新しい日常
ーー「私たちとは、服装とか少し違う。ライくん…だったかな?」青色の髪をした少女がそうこちらに言い近づいてくる。しかし、「あっ、ハイ」と片言しか喋れない。ーーライは女性と話すことに耐性が無かった。
……少女は、自分より2歳ぐらい上に感じる。
ーー何故か懐かしい感傷がして、涙する思いが溢れる。
…………初めて会うのに、そんな気持ちになる。
そんな気持ちの中、隣の好印象の護衛の人が「あやさん、マジ美しいです!」と呟いていた。ーーこの瞬間、ライは少しだけ敵対心が燃えてきた。ド陰気キャ&コミ障からしてみたら、何と羨ましいのかー。多分、彼には分からない。でも、
「うん、ありがとー」と適当に返されていた。(よし、こいつは彼氏とかじゃねぇ‼)笑えた。急にこの男の人に同情的にもなる。
「…で、ライくん。いきなり、本題入るんだけど、記憶とゲートを見たいんだけど、、、」
「記憶とゲートを見る?」意味不明で聞き返す。
「そのまんまですよ。ライさんがいる世界の思い出をリーダーの能力で共有、確認するのです」
「へぇ~⁉」凄すぎだろ、と内面思う。
「なんでそんなことするんですか?」疑問に思い、質問をする。
「それは、あなたが、異世界に居るのか、記憶を見ることで分かるからですよ」(あ、やべっ、)現代から来てる転生者設定としては、バカ過ぎたな。ーーまぁ、でもそんなことはどうでもいい…ライは、方法を知りたかった。案の定、
「私がライくんに触れるだけで良いの。ライくんは想像して。その記憶を共有する」
「なるほど…ヘェ~?…うん~ん⁉えぇ‼」そんな簡単、、、いや、彼女に触れるのとか、耐えられない。ましては、、淡い恋心、やましい心を考えたりしたら……抵抗がある。「ちなみに、思ったこと全て通じるんですか?」
「全然、ごく一部。ましては、心が拒絶してたら、見えないヨ」良かった。なら…直後、
「あやさんに、隠したいことでもあるのかよ?」問い詰められているのか…!これは拷問刑とか………!昨日の夢のトラウマで思わずそう考えてしまう。が、ニヤついた顔の護衛の人がそう言っていただけだ。
「べ、別に、ただ大丈夫かが気になっただけです」誤魔化そうと、本音を交えて言う。が、
「これは、私を好きな気持ちを誤魔化そうとする男の子的反応じゃないの?」ーー思いがけない方向、唐突にそう放たれる。……まさかの、彼女からだった。意地悪な感じの話し方。そして、片目ウインクしようとでもしたのか、不器用な両目ウインクをしてきた。
「ーーーっ!」これには、ライは驚き過ぎて言葉が出ない。今までに感じたことの無い、立ちくらみが襲う。こんなの誰が耐えられるのか………
「気持ちを読まれた⁉」
「いやいや、俺の目でもお前さんの困惑と支離滅裂レベルで気づいてるわ」(マジかよ、、、)
確かに、彼女を目の前にしてからは、妙に落ち着かなくなったり、おかしな言動をしていた気がする。穴があるなら、入りたい……。
…でも、この護衛の人のせいで、事が大きくなったが、ある程度落ち着けた。
「じゃあ、始めましょうか」彼女が言う。
ライは、了承する。…すると、彼女が手を繋いでと合図する。
ライは、まだ、この状況と理解に追いつけてないが、手を繋いでみる。「…向こうの世界のことを考えて」いきなりの事続きで困惑したまま、生きてきた中での記憶を思い出す。
ーーー学校にいる時の思い出を……
初めて、電車に乗ったこと……
ゲームで奇跡が起こったこと……
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…どれくらいの時が流れたか。一瞬であるはずなのに、遅く感じる。記憶を共有している感覚はぼんやりと敏感な感覚になる。途中、まだ、幼い頃のしょうもないことや頻繁にネットで見つける、大人の印象の広告を思い出しそうになるが、必死に拒絶した。…多分、伝わってはいないだろう。
「スゴい…こんなことってあるの?金属で出来ている乗り物、何もない所から飛び出す人、全員が共通に受けている教育……」ライにとっては、当たり前で在ることを少女は、目を閉じながら、夢では無いか疑っているのか、足をつねったり、顔を叩いたりしている。
(…異世界でも、同じ行動をするのかー。)
ーーーそんなことに感心していると、
「リーダー……それは、本当何ですか?」男は、震えんばかりの声で確認をする。
「えぇ、夢みたいな……本当よ」
「あぁ、良かった‼」膝から崩れるように倒れる。
…周りの人も、信じられないとガッツポーズをして喜んでいる。
……喜びに溢れる姿、命をかけた思い。今までに、感じたことの無い光景だ。
(ここまで、必要とされているのか、、、)
ーーライは、思った。そう……
ーーー救ってやりたい。と、強く……
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そう…強く決心した。たとえ、関係無い人達でも…
「あのね、ライくん…」
「! ハイ……」
「私たちに協力してくれる?」協力する雰囲気になっていたが、彼女は、初めて不安気に尋ねてくる。
「もちろん、で……」
「わあ、ありがとう…」彼女は、実は、涙目だった。興奮しながら、目を合わせ……泣いてしまう。
