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第2話 最恐の龍、最強神によって消滅する。

最強と言われる神、ギゼウス。

その力には魔族、人間、他の神々すらも膝をつくのみだった。


数千年後、自身が邪神、暴神と言われる世界に転生をした最強神は、生きとし生けるものすべてに復讐を誓う物語。

 ここは...?


 見覚えのない空。

 ただ遠くまで広がる草原。

 そしてなぜか動けない。


 ただ青い空を見上げているとだんだんと記憶がよみがえってくる。

 

 そうか。

 思い出してきた。

 我はギゼウス。

 最強神である。

 あの忌まわしき魔王と勇者、そして雑魚神々にはめられて復讐を誓い転生した。


 で、ここはどこだ?

 いや、まてよ?

 転生したということは……

 なるほど、この我が赤ん坊になってしまったということか。


 親はいないのか……?

 まあ、我ほどの神であれば転生後自然発生したとしても不思議ではない。

 ただ、この体では不便であるのですこし肉体を成長させるか。


 <成長魔法グロウス>

 

 ギゼウスが念じると、瞬く間に体が成長する。

 凛々しい色白で高身長、男性にしては髪は長い。


 「まあ、これぐらいでよいだろう」


 こぶしを握り、手の感触を確かめる。


 「なるほど。やはり転生魔法は人間にしか転生できないのか。まあいい。我から見れば種族などどうでもいい。ただ、勇者と魔王、そして神々を殺すだけだ」


 ギゼウスは転生の直前に誓ったことを思い出す。

 絶対に殺す。

 何年、いや何千年かかったとしてもあいつらだけは我が消す。消滅させてやらねばならない。


 「ただとはいえ、まずは情報収集だな。ここがどこかもわからぬでは何もどうしようもない。とりあえずは魔力探知でなにかを探してみるとするか」


 <魔力探知アイステーシス・マゲイアス>


 なるほど……。

 東の方角に街があるが、すこし遠いな。

 あと、近くに魔力反応も1つある。

 我の力も試さねばならぬゆえ、この世界に挨拶がてら魔力の主をつぶしに行ってやろう。

 


 小さな木の実や人類が薬草と呼んでいたものを見ながらギゼウスは歩みを進めると、暗い洞窟にたどり着いた。

 

 「魔力の元はここか。暗い洞窟だな」


 ギゼウスは最強神であり傲慢だが、一応の礼儀をもっている。

 薄暗く、先の見えない動靴に向かってギゼウスは大きく息を吸い込んで叫んだ。


 「我はギゼウスだ。すこし我の力を試させてほしい。今出てくれば命の保証はする」


 最強神としての礼儀をして10秒ほど待つ。


 「なるほど、無視か。ではすこし力を試させてもらおう」


 ギゼウスの周りに黄金の魔法陣が展開される。


 「獄炎の破壊オレトロス・フロゴス


 ギゼウスから魔力が放たれた瞬間、目の前の洞窟は一瞬にして消し飛ぶ。

 いや、消滅したといった方がいい。


 「なるほど、力を制御してもこれか……。なかなかどうして考え物だな」


 ギゼウスはため息をついた。

 目の前の洞窟が消し飛ぶのはまだいい。

 ギゼウスの周り軽く1kmは砂漠となっていたのだ。

 

 <おい……。我の住処を消し飛ばしたやつは誰だ>


 ギセウスの脳内に重々しく、低い声が響き渡る。


 「なるほど。魔力の主はお前か」


 消し飛んだ洞窟があった場所には大きな穴があり、いや洞窟の下に隠してあったといった方がいいのかもしれない。

 その大穴からゆっくりと黒い巨体が翼を広げながら姿を現す。

 

