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「いい家臣を持ったな」
「だから応えなければならない! 皇帝イシュ・アッガシェル。全力を以て、帝国を我らが手に堕とします!」
衝怒の絲剣を握り直し、床を蹴った。咲和の言葉にイシュは目を見開く。
「余を前にそのような戯言を……。しかし、よいだろう。かかってくるがいい。この皇帝イシュ・アッガシェル、己が全力を以て、貴様の全力を打ち破って見せよう!」
機械仕掛けの帝剣を握ってイシュは床を蹴る。
空気を震わせるほどの剣戟。衝怒の絲剣と機械仕掛けの帝剣とを、お互いに削り合いながら打ち合っていく。衝怒の絲剣は紐解けていき、機械仕掛けの帝剣は歯車を溢す。宝剣と呼ぶにふさわしい怪剣は互いを削り合う。それは、二人の少女が行うには余りにも命を削りすぎている。
互いに一歩も引かず、前へ前へとだけ進んで行く。
一方が踏み込めば、もう一方がさらに踏み込む。
終わりなき剣戟。
そう思えた。
「―――――ッ!」
しかし、鍔迫り合いになるとイシュの機械化された左脚での回し蹴りが、咲和の鳩尾に深く突き刺さった。
そのまま穴ギリギリまで蹴り飛ばされる。
「その程度で終わりか! 「フィクティ・ムンドゥス」が王よ!」
絲剣を支えに立ち上がる。
「まだ……まだです………」
(しかし………一人できついのは事実ですね……)
それほどまでに皇帝謳う星砕きの機兵の効力は絶大だった。