「いやいやいや」あまりの感情爆発で驚いてしまう。でも、、、ーーー
「ありがとう。私はバンドル=アランです。部隊の統率副長をやっています。…さっきは疑って申し訳ない」最初に両手両足拘束して男だ。アランと言うらしい……さやさんとは、顔のかたちとか少し違う。ー現代、地球で例えるなら欧州にいる人たちに似ている。
「ン、私はあやって言うの。よろしくね」
「よろしくお願いします。ー中村ライです」
「堅いんや~」肩に手が置かれるのを感じる。
「みんな期待してる…歓迎してる。気を遣わんでもエエ。ーー俺は部隊の統率団長、冨澤 義政」
「分かりました…ヨロシク冨澤さん‼」
「オゥ‼俺からもよろしくなライ」手を二人に対しても握る…周りを見渡す、
ーーー全員歓喜極まっている。
「しゃ~あ、軍どもも、撤退してしまうわ、俺たちには神に助けられているぞ‼」
「うぉ~~!!やってやるぜ‼」
ーーーそんなデカイ声が。心が響きあっていた。
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《新しい日常が始まる…異世界での》
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ーー歓喜極まった声が響きわたる。だが、扉が慌てたように開く。…一瞬、静寂が訪れる。
ー何事か、直感が不吉な予感に振るえる。
「ご報告ございます。南の大型生物生息地帯より、こちらの方向にルネルンバの群れが一部来ていました。…しかし、シンさんらが迎え撃って群れは、方向を変えています。」
「詳しい状況は?」冨澤さんが、尋ねる。
「数は20手前、原因は不明ですが、断続的に来ています。要経過観察だと………」
「分かった。全部隊はすぐ、広場に集まるように指示して」
「了解です!」時は勢いよく取り戻したかので、急速に動き出す。
ーライは不安になり、聞いてみる。
「大丈夫な感じ何ですか?」
「意外に大したことは無かったです。…しかし、こんなこと初めてなので」アランさんが話す。
「ライくんは、念のため私と来て」
「何処に行くんですか?」
「私のお気に入りの場所。まだ、ライくんに聞きたい事があるの」
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ー》たくさんの人種がいること。四面が、壁で覆われていることが分かった。…そこから、恐竜みたいな生物が見える。2メートルから3メートルで、動きがとても速く怖がっているようだった…
…》*ルネルンバ*は、遠くから見ていても分かるように倒されていく。絶命を知らせる、悲痛な叫びと複雑な周りの音が聞こえる…
ーーライは、無表情でその惨状を見てる。
正直、現実世界では全く見れない非情さがある
…彼女はどう思ってるのか?疑問に思い、後ろから表情を見てみる。ー相変わらずの整った顔。そこから、気持ちは読み取れなかった。見えなかったのか、単に、死がまぎわに在ることが日常であるのか、慣れているのか…
…怖くは無いだろうか?
どんよりとした曇がまんべんなく空にかかっていた。
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…「大丈夫?」突然あやさんが、話しかける。流石に、みっともない所は見せたくない一心でーー
「全然、大丈夫です!え…~と、みんなそんな喜んでいたけど、そんなですかね?」悟られたくなくて、話題を変えてみる。
「そっか、ーーーこっちの世界の事、知らないと困ると思うから、話しとくね」
「……!」ライは、大切なことだと静かに耳を傾ける。
「世界は今、全世界を巻き込んだ戦争をしてる…その中で、最も強かったがドベルって国があるの。最新鋭の武器と、軍事力、大国を負かしてかなりの国々が服属してる現状よ…」
「さやさん達は、何をしているんですか?」
「私たち、アンダテェート…いわゆる反乱軍。
主に、追いやられた人や強引なやり方に反対していたーー人々を助ける組織、だけど、、、」
「だけど?」思わず、聞き返す。
「反乱軍として、世界から目の敵にされてる」
「えぇ‼こんなにも、強そうなのに」正直、人数も数百人はいたし、団結もしてる。、、、
「数が1億近く、戦力に差がある」
「……1億も、、」無理じゃないか⁉そう思うしかないほどの差だ。
「希望は見えなかった………」
「ーーーっ!」急に重い言葉、驚いてしまう。
俯いた顔は、耐えてきた過去が見える。
「でも、君がきた。ーーそゆこと、」
「まっ、マジっすか」
「マジっす」
「なるほど、、、期待に応えないと。夢みたいな現実に…」
「ちなみに、ゲートも見たけど、別次元からきたと、証明されてる」
「夢心地な気分が変わらないですけど……まず、この現象の原因とかわかってるんですか?」
「推測は、あるよ……」
「嘘ぉン‼」
「《未来》の人々が、とてつもないエネルギーを生み出して、《過去》に繋げた…」
「そんなこと、出来るんですか?」
「ムリ、エネルギーが膨大過ぎるし、」
「日本とかでも、考えられない…不可能すぎる」
「これしか、過去に戻る方法が無いの~」
「へぇ、」異世界らしい、特別な力とかがあるかも知れない…彼女は特別な能力を持っている。ーーーなら、魔法とかある!
