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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第四部 19章 今度は、私が

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08

 生命であれば死からは逃れられないはずの大爆発の中から、屍の鎧の戦士の声が響き渡った。


「それによぉお、自分の魔術で死ぬわけがないだろぉぉぉおおお?」


 ゲラゲラと笑い声を上げる屍の鎧の戦士は、握った屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)をウガルルムへと向けた。

焼かず融かす劫火(インフェルヌス)を受けた屍の鎧は多少煤けただけで、傷一つ付いていなかった。

 拳に纏った星の光は陰りを見せ、ウガルルムの顔を絶望が覆う。


「馬鹿で救いようのないお前はさぁあ」


 絶望に沈むウガルルムの前に立ち、屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)を振り上げる。鎧の下で三日月の笑みが浮かぶ。


「後悔しながら死ねやぁあ!」


 屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)は振り下ろされる。

 それは抗えぬ死。

 約束された絶望の形。


 ウガルルムは顔を上げ、ただ迫りくる死を見つめる。



(ごめん……お姉ちゃん、ダメだった)


 死まで刹那。

 ウガルルムは終ぞ、その拳を解いた。

 目の前の屍の鎧の戦士への呪詛も吐けぬまま、ただ自分の弱さを悔いた。









「---------遅くなった」


振り下ろされたはずの屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)はウガルルムを割ることはなく、空中で制止している。

 ウガルルムの琥珀色の瞳が濡れる。彼女の瞳には一人の少女の背中が映っていた。



 煌めくほどに美しい白銀のツインテール。艶やかな漆黒のワンピースドレス。腰辺りからは一対の竜翼、棘の生えたしなやかな尾。四肢を含む身体の至るところを覆う美しい蒼銀の鱗。



「何故! 何故今になってお前がっ! ティアマァァァァァァァァアアアアアアアアトッ!」


 屍気纏う(ドミナーリ・グラディ)異形の大剣(ウス・インフェルヌス)とウガルルムの間には行方知らずだった、大いなる母(ティアマト)が立っていた。


「今度は私がお前たちを護ろう」


 屍の鎧の戦士の前に立ち塞がったティアマトは、その小さな躰でボロボロのウガルルムの盾となる。


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