 <我を黒死龍、アテル・モルティスと知っての所業であろうな>


 この世の黒をまとったような"龍"と自分を呼んだ生物はギセウスの前で大きく羽ばたく。


 「龍とやらすこしの間、我の相手をする権利をくれてやる」


 ギセウスの知っている中でも最大限に礼儀を尽くしながら龍に伝えた。


 <おい、人間。我を侮辱する気か?我は寛大な龍であるが、我の住処を消し飛ばした罪は大きい。さて、どうしてくれようか>


 「おい、龍とやら。自分のことを我と呼ぶな。我が我と呼んでいるのだからややこしくなるだろう」


 <おい、人間。どこまで我を侮辱するつもりだ。いや、そんなことよりなぜ我の瘴気を浴びて死なぬのだ?>


 この龍からは、黒くきもちわるい靄のようなものが出ていた。

 ただ、その程度ギゼウスに効くはずもない。

 なんなら臭い息程度にしか思っていなかった。


 「それが瘴気だとは思わなんだ。まあよい。我もしゃべるのは飽きた。すこし力を試させよ」


 <いいぞ、人間。消し炭にしてやるわ!>


 龍がそう言い放つと龍の周りに黒い魔法陣がいくつも展開する。


 <跡形さえも残らず焼き滅べ。絶死龍炎モルティス・アブソルータ>


 龍の後ろに展開した魔法陣が重なり、天を覆うほどの1つの巨大な魔法陣になる。

 その刹那。

 世界から一瞬で色が奪われる。

 そして――――。

 先ほどギゼウスが消し飛ばし、砂漠になった範囲すべてを黒色の炎が包み込んだ。

 天の魔法陣から際限なく絶大な威力の黒炎が地上を襲う。

 ギゼウスが立っている場所を中心として。


 <思い知ったか人間!お前が森林を消し飛ばしてくれたおかげで我も遠慮せず力を発揮できるわ!我は最恐のりゅ....>


 龍が勝利を確信した瞬間、たった1つの音共に黒炎は消滅した。

 消滅した黒炎の中に1つの人影がある。


 <ま、まさか....>


 「そんなに驚くな、龍とやら。なかなかどうして、いい攻撃だったぞ。ほらみろ。喜べ、すそが焼けた」


 <ふ、ふざけるなよ!!人間の分際で!!>


 「いやいや、本当に言っているのだ。我の衣服を傷つけられたのはお前含めて4回しかない。ほめて遣わす」


 <な、なんなんだお前は……。い、いやまて。先ほど我の黒炎を消した攻撃はなんだ>


 「攻撃?」


 ギセウスは首を傾げた。

 ギセウスには攻撃をしたつもりがなかったからだ。

 したつもりがない攻撃をなんだといわれても困る。

 

 「悪いな龍とやら。我は攻撃をしていない。が……」


 ギゼウスはすこしだけ指先に魔力をこめる。

 そして――


 パン――――――――


 その音の刹那。

 豪風が龍を襲い、地面にたたき落とした。


 <な、なんだ……。それは……>


 「ゆびぱっちんだ。知らぬか?雨の日に雲を蹴散らす際にやる”あれ”だ」


 龍はなにもしゃべらない。

 ただ、茫然とギゼウスを見つめる。

 理解しがたい生物を見る目で。


 「次は我の攻撃の番だ」


 ギゼウスは天にその手を掲げる。

 その瞬間、先ほどの龍が出した魔法陣にくらべるととても小さな、いや人間サイズで考えると大きいが龍サイズで考えると比較的小さな魔法陣が出現する。


 <な、なんだ。そのちっぽけな魔法陣は。驚かせやがって>


 自信を失っていた龍はすこし自信を取り戻したかのように大きな翼を広げる。


 「魔法陣の大きさがお前たちの強さの証なのか?」


 ここにきて初めてギゼウスは驚いた顔をする。


 <ああそうだ。我のような強きものはその力に見合った魔法陣を展開する。お前のその魔法陣の大きさでは、我に傷はつけられぬ>


 「ほう。それは知らなかった。では我の力の一端でもみせてやろう」


 ギゼウスは再度天に手をかざす。


 <な、なんなんだ....>


 ”勝てない”

 黒死龍は生まれて初めて、勝負をあきらめた。

 この世界の最強の1種として君臨し、数百年の間ただ自分の力におぼれて生きてきた。

 時折、勇者と呼ばれる人間に戦いを挑まれることもあったが、それもことごとく跳ね返した。

 同種と争うときですら、死を感じたことはなかった。

 その黒死龍が勝負をあきらめた。

 目の前の小さな人間に、いや、人間なのか?

 まあ、この際どうでもいい。

 天空に広がる、先ほど自分の出した魔法陣の数百倍にも巨大な魔法陣の前に黒死龍はそっと目を閉じた。


 「喜べ龍とやら。我の力の試しとなれること、誇りに思うがよい。一撃雷神(ライトニング・ボルト)


 世界を閃光が包む。

 最強神が目覚めたことを世界に示すように。

 閃光から世界に色が戻されたとき、ギゼウスの前に龍がいたことを示すものは何1つとしてなかった。

 ただの塵さえも。


 「うむ。我にしては手加減がちゃんとできたな」


 そう言い残したギゼウスは、人間の街に転移した。


 ――――――――――――――――

 ――ジュスレイ王国 緊急会議―――

 「なんだ、先ほどの閃光は!」


 神官の格好をした50代ぐらいの男性が叫ぶ。

 

 「わからぬ、わからぬ」

 

 「そんなことよりも黒死龍だ。あの龍は最恐と言われているんだぞ。その龍の反応が消滅した」

 

 「あの龍を倒せる存在なんてこの世界にいるのか...?」

 

 「おまえたちまて!騒ぐな」


 女性の神官がうろたえるほかの神官を落ち着かせる。

 

 「言う通りだ。我々が騒ぐのは良くない。ただこれはまずいことになった」

 

 「戦争が始まるぞ」

 

 「暗黙の不戦地域となっていた原因が消えたのだ。干渉地域が消えた帝国は精霊国やエルフの国に侵攻を開始するかもしれない」

 

 「ああ、可能性は高い。王国としての立ち振る舞いも考えなければならなくなった」

 

 「ああ、だがまずは情報収集だ。帝国含めほかの国々へのスパイも増やせ」

 

 「了解した」


 円卓を囲んだ神官はそれぞれ頭を抱えながら部屋をでていった。



 

 

 

 

 

 



 

執筆頑張る

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