「魔法って、在るんですか⁉」
「魔法、、、チャクラのこと?」
「それです!チャクラです」
「普通に、使える人がいるよ」
「すげぇ、HoooooU‼」
「そんなに…まぁ、私もその一人だけどね」少し、引いてる。
「すげー、見てーぇ」
「ライくんたちの世界は、チャクラとかは無いの?」彼女は不思議だと、表情をしてる。
「全く、無いです」
「ライくんの世界も戦争をしていたんでしょ。乗り物やら、鉄の弾丸やら…チャクラと同じパワーをみんな持てる何て…こわい」
「チャクラの方が良いですよ。こっちの世界は、核兵器というやつのせいで大変でしたから」
「そうよね。ーーそういうのは、作らないようににする。ーーー心配だし」
「そうですよ」…話しの分かる人で良かったと思う。ー文明や武器とかを地球から、持って来て、争いになって欲しくない。
ーーー慎重にならないといけないかも、
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「ここが、お気に入りの場所」唐突にそう言われる。音が全く聞こえなく、薄く繁った林のようで、澄んでる霧がかかった場所がある。
「ライくんは、チャクラ見たいって言ったから、見せてあげる」彼女は、手を霧にあてる……
「あっ……」ライは言葉も出ない。彼女がふれっていった霧は集まっていき、氷と変化する。ーさらに、風と吹かれライは宙に浮く。
「はい、おしまい」優しく、地に降ろされた。ライは口を半開きにして、彼女を見つめる他無い。
「ふふっ」可愛い笑いだが、ライの顔は強ばったままだ。
「み、皆こんな感じ何ですか?」
「いや、私は珍しいよ」
「お素晴らしい限りでございます」
「かしこまりすぎ、ライくんも抜群の運動センスあるでしょ。」
「えっ、」彼女に通じる、運動神経は無い心あたりしかない…前から、思ってたけど、どういうことだ。
「持ってみてよ。軽いよ、」
「はい、何を」
「これ」あやさんが、指差しているのは、さっき製造された、氷の塊だ。ー20キログラムはあるだろう。
「頑張って」一言言われ、頑張ろうと思う。ーーー全力を出せば、持てるは,すると思う。
…地面に置いてある、氷の塊を持ッ…えっ、(軽すぎる。)重さを感じるが、軽い。
「ほらね」
「……うん」今、持てているのが、分からず、半信半疑の状態だ。
「まだ、疑ってるの?」
「まぁ、…」
「ン~じゃ、走ってみてよ」……走ってみる、明らかに速くなってた。
「うちら戦闘員の中でも、上位五位に入る」
「マジっすか、」
「マジマジ」現代の女子高校生並みに、言語習得力を発揮してる。ーーそれに、驚くが、運動能力が飛躍てきに上がっている事実が入ってくる。ーーー異世界キタ~~
心のなかで、喜んでいた。
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「それで、二人は言う。<君の名は>と、」
「ナニそれ、めちゃくちゃ感動するじゃん」
「そうなんだよ、泣けてくる物語。スゴい好きなんだよ、」ライとあやさんとで、日本の生活や文化などを話し合っているなか、文学に興味のある、あやさんと<君の名は>などのアニメの話で盛り上がっていた。
ーーー日本の有名な童話やアニメの話は、すごく面白いらしく、かれこれ、二時間近く話してる。
ーー途中、ルネルンバは撃退され、事態は一時落ち着いた知らせが入った。
ー嬉しい知らせも、入って最高潮に盛り上がっている。
「まだ、聞きたい…けど、そろそろ会議があるの。ライくんは、家に止めてあげる」
「やったーー」霧がかかっていない普通の一室に案内され、過ごしてる。
「護衛のシンさんが付いてくれるから、外とか一緒に出歩いていいよ」
「シンさんって、ルネルンバを撃退してた?」
「そう、最強の剣士として、名高い人。ライくん、怒らせると恐いわよ」
「えっ、、、」最強の剣士とか、怖すぎ、
「大丈夫、大丈夫。怒ること何て、めったに無いから」
「はい。」
「じゃあ。またね」
「異世界に来て、一番楽しかったです」
「私も、楽しかった」
ー扉が閉まり、向こうで声が聞こえる…
浮かれ上がっていた頭が冷え、剣士最強の人物が来ることに、緊張がはしる。…どんな人か
