【短編】企滅隊〜ブラック企業殲滅隊〜
なろうラジオ大賞2 投稿作品(1)
俺は現在、ブラック企業殲滅隊……通称『企滅隊』と呼ばれる組織の代表をしている。
企滅隊に属している者は俺をはじめ皆、以前ブラック企業で働いていて心身共に病んでしまった者達の集まりだ。
ブラック企業で苦しむ者達を救うため……これ以上ブラック企業による被害者を生み出さない為にもと、俺は企滅隊を立ち上げた。
はじめは俺1人による活動だったが、俺の意思に賛同した者が徐々に集まり始め今ではその規模もかなり大きくなった。
だがそれでも、ブラック企業を撲滅するのは並大抵の事ではない……何故ならブラック企業のしぶとさはゴキブリ以上だからだ!
本来、休日明けの月曜日は気分が乗らないと言われている。
日曜夜6時半からのアニメを見終わってから「あぁ、明日から仕事か……」と気分を落とした事のある者は多いだろう。
だがブラック企業で働く者達にはそれが無い!
何故なら、彼らは年中無休だからだ。
彼らは花金の喜びも日曜夜の悲しみも知らない……なんと恐ろしい……。
それだけではない。
彼らは働きすぎて感覚が麻痺してしまっているのか、ごく稀に休みがあっても休日の過ごし方が分からないのだ。
働かない事への強迫観念に怯え、休日でも何か仕事を見つけて働いてしまう……なんとなんと恐ろしい……。
いや……俺自身かつてはそうだった。
喜怒哀楽なんの感情も無くただ無心に働き、働いている時以外の時間の使い方が分からない……。
幸運な事に今の俺はそんな状況から脱する事ができたが、世の中には憎きブラック企業のせいで今も苦しんでいる者が沢山いる……この先もそんな者達が次々と生まれようとしている。
……そんなのは許せない!俺はそんな者達をとにかく救いたい!その為に俺は、企滅隊を立ち上げたのだ!!
(トントン)
んっ、誰だ?……副代表のWTMに幹部のSKYに、参謀のYMDまで。
みんなどうした?
……組織を、抜けたいだと……?
活動が辛すぎて感情が無くなりそう……?
ごく稀に休みがあっても、どう過ごせば良いか分からない……?
ば……馬鹿者!!!
何を甘い事を言っているのだ!
どれだけの者達が憎きブラック企業に苦しんでいるのか分かっているのか!?
あの日の苦しみを忘れたのか!?
だからこうして企滅隊に入ったのだろう!?
3人からの返事はない。
……分かった。もういい、去れ。
俺は諦めないぞ。ブラック企業を撲滅する、その日まで……!