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02
光は徐々に弱くなっていく。
(さぁ、始めましょう)
顔を覆っていた腕を下し、咲和は目の前の光景を見据える。
怒号、銃声、爆発音、硝煙、呻き、嘆き、汚泥に塗れた亡骸。ありとあらゆる、悪意の咆哮。それが、咲和とギルタブリルの前には広がっている。
彼女らは遂に戦場へと赴いたのだ。
(我らの復讐を)
咲和とギルタブリルは帝国兵が向かってくる方向―帝国領土―へと歩みを進める。出発前の発言通り、戦線を後退し帝都へと向かう。
「では、ギルタブリルさん。お願いします」
一度、首を傾げたギルタブリルだが、意図を察したのか、瞳の色を変えた。
「わかったよ――――――――――――はい、これでいいな?」
一瞬、ギルタブリルの足元に青白い光が灯った。しかしそれはすぐに消える。
「ありがとうございます。進みましょうか」
「うん、行こう」
二人は戦線を後退していく。
その後ろから一人の帝国兵が迫っていた。




