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愛犬がいればなんでもできる!…気がする!  作者: にゃんころもち
第一章
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従魔騎士団②


「やっと女の子が入団してくれたのね!嬉しいわぁ!これからよろしくねっ!」


「はいっ、こちらこそ!」



エルイットさんと別れた時にいた女性も従魔騎士団員だったらしい。あの後戻って来た彼女は、入団を聞くなり喜んで抱きついてきた。ほ、豊満なお胸が苦しい…!


けど良かった。他に女の人はいないと思っていたから、女性の事情は彼女に聞けそうだ。さすがに男性には聞きづらい。


唯一の女性はミアさんというらしい。つり目な美人で、赤茶っぽいふわふわのロングヘアーが素敵だ。そしてボンキュッボン。…鍛えたら、私もあぁなれるだろうか。


ミアさんはそのまま説明と案内を引き受けてくれた。



「まずは宿舎の案内ね。私達団員は、ほらアレ。あの建物で暮らしてるのよ」



アレと言われた建物は、三階建ての一軒家のようだった。ただし剥き出しの石造り。うーん、見慣れないなぁ。



「個人で部屋があって、小さいけれどシャワーもついてるわ。トイレは共同だけどね。宿舎の掃除は日替わりで、サシャちゃんにも順番に覚えてもらうから」


「了解です!」


「食事は時間が決まっているけど、多少前後しようが食べれるわ。中は…今サシャちゃんの部屋を作っているだろうし、後にしましょうか。次は従魔小屋ね」



歩き出した先にはさっき見た大きな馬小屋…のようなもの。けれど何個かは不思議な外観をしており、中も覗けないようになっていた。なんだろう…?



「あぁ、そっちはみんなの従魔がいるのよ。種族が違うから、こうして好みや習性に合うように整えてあげなきゃいけないの。モモの部屋も後で一緒に作りましょうね」


「あ、ありがとうございます…!」


「モモにとっての主人は貴女だけだと思うけど、私達はみんなの従魔を大事にするわ。だから何も気にしないでね?出来ればモモも」



慣れているのか、モモに手の甲を差し出したミアさん。モモはふんふんと匂いを嗅ぎー…



(そんなに撫でたいなら撫でてもいいぞ)


「あら、モモはいい子ね」



お、大人しく撫でられている…!


まぁモモは他の犬とも仲良く出来た子だから、協調性はあるのだろう。人間も好きだったしね。ただ家に人が来ると、縄張り意識かすごく吠えていたが…この小屋はどうなるだろうか?


不安はあったがみんな他人の従魔でも大事にするというので、モモも可愛がって貰えると思うとなんだか嬉しくて。


つい。


普通に、話しかけてしまった。



「モモ、後で一緒におうち作ろうね」


(ふかふかにしてくれ)


「ふかふか…で、出来るかわからないけど頑張る!」


(あと楓の寝床もな)


「私はここでは寝られないんじゃないかな…?ミアさん、さすがに人間と従魔は別々ですよね?」


「え、……えぇと、こっちでなら一緒に寝ても大丈夫よ。実際私もそうしているし。ただ潰されないようにね」


「わぁ、いいんですか?!やったねモモ!一緒に寝れるよ!」


(おう。ならあとはビーフ缶詰をよこせ)


「…忘れてた………ビーフ…缶詰…ね、ねぇ。ただのお肉じゃダメかな、…?」


(アレじゃなきゃダメだ)



やばいどうしよう。完全に忘れてた。こうなったら自作するしか…!


何かモモが食べれる肉はないかとミアさんに聞こうとして、気付く。あれ。ミアさん固まってる…?



「…サシャちゃん。不思議な事を聞くけど、モモと会話してるように見えたのは…気のせいかしら…?」



……………あっ……!



「あ、あのですね!これはっ、」


「や、やめて!隠そうとしないで!出来るのね?!会話出来るのね?!」


「ひぃっ?!勢いが怖いですミアさん…!あと掴んでる肩が痛い!」


「どうしましょう…!伝承でしか知らなかったけれど、本当にいたなんてっ!これはすごい事よサシャちゃん!」


「だ、誰かーーっ!ミアさんがーっ!」


「どうしたーっ?!」



その後、駆けつけてくれた団員が引き剥がしてくれるまで私の体は揺さぶられ続けたのだった。うぅ、頭ぐわんぐわんする…!ミアさん力強すぎ、さすが騎士。


同じ女性でも男枠に入れた方が良いかもしれない。



「で、何をそんなに興奮してたんだよミア」


「サシャちゃんはモモの言葉がわかるのよ」



あまりにも簡潔に言われすぎて訂正する間もなかった。バレるの早い。


そして全員がポカンと間抜けな顔を晒してくれたので、やはり自分だけだったんだと不安になる。



「…やっぱり普通じゃないんですよね?すみません、隠してるつもりはなかったんです」


「……いやいや。ごめんね、あまりにも衝撃的すぎて……」


「それが本当なら伝承以来…500年ぶりの大発見じゃねぇか」


「ごっ…?!」



やっば!そんな大昔にしかいなかったの?!これバレない方が良かったんじゃ…?!


どうしよう、と冷や汗を拭えば団長にガッチリ肩を掴まれビクリとする。うわ、しかも真顔だ。いい予感がしな、



「すごいじゃないかサシャ!羨ましいぞ!」


「え、あ、…………………はい?」


「俺達も日頃従魔の気持ちをわかろうと努力してるが、首を振られる事の方が多いんだ。…そうか、だからサシャとモモはそんなにも仲良しなんだな!くぅっ、羨ましいー!」



てっきり気持ち悪がられるか、別のとこに突き出されるかを覚悟したのだが…どうやら団長はただ羨ましがっているだけらしい。


それどころか他の団員までいいないいなと寄ってきて、しまいには自分以外の従魔の言葉もわかるか、なんてー…



「ちょ、落ち着いてくださいよ!必死すぎてこわぁっ?!」


「わかるのか?!わからないのか?!」


「知りませんよもう!モモ以外に会った事ないんですから!」


「なにっ?!ならすぐに俺のチャトラと会わないか?!かっこいいんだぞ!」


「あーっ、団長ずるい!一番に気付いたのは私なんですから、普通私からじゃないですか?!」


「ちょっと待て、俺だってムムスケの気持ちが知りたい」


「ぼ、僕も…!」


「あーあー、いい大人達がみっともないっスね。ってなわけでサシャちゃん、先に俺の従魔と」


「「「こらこらこら」」」



カオス、とはこのような事を言うのだろうか…?


予想と違い何故か皆喜んでくれてるみたいだが、これでわからなかったら土下座でもしなきゃいけないくらいの期待度である。うわ、嫌なプレッシャー。


というかそんな事以前に私みんなの従魔知らないんですけど…。

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