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【改稿版】十一の獣は魔王と共に  作者: 九重楓
第三部 13章 それでも彼女は願い続ける

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03

「世界降す決別の時――――」

 詠う。それは憎悪の宿る(おと)


 宣戦布告の際に、玉座の間で詠われた詩。

 振るう腕は澄み渡る青空に魔術陣を描いていく。そこには教皇(ムンム)の纏う魔力が籠められる。


「―――砕かれるは新世界。顕現せしは愛しき彼の時(原初)。新しき秩序など、脆く、砕けるが定め。我らが理を世界に敷く―――」


 詠う。それは狂気の籠る(ねがい)

 空を見上げ、咲和は動けないでいた。圧倒的な魔力量の差、消え失せた神殿と勇者(マルドゥク)の謎が咲和を絶望に突き落としたのだ。

 心を白銀の絶望で塗り潰された。

 そして、詠い始める。


「温もりは潰え、日常は崩終(ほうしゅう)する。世界は立ち還り、人々は信仰を捨てた――――」

「―――私の全ては大いなる父(あなた)の為に―――」

 詠う。それは世界貶める(おもい)


「―――我が心は母の為に、我が血潮は家族の為に、我が身体は彼の者を屠る為に。―――」

 空を見上げ、虚ろの瞳で詠う。


「――――転生者は解き放たれ、人々は彼の時を思い出す――――」

 詠う。虚ろの瞳から滴が一筋。


「――――故に、世界降す(フィーニス・)我に(フューマーヌス・)(エト・)など(トラウェル・)いらぬ(モルトゥア)

「――――狂喜せよ、今、原初は(アドヴェントゥス・)目覚める(ティアマト)


 二人の詠唱は同時に完了した。

 澄み渡る青空を背景に、巨大な魔術陣は白銀の絶望を湛える。

 天が割け、一筋の蒼黒の光が咲和の躰に降り注いだ。


「ムンム……貴様だけは許さぬ」


 咲和の声の咲和ではない言葉。

 明らかな憎悪を以てサナは教皇(ムンム)を見据えた。

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