表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
3章 演説

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/480

03

「突然ですが、私達は「ウェールス・ムンドゥス」へと侵攻を開始します」


 咲和の発言に集められた十一の獣は動揺する。ラフムとラハム同様に、誰もが咲和の口からその言葉を聞くとは思っていなかったのだ。誰もが、咲和のことを自らの王だと分かっていても、どこかで幼い少女だと思っていたから。どこかで、妹の様に感じていたから。


「では、えーっと………まず、「ウェールス・ムンドゥス」の状況を確認します。バシュムさん、お願いできますか?」


 扉から最も近い位置に座った白面の少女へ声を掛けた。


 十一の獣が十女、バシュム。黒いロングストレートの髪に、小さな二本の角が生えている。基本的に白面を被っている為、表情は分かりづらい。真っ黒な迷彩服のような出で立ち。服装の為に体格は分かりづらいが、身長は百七十近い。


 バシュムは城にいることは少なく、「ウェールス・ムンドゥス」へと赴いて諜報活動を主にしている。


「御意」


 短く返事をし立ち上がり、胸ポケットから魔術陣の彫られた真っ赤な水晶を取り出す。


「あ、すみません、状況説明の前に面を外してもらってもいいですか? 顔を見てお話が聞きたいです」

「……………………御意」


 少しの間があって、バシュムは白面を外す。中からは、年若い少女の顔が現れた。琥珀色の瞳の釣り目に白い肌、薄桃色の唇。少し赤くなった頬。その視線は机へと落とされていた。


「ありがとうございます。相変わらず可愛らしいですね。では、お願いします」

「………もったいなきお言葉」


 羞恥心を隠すための堅苦しい言葉に、苦笑いを返す咲和。十一の獣の中でも、バシュムはかなりの恥ずかしがり屋だった。


「汝に残された記憶の海――――混ざり、(ふさ)がり、己が体を満たすがいい。ココに母なる海の顕現を―――――――記憶の顕現(マーテル・メモーリア)


 バシュムの手の中の真っ赤な水晶は淡く光始め、手を離れて机の真ん中で空中に停止する。


 咲和がその様子を訝しげに見つめていると、何の前触れもなく、水晶から幾枚もの光の板が飛び出した。そして、そこにはココとは別のどこかの風景が映されている。多数の人間同士が争っている。片方は鎧を着こみ片手に剣を片手に盾。もう一方は、鎧に比べれば軽装な迷彩服を着て、その手には銃を構えている。それはどこかの戦争の風景を映し出していた。


 つまり、水晶から飛び出した光の板は、どこかと中継を繋げているスクリーンのようだ。


 水晶が無事起動したのを確認したバシュムは説明を始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