心霊写真が撮れたんで、とりあえず顔交換してみた
「うわっ、なんだこれ」
「どうした?」
「ほらこれ……」
「ん……? うおっ!? これ、人の顔か?」
男2人の気ままな日帰り旅行。その夕食の席で今日撮った写真を確認していたところ、おかしな写真を発見してしまった。
神社の裏手にあった、小さな祠の前で撮った自撮り写真。そこに写った俺の肩の上辺りに、ひどく歪んだ女の顔らしきものが写っていたのだ。
「変なもん撮れちまったなぁ」
「だな。俺心霊写真とか生で初めて見たわ」
2人でその女の顔を拡大して確認していると、友人が「そうだ!」と声を上げた。
「ちょっと顔交換アプリを使って、この女とお前の顔を交換してみようぜ!」
「はあ? 何言ってんだお前」
「いやぁ、前から心霊写真でやったらどうなるのか気になってたんだよ」
「アホくさ。というか、アプリはこれを顔と認識しないんじゃないのか?」
顔交換アプリは他の人がやっているのを見たことがあるが、たしか交換する顔はアプリの自動認識だったはずだ。
この写真の女の顔は心霊写真にしてはしっかり写っているが、輪郭は崩れてるし目や口の形が曖昧だ。これが顔と認識されるかどうかはかなり怪しいだろう。
「ま、そこも含めて一回試してみようぜ」
やたらと乗り気な友人に押し切られる形で、俺は顔交換アプリをダウンロードすると、アプリに件の心霊写真を取り込んだ。
「お……すげぇ! 認識したぞ!」
「ホントだ。こんな歪んだ顔でも認識するんだな」
心霊写真に写った女の顔は黄色い枠で囲まれ、きちんとアプリが顔として認識していることが示されていた。
一方で、俺の顔は顔として認識されていなかった。俺は泣いた。