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200才「お化け」のため息  作者: 小鎌 弓


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10/20

10. いろいろなお化け

 本来、私たちは群れを作らず単独で行動するのだが、ごくまれに、いたずら好きな者どうしが協力することがあった。たとえば、「ろくろっ首」。あれは、実は二体のお化けが協力して演じているのだ。片方が頭と長い首に、片方が胴体に擬態する。ろくろっ首は、長い首のある頭の方が断然難しいが、その分、やりがいがあるそうだ。そのため、技術が高い方が首と頭を担当するらしい。

 また、姿を消す=背景に同化するときは、2人の息を合わせないといけない。普段、単独で過ごす私たちにとって、この連係プレイが非常に難しい。タイミングが少しずれると、胴体だけが消えて頭だけが残ってしまう。また、その逆もある。しかし、「ろくろっ首」に遭遇した人間は、冷静な判断ができない状態なので、その不自然さに気づくことは無いらしい。逆に「首だけが漂う」とか「首だけが無くなる」と、よりいっそう恐怖が増すようだ。怖がらせた側のミスが、かえって成功に繋がるというのは、なかなか面白い話だ。 

 

 一方、引き算の美学を追求する者もいた。「のっぺらぼう」だ。目も鼻も口も全て消すだけなら簡単!と思われがちだが、これが意外と奥が深い。人間の目の前に後ろ姿でふっと現れ、人間がこちらに気付いた瞬間に、ゆっくり振り向く。「のっぺらぼう」だと認識させたら、すっと姿を消す。このときの、振り向くスピード、その姿勢や顔の質感、姿を消すタイミングなどによって恐ろしさが変わってくるので、演技に自信がある者たちは、こぞってチャレンジし、そのノウハウが超音波で伝播(でんぱ)した。


 遠い北の方では、あえて、異形な「お化け」ではなく、人間の子ども「座敷わらし」になりすます者もいたようだ。これには、私たちの仲間内でも驚きの声が広がった。なぜなら、「子ども」は本来、かわいがられ、保護される存在であり、恐怖の対象ではないからだ。そんな子どもに化けるのは、かなりリスキーだ。化けた後、周りに同化する際の難易度も非常に高い。自宅の室内は、人間には見慣れた景色のため、ほんの少しの違和感でも見抜かれてしまう。しかも、長老が「大飢饉のとき、人間は人肉までも食らっていた」と言っていた地方だ。人間に見つかったら、獲って食われるに違いない。超危険だ。あまりにも無謀すぎる。

 しかし、実際は違った。人々は「座敷わらし」を福の神として崇め、玩具や小豆飯を供えて、大切に扱ってくれたらしい。北の人々は、本当は心優しく、信心深かったのだ。そんな人たちでも、大飢饉の際は地獄絵図と化すのだ。本当に飢えというものは恐ろしい。

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