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「ワタシは魔術使えないし、スキルも大したことない。だからよぉお、身体能力くらいは負けられねぇんだわ!」
ぶつかり合った拳をウガルルムが押し込んだ。それにテューポーンは小さく驚き、その隙でさらに拳は押し込まれる。
「おらぁあ!」
終ぞ、拳を振り切ったウガルルムがテューポーンを押し飛ばした。
「ふん! なぁあにが、絶つこと能わず、だ!」
木々を薙ぎ倒しながら吹き飛ばされたテューポーンを指向性の毒が猛スピードで負う。しかし彼女も吹き飛ばされながらも、体勢を変え、地面を削りながら停止した。
【確かに申し分ない膂力。しかし、それでも我を絶つこと能わず】
テューポーンはその足元に毒が迫っていることも顧みず、胸が割けんばかりに空気を吸い込み始めた。それはティアマトへ放った嵐の息吹の姿勢だ。
「あ? ………そーゆーことかよ!」
彼女の行動の意図に気が付いたウガルルムも、胸が割けんばかりに空気を吸い込み始めた。
そして、二人同時に吸い込んだ息を吐きだした。吐き出された息は拡散することなく、真っ直ぐにお互いへと吹き付けられる。
二人の距離の丁度真ん中でお互いの息がぶつかり合った。
ぶつかり合った息がそれぞれを絡み合い、渦となって天高く昇っていく。倒れた木々や岩石なども伴って巨大な竜巻へと変貌した。巨大竜巻はその場に留まり続け、至高性の毒さえも巻き込んでさらに大きくなっていく。
そんな巨大竜巻に目もくれず、ウガルルムは駆けた。彼女の駆けたのを見てテューポーンも地を這う。




