせた白髪の少女に視線を下げる。


 「こちらのお方が、アルフォンド・グレイス・セリアーナ様です。私はセリアーナお嬢様にお仕えするメイド兼護衛でございます」


 自分と主人の名前を教えたリズはギゼウスのほうに視線を戻す。


 「うむ。リズとセリアーナというのだな。我はギセウスだ。いくつか質問をしたいのだがいいか?それともセリアーナが目覚めてからにするか?」

 

 律義で意外と優しい...?

 リズがいままで出会った力をもつ人間は横暴であったり、変態のような人間が多かった。

 ただ、まだ信じられない部分も多いのでこちらもかなり慎重に話す必要がある。


 「はい。申し訳ありませんが、セナ、いやセリアーナお嬢様の目が覚めてからでもよろしいでしょうか?」


 ギゼウスの機嫌を損なわないように丁寧に質問に答える。


 「うむ。では待つとしよう」


 やっぱり、悪い人ではないかも...?

 すこしだけ緊張を緩めたリズの横にギゼウスは座った。


 ***

 

 ギゼウスがリズに座り、数分たった後セリアーナという白髪の少女が目を覚ました。


 「セナお嬢様!よかった...、本当によかった...」


 目を覚ましたセリアーナにリズはだきつく。

 リズの膝を枕にしてセリアーナは寝かしてあったので覆いかぶさるようにだが。


 「わ、私は...?」


 セリアーナはまだ状況を飲み込めていないように見える。


 「セナお嬢様は、先ほどの魔物にやられてしまい...。ただ、こちらの御方、ギゼウスが魔物を倒し助けてくれたのです」


 「そ、そうなのですか...。ではお礼をしなければなりませんね」


 セリアーナはゆっくりと立ち上がる。

 長い白髪は雪が太陽に照らされたときのように透き通る美しさだった。


 「お助けいただきありがとうございました。私はアルフォンド・グレイス・セリアーナといいます。ある理由がありこの先の帝国領、第二の都市ルブス・テルミニーにやってきました」


 セリアーナは下を向き、涙を浮かべているように見える。


 「その道中、魔物に襲われリズ以外の護衛はみんな....。私が不甲斐ないばっかに...!!」


 「そ、そんなことありません!セナお嬢様!あれは化け物でした...。セナお嬢様の魔法が聞かないなんてほとんどの人間で歯が立ちません」


 なるほど。

 このセリアーナという少女は人間の中で強きものに分類されるのであろうか。

 ただ、それならばあの程度の魔物にどうして蹂躙されていたのだろうか。

 いや、リズが先ほど魔物に放った(我に命中してしまったが)魔法のことも知りたい。

 あれは我が知らぬ魔法であった。

 が、我の目的はまずこの城壁内に入ることだ。

 ますはそのための情報を聞かねばなるまい。


 「本当に、本当に助けていただきありがとうございました!このご恩に報いたいのですが私になにかできますことはありますでしょうか?」


 「うむ。我はこの城壁内、ルブス・テルミニーといったか?に入りたい。ただ我は遠方の地よりきたためその方法を知らぬ。ぜひ教えてくれぬだろうか」


 「は、はい。身分を保証するなにかをお持ちであれば城門から入ることができますが....身分証はお持ちですか?」

 

 「その身分証とやらは持っておらぬ。我の生まれ育った地ではなかった故な」


 嘘は言っていない。

 神界ではそんなものなかった。


 「そうですか...。すこし困りましたね...」


 セリアーナは本当に困った顔をする。

 優しい人間のようだ。

 

 「セリアーナかリズよ。我に身分証をやらを見せてはくれぬか?」


 二人の少女はきょとんとした顔をする。

 なにかまずいことを言ったのだろうか。

 二人は一瞬目を合わせたかと思うとリズが自分のバックの中を探し始める。


 「あ、なら私の方をお見せしますね。こちらです」


 なるほど。

 自分の情報のすべてがここに書いてあるのか。

 氏名、年齢、家族の有無など。

 ギセウスは今現在身分証を持っていない。

 だが、持っていないのであれば創ればいいのだ。

 そんな簡単なことギゼウスにできないはずもない。


 「写生創造魔法マゲイア・グラフェース


 ギセウスはそう呟くと、リズのモノとは別にもう1つ身分証が出来上がる。


 「うそ...でしょ」


 リズは驚きの言葉をもらし、セリアーナは目を見開いて口を押えている。


 「なに。すこし魔法を使って創造しただけだ。べつに驚くことのほどでもないであろう」


 神話の時代、ギゼウスがかかわった神や魔族、人間であればこれぐらい容易であった。

 そんなに驚くことでもないであろうに。


 「ギ、ギセウス様...?今の魔法はいったい?」


 「うむ。セリアーナは知らぬか?元の物体の素材を参考にして術者が願ったものを想像する魔法だ。もし知らぬのであれば覚えるがよい。まあ、これで身分証はよいのか?」


 「え、えっとセナお嬢様。これはどういたしましょうか...?」


 なにか不都合があるのかセリアーナとリズはどこか口ごもる。


 「そ、そうね。ギゼウス様?身分証は役所や所定の場所以外で発行されたもの以外違法な物となってしまうのです」


 なるほど。

 そうであったなら魔法でつくのは悪手であったか。


 「ただ、ギゼウス様にお助けいただいたご恩に報いるためにも一つご相談なのですが」


 「うむ。なんだ?」


 「私共と一緒に城壁内に入られませんか?私共とご一緒いただければ恐らく城門を通過できると思います」


 「うむ。我としてはそれでかまわん」


 「では一緒に行きましょう。リズもいくわよ」


 リズは、はい!!と返事をしてたちがる。

 ギゼウスとセリアーナも立ち上がり、ゆっくりと歩き始めた。


 最強であるがゆえに常に一人で行動していたギゼウスが、初めてグループでの旅(旅というには短すぎるが)を始めた瞬間であった。


 ――――――――――――――――

 ザリンティア帝国 議会

 

 「あの黒死龍が消滅したとは本当か?」


 「おそらく本当だ。あのバカでかい魔力が急に検知できなくなったのだ。だが、一応帝国が誇る諜報機関、"月光"に調査を明示してる」


 文官のような服装の男の質問に、鎧を着た男が答えた。


 「では"月光"が帰ってからの話とはなるが...。これでやっと始まるな」


 その場にいた全員がそれぞれ目を合わせる。

 なにかを決心したように。


 「我々は憎きエルフを滅ぼす。あの黒死龍が消滅した今、あの憎きエルフが治める国、ガルデリア森林国に侵攻する!ただそのためには黒死龍がいた禁足地を通らねばならない。万全の準備を尽くして進行する!いいな!」


 鎧を着た男の声に家臣全員がその声に呼応する。


 「あの聖女候補もおそらくルブス・テルミニーにそろそろお着きになったことだろう。くれぐれもガルデリア森林国への侵攻のこと、外部に漏らさぬように!では、本日の議会を終了する」


 そういうと鎧を着た男は大きく息を吸い、腰に掛けた剣を天井へ掲げる。


 「ザリンティア帝国に、皇帝陛下に栄光あれ!」


 その場にいたすべての者がその言葉に続く。

 あの日受けたエルフへの恨みを返すために。

 鎧を着た軍人は武器を掲げて。

 文官はペンを掲げて。


 「ザリンティア帝国に、皇帝陛下に栄光あれ!」





 


 


 


 

 

 

 

 

 

 

執筆頑張る

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