03
城内は町の喧騒が嘘のように静まり返っていた。
それもそのはず。城内に侵入を果たした咲和とギルタブリルは、出会った人間を須らく殺していたからだ。誰一人として声を上げることもできずに死んでいった。きっと中には自分が死んだことにすら気が付いていない者すらいるだろう。
城内を歩き回り、ほとんどの部屋の人間を殺して回った咲和たちは、城の上層に位置する部屋までやって来ていた。
「さて、あらかたの部屋は見て回りましたね。ココが最後の部屋です」
「…………ん? ……… ”強い”」
咲和がドアノブに手をかけると、ギルタブリルが小さく呟いた。
「 ”強い”?」
ギルタブリルの言葉に咲和は体を強張らせた。何故なら、この先にいるものは十一の獣たるギルタブリルが強敵だと判断するほどの者だからだ。今まで通りの蹂躙とはいかない。
「では、気を引き締めるしかないですね」
ギルタブリルは『天冥の番』を発動させる。
咲和は扉を開けた。
部屋は城での咲和の部屋ほどの広さがあり、シンプルな装飾品で飾られている。天蓋付きのベッドは咲和の使っている物よりも幾分か大きい。部屋の奥、開けた扉の正面にもう一つ黒塗りの扉があった。
咲和が何よりも気になったのは、壁際に七体立っている、天井まで届くほどの大きな鎧だった。
「「フィクティ・ムンドゥス」の者がこのような場所に何用か」
それは透き通る鈴の音のような、愛らしく、勇ましい声だ。




