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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第四部 18章 世界を砕く、刃を今

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03

「あ、……あぁあ、ね、姉様……姉様ぁあ」


 砦から降りてきたクサリクが斬り裂かれたラハブの躰に縋り付く。最も愛する姉の躰を凌辱された彼女には、治癒を施すと言った行動をとれるほどの理性が残っていない。


「…く……り、く」

 上半身が左右半分に裂かれているラハブは、口から血を溢しながらも妹の名を呼ぶ。

 そんな決死の呼び掛けにクサリクは理性を取り戻し、ラハブの口に耳を当てる。彼女が何を欲しているのか、聞き逃すことが無いように。


「………こっち、向けよ」


 ラハブはクサリクの耳元でそう言うと、瀕死とは思えない力で彼女の唇を奪った。

 妹の口内を侵し、その体液を呑む。


 耳劈く異音が響く。

 それは「偽・十一の獣ウェールス・ベースティア」に躰を穿たれた際に聞いたあの音だ。

 未だ彼女は妹を侵す。


「ップハァ。ありがと、やっぱり君のがうまいな」


 親指の腹で垂れた涎をふき取る。その貌は少し紅潮していて、普段のラハブからは想像できない艶かしさがある。そんな彼女の貌にクサリクも紅潮した顔で静かに鼻血を垂らした。


「よいしょっと!」


 いつの間にか異音は止み、彼女の躰は元通りだ。両肩を回し、手を開いて閉じる。躰には薄く電気を纏っている。


「クサリク、今なら僕でも魔術が使えそうだ。魔術陣の彫られた何かある?」

「……………え、あ、はい! コチラを」


 正気に戻り、外套で鼻血をふき取って、内ポケットから魔術陣の彫られた宝石の入った麻袋を渡す。


「いつも持ち歩いてんの?」

「はい。人間共に必要かと思いました」


 復興支援の際、人間の多くが魔術が使えない現状を改善しようと、クサリクが一人で多くに人間たちに魔術を押していた。その授業の際に使うものが、魔術陣の彫られた宝石だった。


「コレ、何が使える?」

「弱い雷撃と短時間の身体強化です」


 雷撃は帝国の電気製品を動かす為に、身体強化は復興の際に必要だった。


「中々お誂え向きじゃないか! 全部使っちゃうかもだから、許してね」

 麻袋を握り締めてラハブは地を蹴った。その後には帯電する空気が残った。


「ご武運」

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