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「………そうか。芳しくないな。人間と獣とが争っているなど暇はない。急務は「トラウェル・モリス」の復興だ。そして復興には、「トラウェル・モリス」を俯瞰して視ることの出来る者が必要だろう―――」
次に続く言葉を、「十一の獣」がどれほど待ち望んでいただろう。
世界が「トラウェル・モリス」へと堕とされ、「ウェールス・ムンドゥス」と「フィクティ・ムンドゥス」とに分けられて以降、幾度となく夢に見た言葉。
「――――私が、「原初ティアマト」が「トラウェル・モリス」を統治する。尊き咲和が残したものを、母が護る」
誰一人として歓喜の声を上げる者はいなかった。正確に言えば、上げることが出来なかったのだ。統治を宣言したティアマトの声が余りにも悲哀に塗れていたから。
「では、現状の生き残りである、「エンリル・ベル・アヌンナキ」の元へと出向く。それにはムシュフシュを連れて行く。ムシュフシュなら王国の民にも怯えられる心配もないだろう。私たちが「アリシア王国」へ出向いている間、他の皆には「ナンナイ・クルウ帝国」の復興を頼みたい」
「―――――――かしこまりました。我らが愛しき母の為、必ずや「ナンナイ・クルウ帝国」復興を為しましょう」
ムシュマッヘは立ち上がり、ティアマトへと近づきそして傅いた。
「サナ様の残してくださった世界を共に」
ティアマトの手を取り、その甲に口づけを。




