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「私はマルドゥク。原初討ち、世界を開く者」
五十の声が一斉に名乗りを上げた。
名はその全てが別々の意味を持つ、五十の言葉だ。
その全てを咲和が聞き分けられたわけではなかった。しかしそれでもその全ての言葉は彼女の脳裏に刻まれた。
マルッカ、マルトック、バラシャクシュ、ルガルティメル・アン・キア、ナリルガルディメル・アル・キア、アサルヒ、ナムティラク、ナムル、アサル、アサル・アリ・ムヌンナ、トゥトゥ、ジウキンナ、ジク、アガク、トゥク、シャズ、ジシ、スフリム、スフグリム、ザハリム、ザハグリム、エンビルル、エパドゥン、グガル、ヘガル、シルシル、マハラ、ギル、ギルマ、アギルマ、ズルム、ムナム、ズルムナム、ギシュヌンアブ、ルガルアブドゥブル、パガルグェンナ、ルガルドゥマハ、アラヌンナ、ドゥムドゥグ、ルガルランナ、ルガルウガ、イルキング、キンマ、エシズクル、ギビル、アッドゥ、アシャル、ネビル、マリヤウト。
その全てがマルドゥクの別称であり称号だった。
原初を討ち滅ぼし、創世を為し、十一の獣から世界を護る勇者である彼の為にある言葉だ。




