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「完成したわけですけど、皆様にどのように伝えます? あたしたち誰も魔術仕えませんよね?」
「何を言っているんだ? シンが扱えるだろう? なぁ、シン」
「………はい。クサリク様にご教示いただいておりますので」
シンの言葉でモーメンの心配は杞憂と化した。
「え? シン魔術使えたの?」
「はい。「勝鬨は我らが母の為に」使えます。あとはなんこ―――」
「マジかよ! すごいね! 最高だぜシン!」
言いながらモーメンはシンの手を取ってブンブンと振って彼女の言葉を遮った。それを見てサエウムとレメウェヌスは、あらあら、と言った風。フォルウィトゥスは眉間を押さえて、何をやっているんだ、と言った感じ。イルムはソレに当てられたてぴょんぴょんと跳ねる。当人のシンはわけがわからず、モーメンと周りをキョロキョロと見渡した。
「じゃあシン、よろしく」
「は、はい。我は橋渡しの獣となり、大いなる海と彼の地を繋ぐ。混ざり、溶け合い、裂け目を晒す。我が言葉は境界を越えた―――――――勝鬨は我らが母の為に」
奉仕服のポケットから魔術陣の彫られた水晶の板を取り出した。詠唱の完了とと共に水晶の板が仄かに光を放つ。
水晶の板を耳に当て、シンは口を開いた。
「あ、えと―――――」




