内側から叩かれるロッカー 外
本当にヒドイ小説続
「まったく、くだらない噂だ」
「まあそう言うなよ。もし不審者だったら気持ち悪りぃじゃん」
夜になると教室のロッカーに不審者が現れるという噂を聞き、俺は響也と共に真相を確かめに来ていた。
教卓に隠れてロッカーを見張ること1時間。しかし、これだけ待っても不審者は現れない。
「やっぱり、ただの噂だったのか……?」
思わず独り言ちたその時、響也が鋭く声を上げた。
「待て! 何か聞こえないか?」
「え?」
言われるまま耳を澄ますと、確かに聞こえる。
ロッカーの方から……微かに女の声で、「出して、出して」と。
「っ! 誰か閉じ込められてる!?」
「おい待て! 何かおかし──ったく!」
弾かれたように教卓の陰から飛び出すと、俺は教室後方のロッカーを引き開けた。
「おい! 大丈夫、か……?」
「……? どういうことだ?」
しかし、そこには誰もおらず。追ってきた響也と2人で首を傾げた……瞬間。
「う、お!?」
「なん──!?」
俺と響也は凄まじい力でロッカーの中に引っ張り込まれ、閉じ込められた。
「なんだこれ! くっそ、どうなって──」
「おい、暴れるな!」
響也の制止も気にせず、俺は全力でロッカーを脱出しようと試みた。しかし、どれだけ力を込めてもロッカーの扉はビクともしなかった。
「はあ、はあ……チッ、響也! お前も──」
「……」
力を貸せ、と言おうとして振り返り……響也が、何かを我慢しているような顔をしているのを見て固まる。そして同時に、お尻に何か固いものが当たっていることに気付いた。
「ちょ、おまっ、なんで──」
「哲司……実は、ずっとお前のことが!」
「はっ!? ん……」
……………………
……………………
……………………
……気付けば、外に出ていた。
そして、その日をきっかけに俺達は付き合うことになった。
あと、なぜか数週間後には、『毎晩ロッカーを叩く男』の噂は『“ピー”するまで絶対に出られないロッカー』の噂に変わっていた。