01
「これは驚きですね……」
帝都へと侵入した咲和たちは外壁内の賑やかさに驚いた。
戦時中だというにも関わらず、そこは祭りの最中かと間違うほどに賑わい、行き交う人々の顔には笑顔が溢れていた。通りの左右には様々な店が立ち並び、まだ昼だというのに酒盛りをしている男性もいる。
「来る場所を間違えたか?」
ギルタブリルが心配そうに告げる。しかしここが帝都で間違いはなかった。通りの奥、帝都中心に聳え立つ塔のような城がそれを証明していた。
その他にも、空を碁盤の様に切り取る送電線や煙を吐き続ける巨大な煙突と鉄塔、時折目の前を走っていく自動車。その全てが「トラウェル・モリス」において、この国でのみ見ることのできる光景だった。
「……………行きましょう」
帝都を歩く咲和とギルタブリルの間に会話は一切ない。ギルタブリルは帝都の雰囲気に呑まれて、どこか浮ついているが、咲和が沈黙を貫いている為に口を開けないでいた。
そんな中、咲和たちの横を、咲和と背格好のかわらない女の子とその両親が手を繋いで通り過ぎた。それを見た咲和は小さく拳を握り締めた。
「え?」
ギルタブリルが握り締められた咲和の手を取った。
「さっきも言ったが、大丈夫だ。サナ様には家族がいる」
「………ありがとうございます。少しの間、こうしていてもいいですか?」
「ああ、構わないぞ!」




