不安
放課後。私は町へと出掛けていた。
本当はこんなことしたくない気分だったけれど、お母さんの誕生日が近付いてきてる。
デパートのお弁当グッズ売り場で、お母さんが好きそうなデザインを探していると、ある一つのお弁当箱が目に入った。
小さな花が散った柄の、ピンク色のお弁当箱―――。
大きさもちょうど良くて、私はこれにしよう、と決めた。
会計を済ませて外に出る。
私は家に帰るため、平日で人の少ない歩道を歩き始めた。
――――その時だった。
耳障りな急ブレーキの音。
続けて何かが派手にぶつかる音。
振り返った先では二台の車がボコボコに潰れていて――――。
それを認識した瞬間、目の前で爆発が起こった。
火に包まれるそれを見て、私は今日、学校で聞いた、友達の話を思い出していた。
―――そういえば朱音の事故があってから、この街で死亡事故が頻発してるんだよね。
私は鞄を強く抱き締めた。
中には悪魔――トリアから貰ったあの日記帳が入っている。
死亡事故。
悪魔。
そして――――――。
私は何かが結びついているような、そんな気がして、心臓の鼓動が早く脈打っていくのを感じた―――――。