Sacrifice Diary
「その日記は死者を生き返らせることが出来るが―――同時に生者を殺す物でもある」
予想していた答えの中に、それはあったけれど、私はやっぱりショックを受けていた。
「その日記の名はサクリファイスダイアリー。………生け贄の日記だ。その力は名の通り、死者を蘇らせる代わりに生者を殺す」
「つまり、私は他人の命を使って、生き返っているってこと……………?」
「ああ」
トリアの肯定が、私の心を裂く。
それはあまりにも痛かった。
「どうして………言ってくれなかったの?」
「言ったら、使わなかっただろう?」
当たり前じゃない。
私にはそんなこと、出来ない。
そして、私は決心した。
「私、もうこの日記、使わない」
手に取ったそれをトリアへ差し出すと、彼は悲しそうな顔をする。
「明日、母親の誕生日なんだろう? ………いいのか?」
「うん。……プレゼントはもう、買ってあるから―――」
どうしてお母さんの誕生日を知っているのか不思議だったけれど、私はどうせ「悪魔だから」と答えるんだろうなと思って、あえて訊かなかった。
「……それに、他人の命を犠牲にしてまで生きていたいとは思わない。……そんなので命を得たって、嬉しくも何ともないし、幸せにもなれないと思うから」
トリアは唇を噛み締め、辛そうな、そんな表情で、無理に笑った。
「――――やっぱり、朱音ならそう言うと思ったよ」
彼は私へと手を伸ばし、私の視界は霞んでいった―――――。
***
再び現世から姿を消した少女の魂は黄泉の国へと下っていった。
悪魔は日記帳のページを破り、高いビルの上からそれを地上へまく。
数枚の紙は舞い落ちる中で淡い光へと変わり、あちらこちらに散らばっていく。
「………ずっと、好きだったんだよ」
悪魔は姿を人間――黒井燈亜へと変え、その場から姿を消した。
生け贄にされた魂は、再び現世に取り戻され、本来消える運命だった命がこの世から消えた。
世界は一人の少女を失い、再び元の歯車が廻る―――――――。
Fin
………いかがでしたか?
これで「Sacrifice Diary」は完結です。
………なんか無理矢理な終わらせ方をしてしまったような気がします。
おまけに一話が短いものもありましたし。
………こんな私の作品をお読み頂き、本当にありがとうございますm(__)m
評価して下さった方、感想を下さった方、本当にありがとうございました!!
もう、本当に凄く嬉しかったです!! 感謝してもしきれません!!
これからもご感想等をお待ちしていますのでよろしければどうぞ。
連載中の「僕等が求めたモノ」や、その他の作品も、どうかよろしくお願いします!
………さて、この辺りで一つ予告を。
この物語、「Sacrifice Diary」を悪魔のトリア目線で書いたものを投稿しようと思っています。
朱音のいないところで彼がどうしていたのかが分かると思います。
よろしければどうぞお読み下さい。
………いつも通りグダグダですが、これで後書きを終わります。
これからもどうか、こんな太桜の作品をよろしくお願いしますm(__)m