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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第四部 第2章 再会、最愛、災厄

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07

 ムンムと同じ願い。しかし、本質が大きく違っていることをティアマトは理解している。

 ムンム(かのじょ)は愛故に「トラウェル・モリス(このせかい)」の崩壊を望み、「ムンドゥス・(彼の)オリギナーレ()」の復活を望んだ。原初(アプスー)との時を取り戻そうとしたのだ。しかし、エンリルはその限りではないだろう。


 何故なら、エンリル自身が原初(アプスー)を殺害したのだから。


「私がいる今、それが成就可能だとでも?」

「貴女の妨害があれば、我々の悲願の成就は難しいでしょう。しかし、貴女がこちら側に付けば、話が変わってくる」

「私がお前たちの側に付くと思っているのか?」

「取引をしましょう。母上、原初がティアマトよ。我々に協力してくれれば、貴女の願いを叶えて差し上げましょう」


 取引と言う言葉に怪訝を表すティアマトにエンリルは続ける。


「貴女の最も望む願い。暁月咲和(あきつきさな)との再会を我々が叶えて差し上げましょう」


 それはティアマトが望んで止まない願い。

 暁月咲和(愛しい人)との再会。

 原初さえも諦めていたその願いが叶うと言うならば、ティアマトは大手を振ってエンリルたちに協力しただろう。

 しかし、ティアマトさえ諦めた願いを、神代を生きた者であるエンリルであろうと、叶えられるはずがない。


「叶わない…………それは叶えられるはずのない願いだ」

「何を言っているのですか? 貴女が出来ないからと、我々が出来ない理由にはならないはずです。貴女が方法を間違えているだけです」

 やれやれと言った風に両手を上げて頭を振る。

「何?」

「復活が叶わないのなら、()()()()を呼べばいいだけなのですよ。暁月咲和の魂を再度、「トラウェル・モリス(このせかい)」に召喚すればいい」


 エンリルの発言にティアマトは目を見開く。それは彼女の頭にも(よぎ)った考えの中の一つだった。しかしその考えは頭を振って振り切ったのだ。

 再度の召喚は、きっと成功し咲和との再会を確実なものとするだろう。しかし、「トラウェル・モリス(このせかい)」に再度召喚された咲和は()()()の咲和だ。

 父親に殺され、()|わ《・》()()、あの時の咲和。それはティアマトのことを知らず、「トラウェル・モリス(このせかい)」のことを知らず、全てに怯えていた哀れな少女。

 そんな咲和を再度召喚したところで何になる。

 そんなことをしたところで、ティアマトの心は晴れず、ましてや満たされるわけもない。

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