05
「あの、少しいいですか?」
イルムがパタパタと自分の座っていた席に戻っていくと、シンが言った。
「ああ、自由に発言してくれていい」
フォルウィトゥスがシンの言葉に返す。すると彼女は座ったまま頭を下げて言葉を続けた。
「フォルウィトゥス様、ありがとうございます。では、えっと、ありがちかもしれませんが、何かを贈る、と言うのはどうでしょうか? 例えば……その防寒具とか、あとは、…………手料理を振舞うとか?」
俯きながら言う、シンの言葉に誰もが静かに耳を傾けた。イルムさえも静寂を護っている為か、シンは、自分は何か皆を怒らせることを言ってしまったのではないか、と不安で胸がいっぱいになった。
「いいね、それ」
その言葉が引き金だった。
「そうですね。私達にできることは限られていますが、料理や贈り物ならば姉妹の皆様も二人のお姉様方も、喜んでくれるのではないでしょうか」
レメウェヌスが賛同の声を上げる。
「そうだな。レメウェヌスやクサリク様には敵わないが私でも料理は出来る」
フォルウィトゥスも賛同を言葉にする。
「イーちゃんもおてつだいします」
イルムは元気よく両手を上げた。
「わたくしはお料理は不得意ですので、防寒具でも編んでみましょうか」
サエウムもにっこりとシンに笑顔を向けた。
「良し、あたしもお菓子を焼こうかな。シンも手伝ってくれる?」
「あ、はい。シンで良ければお手伝いさせていただきます」
「じゃあ、料理と贈り物で決定! とりま、サエ姉さんの編み物を皆でやっていく、みたいな感じで大丈夫ですか?」
モーメンの言葉に全員が頷いた。




