02
数十分ほど歩いて、ようやく廊下の突き当りが見えてきた。
それは、巨大な扉――門と言っても差し支えない――だ。エンリルがそれに手を当てると、力を入れていないにも関わらず扉は大きく口を開いた。それはまるで何人も飲み込む巨大な海獣の様だ。
開いた先は巨大なホールだ。今までの廊下とは打って変わって、天井全体が魔力灯になっていて、ホール全体を輝くほどに照らしていた。
円形に十三本の柱が並び、その中央に祭壇のような天蓋付きの石製ベッドが置かれている。
そのベッドの上に二つの人影が見える。
一方は浅黒い肌、乱雑に切られた黒髪を持つ男性。
一方は白い肌、乱雑に切られた金髪を持つ男性。
二人とも痩せていて肋骨が少し浮いている。背丈は二人とも似たようなものだ。
そして、二人が口を開く。
「ほぉ、わざわざこんなところまでご足労なこった。なぁ、我が半身」
「そうだな。お前から俺達に会いに来るなんて、今度はどんな無茶ぶりをされるんだろうな。なぁ、我が半身」
二人の男性はケラケラと笑いを続けた。
そんな二人の様子にエンリルは背中に冷たいものを感じる。




