02
吹き飛ばされたギルタブリルとバシュムが戻ってきて、絶句する。
「姉、様?」
ポロリとギルタブリルが溢した。そしてすぐに天冥の番を発動させた。頭上の三つの首と腹から生えた怪物の視線が一斉に彼女へと向けられる。その隙にバシュムが捕らえられたウガルルムを奪還した。
「姉様……」
ボロボロのウガルルムを抱き抱え、バシュムの瞳が潤む。
「……問題ない」
ボロボロになりながらも親指を立てる姉の姿についに涙が零れる。
「ま、まぁあ、…………本気、出すから、さぁあ……」
フラフラと立ち上がる。
「あたしは、姉ちゃんだからさ…………ちったぁ、頑張れる、ってね!」
ジャケットを脱ぎ捨てて、力強く頬を叩いて発破をかけた。
「ギルタブリル、バシュム。お前たちはウリとウムの援護に回って上げてよ。こんなやつ、あたし一人で十分さ!」
「んなわけ! ーーーーちょ、バシュム絶対ダメだ!」
ギルタブリルのウガルルムへの反論をバシュムが腕を曳いて止める。
「姉様。ご武運を!」
ギルタブリルの腕を曳いて。ウリとウムの元へと駆け出した。その間もギルタブリルは声を上げてバシュムに抗議していた。
「任せなさい!」
ニカッと笑う。それがどれほどの強がりなのか、バシュムにはわかっていた。
「人類祖さんよぉ! 改めて、あたしが相手をしてやる!」
妹たちを逃がすことが出来たウガルルムはわかりやすい挑発を人類祖に向けた。
「「妹を逃がして囮か、泣けるじゃないか。だがな、お前如きが俺達の相手になるとでも? 本気でそう考えているなら、救いようのない馬鹿だな」」
異形の大剣を地面に突き刺して、ゲラゲラと三つの頭で笑いながら巨大な翼を羽ばたかせた。
三つ首の竜は曇天を背に世界を睥睨する。君臨する人類祖はその躰に膨大な量の魔力を纏った。
「馬鹿は死ななきゃ治らない」
「なら殺してやるのが優しさってか?」




