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Sacrifice Diary  作者: 那泉織
4/11

悪魔から手渡されたのは………

「朱音。とりあえず考えるのは俺の話が終わってからにしてくれ。後で質問があったら聞いてやるから……」




「あれ? 何で私の名前―――」


「俺が悪魔だからに決まってるだろ」



 短く、きっぱりと答えたトリアは、じっと私を見下ろした。




 彼はまるで何かを決意したかのように一つ頷くと、右手に煙と一緒に一冊の本のようなものを出現させた。




「ほら、これやる」


「わっ……」





 放り投げられたそれを慌てて受け止めて中を開くと、文字は何もなく、ただ罫線だけがひかれたページばかり………。





「何、これ? ノート…?」


「日記帳だ」





 トリアは不思議に思っている私に言った。




「この日記帳はただの日記帳じゃねーぞ? これの表紙に死者が名前を書いて、日記を記すと、死者が現世に蘇られるって代物だ」





 ペンを手渡され、私は困惑して彼を見た。







「どうして…私に?」






 彼のその話が本当だとして、彼がこの日記帳を渡してくれた理由が分からなかった。


 だって、初対面だし、悪魔だし。





 彼は苦笑した。


「お前が死んじまうと俺が困るんだよ。悪魔には悪魔の都合があんの。で、どーすんだ? 生き返るか、このまま死ぬか………」



 二つに一つの選択。


 それを迫られ、私は少し間を置いた。





 そして……。









「………りたい。…生き返りたいに決まってるじゃない!!」





「なら、とっとと名前書いて、一ページ目に今日の日記でも書け」





 いちいち偉そうな物言いのトリアに触発され、私はペンのキャップを外して、名前を表紙に書き、今日の出来事を綴っていく。




***


〇月×日


 今日はお母さんの誕生日プレゼントを決める為に出掛けた。..........




***






 日記なんて普段書くことのない私は、それはもう一生懸命に書いた。


 何がなんでも「生きたい」と思ったから、大変だったけどひたすら………。








 書き終わった日記をトリアに渡すと、彼は満足そうに頷いた。








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