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200才「お化け」のため息  作者: 小鎌 弓


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1. 私は「お化け」

 私は「お化け」。

 いろいろなものに擬態(ぎたい)する……すなわち「化ける」から「お化け」。

 擬態する生物は カメレオン、岩に擬態するタコ、枝に擬態するナナフシなど、この世にたくさんいるけれど、私たちの擬態の能力はもっと優れている。そのため、人間の皆さんは、まだ私たちのことをご存じないようだ。

 そこで、少しお教えしよう。

 私たちの大きさは小型犬くらい。体は極めて柔軟で、形や色、表面の質感も似せて、瞬時に擬態できる。たとえば、もふもふなポメラニアン、しゅっとした姿のシャム猫、固い甲羅の亀、ツルリとした陶器の壺、ゴツゴツした岩石など。

 また、薄っぺらになって張り付けば、金属製の門扉、苔むした岩、じゃり道、タイル壁、障子や天井などにも、本物そっくりに同化できる。とはいっても、さすがに明るい日差しの下では、人間に見破られてしまう。

 見つかったら最後だ。私たちは足が遅く、せいぜい人間が歩く程度のスピードでしか移動できないので、捕まってしまう。だから、日中は物陰に隠れ、夜になってから活動する。


 実は、私たちの「主食」は人間の生命エネルギー。

 生命エネルギーは、どんな動物のでも構わないけれど、野生の生物は警戒心が強い。しかも、私たちは低速でしか移動できないので、野生の動物に近づいて生命エネルギーを吸うのは、とても難しい。その点、寝ている人間は無防備だ。私たちは、夜中、熟睡する人間に近づき、エネルギーをいただく。

 でも、ご安心あれ。私たちが吸い取るエネルギーは微量なので、吸われた人間の活動に支障はない。

 ちなみに、仙人は霞を食べるというが、霞より生命エネルギーの方が、はるかにカロリーがあると私は思う。


 また、私たちはとても長生きだ。寿命は400年以上。群れは作らず単独で行動するが、縄張りはないので、仲間と争うことはない。むしろ、出会えば積極的にコミュニケーションをとる。

 声帯が無いので声は出ないが、超音波で仲間と意思の疎通をする。この超音波はかなり遠くまで届くので、10km以上も先の仲間と交信できる。そのため、単独で行動していても、孤独を感じることはない。

 超音波で交わされる言葉は様々だ。面白い話、怖い話、自慢話、昔の話、世間話、お悩み相談など。中でも、危険に関する情報は重要だ。危機が迫った時はもちろん、ささいな違和感でもすぐに超音波を発することで、私たちは緊急事態を未然に防いでいる。

 なお、人間の中には、故意にデマを流したりする()()()がいるようだが、私たちには嘘やデマは一切ない。もし確証がない話なら「これは憶測ですが…」とか「これは空想ですが…」などと、最初に断るのが私たちのマナーだからだ。


 現在、私は200余歳。正確な年齢は忘れてしまったが、江戸時代の中期から生きている。

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