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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第四部 12章 魔術王は全てをかたる

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「「おい、異世界勇者(サナ)」」


 ニンティの消えた「エ・テメ・アン・キ」跡地でアンシャルとキシャルが座り込む「サナ」に声を掛ける。彼女はニンティに手も足も出なかったことを気にして、二人に声が聞こえなかった。


「「おい! 異世界勇者(アキツキ・サナ)!」」

「…………はい」


 二人がガツガツと歩み寄って初めて「サナ」は彼らに呼ばれていることに気が付いた。渋々と言った風に顔を上げると、すぐ目の前に二人の顔があった。


「「異世界勇者(サナ)。俺達は元々、お前たちが何をしようが傍観者に徹するつもりでいた。しかし、エンキ(あのクソアマ)が出て来たからには、俺達もそんなこと言ってられなくなった」」

 目を丸くして二人の顔を見上げる「サナ」に、二人はさらに続ける。


「「俺達にも、愛しい人がいた。しかしその人には既に愛しい人がいたんだ。もちろん俺達じゃない。でもそれでよかった。あの人が幸せであるならば、俺達はそれだけでよかった。しかしそれもある日突然終わった。当時の俺達は仕方がないと受け入れることが出来た。旧人類(子供達)が皆一様にそう言うのだから、俺達()がそれに答えるのは当然だと思ったんだ」」


 そこで二人は言葉を一度切る。二人を見上げる「サナ」は静かに見つめ、続きを促す。

 小さく息を吐いて、二人は言葉を続けた。


「「しかし、先のエンキ(クソアマ)の言葉で受け入れる必要などなかったと分かった。そして異世界勇者(アキツキ・サナ)、お前の言葉で悟った。やられたならば、やり返すしかないと」」

 二人は片手で優しく「サナ」の頭に触れる。


「「だから――――――人類祖の名において、異世界勇者を祝福する。誰でもない、ただ一人の為に。二人(ひとり)、あの故郷(場所)で醜悪な願いの為に。二人(ひとり)、あの故郷(場所)で彼の時を思う――――」」


 二人の躰に黄金色の光の線が走る。それ自体が魔術陣の様だ。

 何より、その詠唱は誰も見たことのないはずの、「原界(ナンム)」の魔術に酷似している。


「「今ここに、(フィーニス・)転生者(スペース・)は解き放(ウェルム・)たれ破(トラウェル・デ)界を為す(スオペーティオー)!」」


 最後の一節が詠まれ魔術は完成した。

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