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山岳地帯にある村、そこが地獄と化した。
広がるのは地獄の園。
頭は割れ、顔は抉れ、躰は裂かれて、四肢は切られた。
男、女、子供、老人、病人、怪我人、生まれていようが生まれてなかろうが関係がなかった。
村中に死体が転がっている。躓いたそれが誰かの頭だ。木くずだと思えばそれは誰かの脚だ。腕だ。躰だったものだ。
暴動と呼ぶには余りにも惨いそれは、殺人でも虐殺でない。
きっとそれは正義と呼ぶに相応しい行為なのだろう。
そうでなければそれを何と呼称すればいいのだろうか。
獣の支配に堕ちた者どもを裁いたのだ。獣は絶つべき仇敵で、ソレに与した者は全てが敵で、絶つべき悪だ、と。




