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「ほら、ほらほらほらほらぁあ! この程度ですか! 愚かな女の尖兵ともあろう貴女が!」
グラディウスを青黒く脈動する盾で弾き、すぐに赤黒く脈動する両刃剣で斬りかかる。
その動きに隙は無く、ムシュマッヘは翻弄される。
「邪魔ッ!」
「サナ」に翻弄されるムシュマッヘを押し退けてラハブが触手を伸ばした。それに気が付いた「サナ」は赤黒く脈動する両刃剣で斬り刻む。
「アハッ! そうそう! 楽しもう! キミを殺しても誰も悲しまないからさぁあ!」
触手を伸ばして、拳を繰り出し、首を獲ろうとする。しかしその全てを赤黒く脈動する両刃剣で斬り伏せられる。しかし彼女も斬られたそばから再生して攻撃し続ける。
「あ」
繰り出した拳を斬られずに弾かれた。大きく隙を見せるラハブの腹に「サナ」は鋭い蹴りを食らわせる。受け身を取ることが出来ず彼女は蹴り飛ばされた。
「邪魔な人は消えました。さぁ、続きをしましょうか」
ラハブを蹴り飛ばした「サナ」は静かにムシュマッヘへと向き直った。
「邪魔? お前の目的は十一の獣の殺害じゃないのか?」
ムシュマッヘの疑問に「サナ」は口をぽかんと開けるが、すぐにクスクスと笑った。
「でもあの人、不死ですよね? じゃあ、時間かかるので後にするってだけですよ。…………あ、ちょっと待っててくださいね」
何かが砦に激突する音が響いた。ムシュフシュはそれが妹であることを瞬時に理解したが、「サナ」の言葉は理解できなかった。
ムシュマッヘに背中を見せ、「サナ」はラハブの飛んで行った方向に、赤黒く脈動する両刃剣を大きく振りかぶって投擲した。
赤黒い軌跡を描いて飛ぶ赤黒く脈動する両刃剣は、さながら空を裂くレーザーのようだ。そして、そのレーザーより少し遅れて「サナ」が駆け出した。
そこで、ムシュマッヘは彼女の行動を理解する。
「ラハブ!」




