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200才「お化け」のため息  作者: 小鎌 弓


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19/20

19. 戦争

 戦争がはじまると、ラジオ放送は軍国主義が色濃くなり、「敵機を撃墜した」というような内容が多くなった。

 そのうちに、「欲しがりません、勝つまでは」「本土決戦」「一億総玉砕」などと、理解しがたいスローガンが、町のあちこちで見られるようになった。


 ある日、空襲警報が鳴り響いたと思ったら、空襲が始まった。空襲は、昼夜を問わず、何度も行われた。美しい城も、立派な寺院も、歴史の記憶が刻まれた街並みも、破壊され消失した。焼け野原になった光景は、あまりにもむなしかった。空襲はここだけでなかったようで、超音波の声で、もっと悲惨な状況が聞こえてきた。

 軍需工場は特に空爆が激しく、そこで働いていた女学生は全滅したという。親たちが遺体を引き取りに来たが、焼けただれた身体は無残で、全身の形をとどめている者は少なかった。多くの親は、我が子を見つけることができず、飛び散った肉片を集めて、なんとか人間の形にして棺に納め…、まるで地獄絵図だったと言う。超音波の悲痛な叫びを聞いて、こちらも胸が締め付けられる思いがした。


 結局、大都会での空襲では、何千、何万もの人が亡くなったそうだ。恐ろしい話だ。西の方では、たった1発の爆弾で十何万という人が亡くなったとも聞いた。こちらも恐ろしい話だ。

 私たち「お化け」の数も激減した。早く移動できない私たちは、多くの仲間が火の海に呑まれて命を落としたのだ。


 戦後も、悲劇は続いた。親を亡くした戦争孤児たちには、耐え難い運命が続いていた。戦地で夫を亡くした妻たちも、苦しい生活が続いていた。終結してもなお、暗い爪跡を残す戦争とは、虚しいばかりだ。

 なぜ、人間は戦争をするのだろう。なぜ為政者は、「一億総玉砕」などと、人の命を軽んじるのだろう。

 国を動かす者は、国民の「命」と「生活」を守ることが第一ではないのか?なぜ国民を犠牲にして、戦争へと舵を切ったのか?


 しかも、今でも、世界各地で戦争が起きているという。そこでは、弱き者が犠牲になっているという。……私たち「お化け」よりも、賢く文明的なのになぜ?人間は、今だに理解できない生物である。

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