扉がノックされ、
「失礼します」それだけで、立ち上がってしまう。…ゆっくりと扉が開かれていった。
「ーーーっ‼」おぞましいほどの、剣鬼のオーラに身を退いてしまう。(ーこの人は、強い。)
「コクリョ=シンと申します。ーライさん、よろしくお願いします」
「ヨロシク、お、お願いします」アジアで、韓国や中国、日本に似ている。年は五十代ぐらいに見えるが、鍛え上げられた肉体は、鋼のようだ。
「私に気を遣わなくても、、、なんでも致しますよ」
「ありがとうございます…」気を遣わないといけないーー本能がそう叫んでいた。経験も実力も見てきた世界が違った。
…腰には、二本の剣が備われている。
……(かっけぇ‼)この人みたいな、強さが欲しいと思った。ライはこの世界では、かなり強いらしいが、この人は格が違う。
………強くなりたい思いで、弱い自分が嫌いで、
「強くなる方法を教えてください」
シンさんの目はスッと細められた。
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「…あの、スミマセン。戦闘してきたばかりですよね。やっぱり、」
「いいや、大丈夫です。ライさんがそう言われるなら…強くなりたいと言う思いは大切だと思いますし…手伝わせてもらいます」
「スミマセン、ありがとうございます…」ホントは、このガキでも、思ってるのかな。そんな、不安を感じる。
「気にしなくて、大丈夫です。…私はライさんに付き添う以外に力の制御の仕方を教えるよう言われてます」
「力の制御か~ちょこちょこ、物壊してたしな」実は、あやさんと話してる間、物を二、三回壊していたのだ。…異世界に来て、強くなったことが影響あるらしい。
「彼女が言ってたんですが、手を繋いだ際、力強過ぎて痛かったらしいですよ」
「あやさん…そんなこと思ってたんだ。」
「それも含めて、応用も、出来るようします」
「ありがとうございます‼」訓練は辛いと思う…しかし、わくわくと変われる自分を思えば、やる気もみなぎってくる。
「何処で、やるんですか?」
「ひとまず、ここで」辺りは、狭く、壊れやすい家具などが多い…大丈夫なのか?
「まずは、初期段階からです」
「はい!」目の前にたくさんの箸が置かれ、その横に、料理が出てきた。
「えっ?」どういうことか、分からない。
「まずは、食べてから、やりましょう。もう、昼ですから」
「分かりました」料理は現代のと比べ、量が多い。また、質素で簡単な昔の飯みたいだ。…まぁ、美味しそうではあるし、食べるんだが。
「お代わり欲しかったら、遠慮は要りません」
「はぁ…ありがとうございます。」こんな、食べれんよ。そう思うが、教えてもらう立場としてそんなことは言わない。
ーー向かい側をみると、ありえない量の料理がある。…どうやらシンさんも食べるらしい。……食う量、化け物だな。ドン引きする。
ーーーまぁ、最強の剣士だからなぁ。
自分を納得させて、早速、
ー「いただきます」箸をとり、食べようとする。だが…
「ぁっー」バキという音とともに、箸が折れてしまう。…まさか、力が強くて、割れた⁉
「箸でしか、食べてはいけないですよ」
テーブルの上に置かれた、たくさんの箸をみて、感じる…想像以上だと。
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約三十分後※※※※※※
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「バキバキ」
「ボキボキボキ」
「ヒィ~~」白いごはんは上の部分だけ、辛うじて食べれている。…おかずは、豆以外は食べれている感じだ。……しかし、それらに、比べ、折れた箸の数知れず。
…涼しい顔のシンさんは、ゆっくりとお茶をすすり飲みながら、
「予想外に、苦手そうですね」
「細かい作業苦手です」ライは細かい作業が大の苦手だ。…こんな所で苦労するとは、夢にも思わなかった。
「力を抜くことから、始めますか、…ついてきてください」
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《大変な訓練が続く》