表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第四部 11章 異世界魔王と異世界勇者に違いはない

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

368/480

04

「…………らない」

「「えー? なんだってー?」」


 完全棒読みがティアマトを煽る。


「そんなこと知らない! 知らない! 対象者を選別? 運命に干渉? そんなの私は知らない!」

 吠えるように叫ぶティアマトの声が「エ・テメ・アン・キ」跡に響き渡る。それは子供の癇癪の様だ。


「お前に無知が許されるわけないだろう?」

「無知だからと許されるわけがないだろう?」

 道化じみた動きも声色もなくなり、機械じみた人間味のない平坦な声がティアマトを糾弾する。


「お前が四度も暁月咲和を殺した」

「お前が四度も暁月咲和の未来を奪った」

「私じゃない! 私は呼んだだけ! 殺してなんかない!」

 両手で耳を塞いでしゃがみ込む。


「「お前が二度殺して呼んで、お前がお前の為に二度死なせたんだよ」」

 しゃがみ込んだティアマトの耳に左右から近づいて、囁くように。


「「暁月咲和はお前に二度呼ばれ、暁月咲和はお前の為に二度も死んだんだ」」

 耳を覆う手の力が緩むことはない。


「「お前を護る為に、無謀にも全盛期の勇者(マルドゥク)に挑み死んだ。お前の生きる世界を残す為に、無謀にも魔力の太陽と化した叡智の霧(ムンム)に挑み死んだんだよ」」


 二人は顔を上げ、天を仰いで、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、と大きく笑い声をあげた。


「「お前が、暁月咲和を殺したんだ! あーあ、暁月咲和はどんな気分だったんだろうなぁあ。未来を奪われてぇえ、お前の魔力で魅了されてぇえ、怨みを抱くことさえ許されないまま懐柔されてぇえ、悔しいなぁあ、悲しいなぁあ、哀れで仕方がないねぇえ」」


 神経を逆撫でする笑い声は続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