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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第四部 13章 全てはきっとうまくいく

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01

「ん、……んん」

「目を覚ましましたね」


 ソファの上で目を覚ましたティアマトが居たのは、見知らぬ場所だった。視線を動かすと、椅子に腰かけた人物が彼女のへ笑みを向けている。

 艶やかな黒いロングストレートヘア。鮮血の様な美しい赤色の瞳。身に纏う奉仕(メイド)服には皴一つない。


「お前は……エンキ―――ん!」


 起き上がると、強烈な頭痛に頭を押さえる。

 奉仕服の女性は椅子から立ち上がり、ティアマトにマグカップを差し出した。


「急に起き上がるからです。ほら、コレを呑んで下さいな」

 差し出されたマグカップには紅茶が注がれていた。立ち昇る香りに鼻腔をくすぐられる。


「すまないな。して、ココはどこだ? そしてなぜお前が居る? エンキよ」


 目の前の女性こそ、魔術王エンキ。大いなる母(ティアマト)の唯一の魔術の弟子であり、大いなる父(アプスー)殺害の首謀者だ。


「ココはわたしの家です。わたしだって死んでないんですから、別にいても構わないでしょう? それとも、お母様はわたしが死んでいた方がよかったとでも言うんですか? もしそうならエンキは悲しさに打ちひしがれるでしょう」

 涙まで流してエンキは言う。


「そんなつもりではない。純粋に疑問に思ったのだ。お前は()()()突如として姿を消した。そして今までその姿を現さなかったからな。行方不明だった弟子が突然目の前に居れば誰でも驚くだろう?」


 ティアマトは彼女の涙が嘘であることは理解していた。それでも彼女は弟子であり、我が仔であるエンキの涙を無視できなかった。


「もう、嘘ですよー。女の涙をそう易々と信じちゃだめですよ?」

 指の腹で涙を拭い、エンキは二ヒヒ、と笑う。そんな彼女の貌にティアマトは、むー、と頬を膨らませてみせた。

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