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「では、最終確認です。戦場に着き次第、周りにいる者は皆殺しです。躊躇う必要はありません。今までの鬱憤を晴らしてください。集合場所は、帝都の皇帝が住む城です。ですので、前線から後退していく形になります」
門まで移動してきた十一の獣へ咲和が告げる。
「かしこまりました。では、ご武運を」
ムシュマッヘの言葉と共に、十一の獣が傅く。
「皆もね―――――――――――――――よし、行きましょう」
全員が立ち上がり、魔術陣の彫られた青色の水晶を手に持った。
「「頑張って……私達が祈っているわ」」
「はい、姉さんたちも気を付けて」
一度だけ、二人の姉と抱擁を交わす。二人は、咲和の頬に優しい口づけをした。
「我は時駆けの獣。我が前には万里の門。砕き、綻び、割け、世界を晒す。我らが道は、栄光へと続いている―――――――――世界繋ぐ獣の門」
咲和の詠唱の終了と共に、青色の水晶は淡く光を纏う。
その光は次第に大きくなっていき、留守番組を除く全員を包み込んだ。光の強さに咲和は腕で顔を覆った。




