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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第四部 22章 これこそが「終わり」

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01

「今更何しに来たのだ! お前が来た所で何も変わらない! お前には何一つ救えない! 「異世界勇者(アキツキ・サナ)」にさえ劣るお前には!」


 屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)を受け止められた屍の鎧の戦士が吼える。


「そうだな、今の私ではなにも救うことは出来ないだろう。「異世界勇者(サナ)」を前に何もできなかった私には、この子たちも、お前たちも救うことは出来ない」


 屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)を受け止めたままのティアマトが屍の鎧の戦士を見上げた。言葉とは裏腹に彼女の目には諦めなど微塵も感じられない。


「か、母さん…………おか、お帰り………お帰りなさい!」


 小さな背中を見上げるウガルルムは、ボロボロと泣きながら母の帰還を祝福した。


「ああ…………ただいま」


 娘の言葉に振り返ることなく、答えるティアマト。彼女の目に映るのは今なお屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)を力強く握りしめる屍の鎧の戦士だけだ。


「なら何故戻って来た! あのままエンキと共にどこかへと消えていればよかっただろうが!」


 より一層強い力で屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)を振り下ろそうとする。しかしティアマトにしっかりと掴まれた屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)は動かない。


 世界を砕く、刃を今イニティウム・フィーニスで一つとなった人類祖の刃が何故届かないのか。心の砕かれたはずの原初が今になって何故この場所に現れたのか。屍の鎧の戦士にはわからない事ばかりが起き、頭の中には乱気流のような思考が渦巻いていた。


「お前たちの言う通り、私はあのまま消えてなくなった方が良かったのかもしれない。しかし、私にはやらなければならないことがある」

 


 ビキッ。



 屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)に大きく罅が入る。

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