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ルール作りとお披露目会!

 さて。ツアー開始前におわらせる仕事は、あと2つ。バトルカードのルール冊子作りと、木製遊具のお試しを兼ねた、披露目会よ!


 先ずはルール冊子から。

 最初に書くのは、カードの説明。バトルカードは上3分の2には、魔獣の絵とその名前、そして属性とレベルが描かれている。

 属性は火、水、土、風の4種類で、それぞれ火<水<風<土<火の関係にある。

 そしてレベルは1から8まであって、強さ1や2のカードにはスライムや岩コウモリ、7や8のカードにはヒュドラやドラゴンが描かれている。


 そして下3分の1には技の名前とその強さ、さらに他の属性との技の相性が、数字で表されている。技の強さはレベル1のカードでは50から100、レベル8なら720から900まであるんだけど、属性との相性によって、それが20から150ほど増えたり減ったりするのよね。

 たとえばホーンラビットは風属性のレベル2で、技は角突き・技の強さ130だけど、土属性や火属性相手だと、それが−40や−10とかになっちゃうの。


 次にルール。

 これ、考案者のテリエさんが決めたルールが難しすぎて、エドガーが覚えきれないって言うもんだから、単純な遊び方を考えることになったのよね。アレはむずかしいわ。技を使うのに他のカードや手順がいるし、計算力も必要だもの。

 字が読めたり、簡単な計算ができる人は多いけど、だからといって得意なわけじゃないのよ。特に庶民や子供はね。


 そこで考えたのが、強さ1から8までのカード3枚づつ、合計24枚のカードを使った、1枚ごとのイッパツ勝負だ。


 コレは2人で向かい合って、よく切ったカードを手元に置き、バトルと言いながら、互いに一番上のカードを出す。

 出された2枚のうち、技の数字で相手を上回った方の勝ちになる。勝負が終わったカードは、勝った方の右手によけて、次の勝負に移る。

 もちろん、強さ1のカードが強さ8のカードに勝てるわけがないけど、2なら別。属性や技の強さによったら、1のカードが2に勝てたりするのだ。それどころか、2つ上のカードとあいこになることもある。


 もちろん冊子には元々のルールも載せるから、難しい方で遊びたい人は、そうすればいいだけ。


 試しに、特許の前の持ち主だったテリエさんが作ったカードを使って、マキシムとエドガーに対戦してもらったら、いつまでたっても終わろうとしない(特にエドガーが!)から、取り上げた。

 ついでに、バトルカードをして良いのは昼食後2時間だけと祖父様が制限をつけた。


 そして次の日。


「なんでこんなこと、したのよ」


「だって、絶対勝ちたかったから……」


 なんとエドガーが、強さ1から3のカードを入れずに4から8だけでバトルしようとしたのだ。3バトル目でマキシムが気づいて、バレたけど。


「このような卑怯なことを許すわけにはいかないな、エドガー。お前は明日から3日間、バトルカードは禁止だ!」


「そんな……」


 カードを取り上げた祖父様が、そう宣言する。うん。勝ちたいのは判るけど、ズルはいけない。

 だから、こういうことが出来ないよう、最後に相手のカードを確認するというルールを追加することになった。コレ、はじめにすると手の内がバレるからダメだって、マキシムが言うからね。


 冊子の最後にはカードの一覧表もつける。今回出すのは全部で58種類+宣伝活動の冊子で引き換える3枚の61種類。横には小さな書きこみが、できるようになっている。

 ここには持ってるカードに印をつけたり、欲しいカードに丸したり、好きに使ってもらえたらと思ってる。

 

 **


 次にお披露目会。コレには、全領民を招待した。

 とうぜん一度には入れないから、2日間、時間も分けての招待だ。


 1日目。朝からラバの荷馬車が大活躍で、みんなを連れてくる。招待よりも商売優先の出店も、いくつか出ている。オングル村の村長さんの揚げイモ屋も、もちろんあった。


「今日の儲けで、村の寄り合い所にオセローをいくつか購入しようと思いまして」


 村長さんの視線の先には、孤児院による『貸しオセロー屋』があった。そちらには、すでに人だかりが出来ている。


 孤児院の予想以上の宣伝力とその逞しさに、感動だわ。自分たちがゲームをするんじゃなくて、人にさせて、もうけるとは!



 お披露目会では、出稼ぎに来ていたおじさんたちが、自分が担当した場所や仕事の説明を家族に自慢気に話している。『滑り板』や『ユラリンコ』は小さい子供に大人気だ。

 少し難しい『縄の橋』や、ロープに掴まって移動する『すっとびロープ』は、大きな男の子たちが管理人さん達の手を借りながら、挑戦している。みんな、楽しそうだ。


 上級難度の『登り板橋』や『ロープ山』に挑んでるのは、来年孤児院を出ることになっている子どもたちで、その胸元には冒険者のプレートが光っている。


 ふひひ。せっかくだし、わたしも参加しよう!


「エドガー、マキシム!先ずは真ん中にある高見台まで、一気に行こう!」


木製遊具(コレ)は俺のほうが慣れてるからな。絶対エミィに勝ってやる!」


「設計に携わった僕には、完璧な攻略方法があるからね。(エドガーに)勝つのは僕だよ」


「じゃ、行くよー。ようい、スタート!」

お読みいただき、ありがとうございます。

次作の投稿は5月28日午前6時を予定しています。


評価及びブックマーク、ありがとうございます。

感謝しかありません。

また、<いいね>での応援、ありがとうございます!何よりの励みとなります。


誤字報告、ありがとうございます。

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